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among us の 『議論なし』 のはなし

今では Nintendo Switch を持った子供が純粋に雑談するためだけに使うことすらある、大盛況の among us 。
今年の3月か4月ごろからだろうか、議論なしと缶蹴りをニックネームに含むプレイヤーを見かけるようになった。彼らは特殊なルールの among us で遊んでいるのだが、半年たった今なお人気の特殊フォーマットなのである。


今回は議論なしについての所感を長々と書く。缶けりは専門家に任せる。『議論なし』ルールを好き好んでやってるプレイヤーがどんな事を考えているのか、サンプル1として読み流してほしい。

【概要】

『議論なし』は文字通り議論をしないだけのルールであり、他は普通にプレーするだけである。議論がないので議論投票時間が短く、ゲームの回転率がよいのも素晴らしい。


原則として匿名投票がオフであるため、誰が誰をインポスターと思っているのかが分かる。
その他設定として追放確認オン、議論0s投票15sとしているところが多い。
ボタンクールは短めが多く、ボタンの回数は1回が主流か。
私はボタンク 0 の脳死設定も好きなのだが、これはかなり好みが分かれるらしい。


当てずっぽうで適当に票を入れるだけの運ゲー?と思うかもしれないが、それは違う(スキップ禁止ルールは別)。
これは誰がインポスターを知ってるかを推測するゲームである。
シンプルでわかりやすいルールであるにもかかわらず、奥深い戦略があるからこそ半年以上もの間流行っているのだと思っている。

【議論なしで起きること】

では議論なしで何が起こるのかを説明していこう。
大前提として、大勢が目撃者となった現行犯でない限り、一人のインポスターを吊るには二回以上の投票を要する

一度目は誰が誰を怪しんでいるのか情報共有をし、二度目以降でクルーが示し合わせて吊ることとなる。
吊り盤面でどうしようもなくランダムに吊られてしまうことはあるが、それ以外で理由なくつられることは滅多にない。


議論なしでも誰かがボタンを押して投票が行われるわけだが、しゃべることができないからこそ、誰がボタンを押したのかがとても重要になる。
ボタン回数一回であればなおさら、貴重なボタンを消費してまで招集したということは何か強く訴えたいことがあると汲むべきなのである。
キルクール稼ぎのボタンが序盤中盤で行われることは滅多にない。


さて、ボタンを押した通報者AがプレイヤーBに票を入れたとしよう。
事前に何も示し合わされていなければ、その投票でBが吊られることはまず起こらない。
しかしAがBを強く疑っているということを主張することができる。
通常のルールであれば誰が誰を疑っていても、第三者がその対立関係を完全に記憶する必要はないが、何も考えずにプレイすればインポスターが圧倒的に有利なこの設定では、なんらかの頼れそうな指標があればそれに乗っかっておくべきなのだ。だからクルー側は、通報者Aが指名した相手Bを追放するだけの理由があり、追放したがっていると解釈し、次の投票の際にBを吊ることになる。それがクルーであればAを吊れば一人はインポスターを吊れることが期待できる。つまりクルー陣営はローラーを決行する事になる。


一つ例を挙げよう。
例えば死体が報告されたとともにAとBがお互いに票を入れあい対立した場合、インポスター陣営とクルー陣営で争っている可能性が高い。
クルー陣営はローラー作戦ができるようになるわけだが、問題は誰から吊るのか、ということだ。
基本的にボタンを押すということは誰かを吊りたいという強い意思表示であり、犯人がわかっているのだからクルーはクールタイム明けすぐにボタンを押すことだろう。
しかし何度か遊んだプレイヤーはその流れを承知しているので、インポスターも必死にボタンを押すことになる。
つまりボタンの押し合いが発生するのだ。


緊急招集が起きたとき、ほかのクルーたちは判断材料がほかに無ければ、ボタンを押した人間の意図を汲み、対立候補に入れることが多い。
勿論、前回対立したときに死体を発見した側が信じられるケースもある。
最悪間違えてしまってもほかのクルーがボタンを押してローラーを完遂すればよい。


なおインポスターがボタンを競り勝った場合はお土産でもう一キル、あるいは停電カチカチで粘られるかもしれないが、それは通常のプレイと同じである。


さて、クルーにとっての意思表示はボタンを押すことと票を入れることに限られる。
つまり投票結果で誰が誰に票を入れたのかを記憶することが非常に重要になる。
追放したプレイヤーBがインポスターだったと確認できたしよう。その投票結果で記憶しなくてはいけないのは、だれがインポスターに投票しなかったのか、だ。

それは村の空気を理解できなかったクルーかもしれないし、2択の判断に迷ったクルーかもしれないし、別のプレイヤーに強い疑いを持ったクルーかもしれない。
しかし何よりも疑うべきは、相方に票を入れることを躊躇ってしまった相方のインポスターなのだ。
票を入れなかったのが追放されたプレイヤーAと他のプレイヤーBの二名だけだったなら、プレイヤーBを警戒しない理由はない。
膠着した状況に陥ったら過去の投票を根拠にBを吊ることを提案してもいい。


誰が誰に票を入れたのかを記憶することが非常に重要であるため、プレイヤーはノイズを嫌う。
皆が直感で票を入れると記憶するのも難しくなり、余計な深読みをするハメになるからだ。するとなにも知らないプレイヤーは自然とスキップを選ぶようになる。


ノイズの顕著な例として、第一死体発見者に票を入れるプレイヤーが上げられる。
(一人だけ第一発見者に票を入れて他のプレイヤーがスキップする展開も多く目にする。)
そのプレイヤーは①本当にセルフを目撃したか、②ワンチャンかけて票を入れたインポスターか、③何も考えていないクルーか、のいずれかである。
①ならば、そのすぐ後にボタンを押すことだろう。
②や③はその後すぐにボタンが押されることはまずない。どちらにせよ「信用するべきではない」プレイヤーだとわかる。

なにより村としては通報者に入れるデメリットが大きい。なぜならば通報者が現行犯を目撃している可能性があるからだ。そしてボタンの回数は村の資産であるため、現行犯を目撃したプレイヤーにはぜひ自分でボタンを押してもらいたい。そういう意味で通報者を吊るデメリットはあまりにも大きい。
そして②と③に関連しているが、適当に票を入れることはオオカミ少年よろしく、自分の信用を損なうことにつながる。何回かやってるうちに適当に票を入れていることが分かる。
なので村にも自分にもデメリットがあるプレイだと思いできるだけ控えるとよい。


結局のところ、クルーにとっての最大のチャンスはインポスターを吊る瞬間であり、早い段階で一人目のインポスターを吊ることが最重要なのだ。


【議論なしプレイヤーの考え】

ここから私がよく普段している判断や気をつけていることを書く。
何度も断っておくが、あくまでも私の主観に基づいた判断であり、ミスをしでかすことも多々あり、絶対ではないことはご了承いただきたい。


【クルー側 考え】


「投票の一貫性」
誰かが怪しいと確信をもっているプレイヤーは投票先がぶれない。
逆にぶれていた場合は、さっきの投票には自信がないということになるので、その情報は重要度を少し下げていい。

「投票の早さ」
投票するまでの時間が早いということは、悩んでいないということである。
犯人を確信しているプレイヤーはすぐに投票するし、現行犯を見られたインポスターもその相手に投票を入れることだろうし、何も知らないプレイヤーもさっさとスキップすることが多い。
すくなくとも残り時間5秒とかで投票するプレイヤーは迷っていると考えてよい。
さきほど誰かに投票していたにも関わらず、今度は迷っているということは、前回の判断はそこまで自信があるわけではないのだ。


「第一死体報告者に投票するプレイヤー」
上でも書いたがオオカミ少年のようなものなので、あまり信用しなくていい。
理屈がわかっていない初心者の可能性もあるので、その意味でもあまり信用しなくてもいい。


「自分目線の白確を増やす」
これは普通のルールでも当たり前なことだが、議論なしでは特に誰が信じられそうなのか、誰が怪しいのかを整理して記憶することが重要である。
クルーっぽい人が疑っているから乗っかろうみたいな判断が必要である。


「グレー位置をつぶす」
これも割と当たり前。上と連動する。
グレー位置のプレイヤーの向かう先をなんとなく覚えておいて、アドミンを見てその方向に二人プレイヤーがいることを確認したら死体が転がっていないか確認するとよい。


「インポスターはボタンを押して相方を吊りにいかない」
やむにやまれず相方に票を入れることはあっても、いかに疑わしい状況に相方が立たされていたとしても、インポスターは相方を吊るためにボタンを押すことはない
あえて押してもいいが、ボタンを失うことで採れなくなる戦略が多いのでやめた方がいい。
インポスターを追放するときにボタンを押したプレイヤーはクルーとみてよい。
もちろん、疑いをかけたプレイヤーAがボタンを押すときには情報が増えていないが、ボタンのなくなったプレイヤーA の代わりにボタンを押したプレイヤーBはクルーとなる。
当たり前に聞こえるかもしれないが、客観的な白認定を貰っていない平クルーBが自信の潔白を証明をする絶好の機会なのだ。それを肝に銘じよう。


「インポスターを二人とも知っているとき」
最終局面で、インポスターを二人とも知ることができる場合がある。その場合はその時点で強く疑われている方のインポスターに投票するとよい。たとえばある二人がわかりやすく対立して片方が死んだ時、客観的に生き残っている対立候補を怪しむクルーはいるはずだ。実際にその対立候補がインポスターだと分かっているなら、ほかの現行犯などを見ていたとしてもそちらを優先するべきである。インポスターを追放したという白い実績をもって、二人目のインポスターを吊りにかかればよいのだ。


ここからはクルー側でよくやる作戦(行動)について

「最初は配電盤前張り付いちゃおー作戦」
作戦でも何でもない。ただの有効手である。
議論なしでは現行犯以外にインポスターを吊りにくいため、視野を狭くすることがインポスターの勝ちへの近道ともいえる。
議論なしではやや停電の頻度が多いため、最初のキルク10sの時は停電をすぐに直せるようにしておくとよい。
同じ考えのクルーもいる場合は、交代でエレキのタスクをしよう。
それがインポスターだったら膝を打って笑おう。


「ちょっと怪しいから張り付いちゃおー作戦」
現行犯を見たりしたわけではないが、かなり怪しいプレイヤーを見た際に使う。
まず誰を疑っているのかを投票で意思表明する。
そのあと疑っているプレイヤーに張り付く。ボタンを押したりはしない。今すぐに吊りたいわけではないからだ。
非宣言のペア行為であるわけだが、結構効果がある。ここでインポスターが張り付きを嫌って自分をキルしてくれた場合は儲けものである。直前の投票で怪しんでいたことを知っているので、察しのいいプレイヤーであれば、そのインポスターに入れてくれる。もちろん殺してこなければ、ボタンを温存できるし、クルーを吊ることもなくなるのでそれでいい。できるだけうざったらしく張り付こう。停電ではぐれたら走り回って探そう。きっとそう遠くに入っていないはずだ。なおあまりやると顰蹙を買う可能性もあるので、やると楽しいけれども頻度は抑えよう。



【インポスター側 考え】


「キルしてベント引きこもり」
議論なしなら、アリバイやアドミン情報が共有されることはないので、一人殺したらずっとベントに潜っていればいい。絶対にバレない。
素直に引き返すと、クルーにすれ違ってすんなりバレてしまうことはよくある。
特に死体の奥にあるベントであれば、うっかりベント掃除タスクでばれるリスクもないので安心
少なくとも序盤の人が多いうちは鉄板。
間違えてベントからでないように気を付けるだけでいい。


「対立時のボタンの競り合い」
ボタンを奪えれば対抗相手とお土産で二人稼げるので必ずがんばる。ボタン争奪戦で停電を発動し、テーブル近くの関係ないクルーを殺して何食わぬ顔でボタン連打しても良い。とても良い。


「白白ロラの完遂」
たまにクルー同士で票を入れあい、対立してしまうことがある。片方が勘で入れてたとしても、やっぱり相手はインポスターだったんだ!勘があたってうれしい!と浮かれていることが多い。言うまでもなくインポスターにとって絶好のチャンスである。
インポスターとしてのボタンの使い方は村陣営が間違った流れに乗ったときに背中を押すことにある。
二人のクルーABのボタン争奪戦をのんきに眺め、一人目Aがつるされた後、したり顔でクルーを吊ったのち驚きに塗れている二人目Bを無言で糾弾しよう。すなわちボタンを押して投票しよう。
それなりにクルーの理屈に則っているので強烈に怪しまれることはないはずだ。
二人目のプレイヤーBがインポスターではないと確認できたとき、あたふたするふりをすればよいだろう。しかしたいていはもはやダブルキルによる勝利が見える状況ではないだろうか。


「ダブルキル+1での擦り付け」
ボタンを押した場合、ボタンを押したプレイヤーの意図を汲んで投票されることが多いと書いた。
つまりインポスターもそれを悪用できる。
インポスターの経験値がそれなりにあれば、メルトダウンでダブルキルすることはそこまで難しくないはずだ。
そこで七人になる盤面でわざとセルフレポートをして無辜のクルーに票を入れてしまえばいい。クルーたちはあなたが確信を持って指名していると思いこむだろう。そのあと自分でボタンを押せばいともたやすく6人盤面を作ることができる。
すなわち勝ちである(そのあとにドジを踏まなければ)。


「最後の議論の投票先」
インポスター二人で5人6人盤面のとき。つまり吊り盤面の時。
その時は村の練度に合わせてスキップをするか通報者に入れるとよい。
大前提として、インポスター二人が票先を合わせることができればよい。
しかし相方がどこに入れるか判断材料がない場合は通報者(クルー)に入れるとよい、と思っている。
通報者がインポスターの場合はスキップに入れるとよいだろう。
吊り盤面でクルーがランダムで吊り先を選ぶとき通報者に入れてしまうことが結構ある。
それに乗っかってしまうのが手っ取り早い。
余談だが、仲良しクルーの集団を把握していると彼らの投票先を考えるうえで多少参考になるかもしれない。




【まとめ】


一番大事なことは、議論なしの本質は「空気よみ」であるということ。仲間の意思を汲み取れたときの団結感、そして勝ち取った達成感は通常のそれよりもとても大きい。
議論なしプレイヤーがもっと増えるとうれしいなあと思いながら、長ったらしく偏屈なお話はおしまいにしよう。


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