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【58日目】 sick -これが金沢暮らしの現状

2024年4月23日(火)
24:穀雨 72:葭始生(あしはじめてしょうず)

石川県に一軒しかない、ドトール。
ここにいると、時空が歪んで、まるで何事もなかったかのように、東京にいるみたいだ。
蒲田に職場があり、大岡山の家に帰れば、猫がいて、夫がいる。
そんな当たり前の日々はもうない。

実のところ、私は金沢で、ちょっと映えた生活をしようと思っていたのだ。
世界から観光客が訪れる古都の中心部に住んで、
自分の好きなものだけに囲まれたひとり暮らし+かわいい猫たち。
東京よりずっと広い一人の空間。
部屋を作り上げるさまをインスタに上げて、
ふらりと街のカフェへ行き、
新しく友達も作って、東京から友達を招き、
仕事は自宅で悠々フリーランス。
クルマに乗れるようになれば海や山にも出かけ、
時々は家族にごはんを作ったりお菓子を持っていったりし、
母の送り迎えをしたり、姪と遊んだり

そんななか、好きなものを書いたり服を作ったり瞑想のクラスに参加したり、
いくらか強がってでも充実した日々を送ろうと努力し、逐一アウトプットすれば、きっと、この変化を乗りきる張り合いになるだろうと。

こんなすてきなカフェに行くなどして。
片町中央通りのアイソトープ

ところがどうだろう。
いま、毎日つらくて苦しくて、何を見ても泣いている自分がいる。
古い物件は問題が山積していて、
睡眠の問題から、猫と同じ部屋で眠ることもできない。
出かけるのはクリニックとカウンセリングばかり。
なぜ故郷にいて、家族も市内に住んでいて、こんなに淋しいのか。
出会う人出会う人みな良い人ばかりで、
遠くの友達も心を寄せてくれて、
それなのになぜこれほどまでに寄る辺ないのか。
かつては長年楽しく一人暮らしをしていたというのに、
あの頃のようにはまったくいかなかった。
毎朝ひとりで起きて、ひとりで眠ることが、ただ苦しい。
夫がいないということは、これほどまでにつらいのか。
いろいろあって、顔を合わせれば喧嘩ばかりしていた夫なのに。
このつらさは、時が解決するのか。
あの部屋を好きになれる日はいつか来るのか。
いっそ外に働きに出ればいいのか。
何かわかりやすく社会や他者のために生きればいいのか。

クルマの練習に付き合ってくれた父に、
車庫入れの苦闘の末すべてをぶちまけ滂沱の涙を流した。
「とにかくいつでも泊まりにきなさい、そのために金沢にいるのだからと」
遠い耳を懸命に傾けてくれた。

ひとりでスタバまでクルマで行きました

MELONの瞑想のクラスや先生たちから、いろんなことを改めて学んでいる。
「できればこんなふうな気持ちでいたい」という理想と、今の自分とのギャップを埋めるために、さまざまな解決をはかろうとすることが、時に大きな苦しみになる。
解決を試みる以前に、今の自分に寄り添い受け入れることは、同じくらい大切であると。
私は今の自分の寂しさと苦しさを直視することすらつらくて、とにかく解決しよう、解決しようとしていたのだ。

サカナクションの山口一郎さんの病の告白が話題になっていますが、
症状は違えど、私も「よくぞここまで語ってくれた」と思った一人です。 
私もいま、さまざまな公的支援を受けながら何とか生きています。
(あまり名前をつけるのもなんですが、たぶん私はいま軽い適応障害なのだと思います)
日々をよくしたい、充実させたいという思いをいったん手放し、 
わからないなりに、ただ、一生懸命生きること。
そのことが何とか、一日一日、自分を保つことになるのであろうと思っています。

金沢では今、誰に会ってもタケノコの話が出る
100均で買ったパキラ。大きめの鉢に植え替えた。
手っ取り早く大きな観葉植物を買えば部屋はおしゃれになる。
でも、もうやめた。これが育つまで待つことにする。もう映えなくていいので。

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