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どうする地方自治?

 今年の初めから3月にかけて茨城県内では地方議会の選挙が続いています。地方議会の選挙ではそれぞれの自治体でしか見られないような個別の政策などが出てくるので選挙公報や各候補者のパンフレットなどをついつい見入ってしまいます。さて、そのようななか、今朝のNHKにおいて「地方自治法の改正により緊急時に国が自治体へ指示行えるという」ニュースが流れました。内容としては感染症や災害など重大な事態が発生した場合に、国が自治体に必要な指示を行えるとするもの。全国知事会から「国と地方の対等な関係が損なわれるおそれがある」などといった懸念が出されたため、国が指示を行う際には、あらかじめ自治体に現場の状況が分かる資料や意見の提出を求めるなど、適切な措置を講じるよう努めるとする規定が明記されています。大臣不信任や政倫審の開催などで荒れる国会ですが、政府は今国会で改正案の成立を目指すことにしています。

 


第33次地方制度調査会にて

 新型コロナウイルスの対応において国と地方の間で医療体制の確立や休業要請のあり方を巡り連携不足が顕在化したことや、国と地方の関係やデジタル技術の活用などに課題が指摘された。そのことを受けて令和4年1月に第33次地方制度調査会が発足し、ポストコロナの経済社会に向けて国と地方の相互関係地方制度のあり方について調査審議をするという諮問がなされた。令和4年12月には地方議会の役割や議員の職務等の明確化、議会に係る手続きのオンライン化などの答申がなされ、令和5年に地方自治法が改正された。そして同年12月にポストコロナの経済社会に対応する地方制度のあり方に関する答申がまとめられ今回の改正案が提出されることになった。
 

ポストコロナの経済社会に対応する地方制度のあり方に関する答申

 新型コロナウイルスの影響による社会の急激な変化に対して、これまで指摘されていたにも関わらずデジタル技術の活用や感染症に対する法整備では想定されていない事態が相次ぐなどの課題が顕在化した。それをうけて、デジタルトランスフォーメーション(DX)の進展や、地方自治体相互間の連携・協力及び公共私の連携、大規模な災害、感染症等の国民の安全に重大な影響を及ぼす事態への対応が必要であるとしそれぞれの具体的な対応策が提言として出された。

主な提言事項

DXの進展を踏まえた対応

DXによる地方公共団体の業務改革
国・地方におけるデジタル化の共通基盤・共通機能
地方公共団体における情報セキュリティとデジタル人材

地方公共団体相互間、公共私の連携の深化

合意形成が容易ではない課題等への対応など地方公共団体相互間の連携協力
地域課題の解決に取り組む主体について市町村の判断で明確にできるなど公共私の連携

大規模災害、感染症など国民の安全に重大な影響を及ぼす事態への対応

情報共有・コミュニケーションの課題と対応
役割分担の課題と対応
応援や職員派遣など必要な職員の確保と課題

おわりに

 今回の地方自治法改正案では上記の役割分担の課題と対応のところで、個別法では想定されていない事態が生じた際に国民の生命等の保護のために国が地方自治体に対し、必要な支持を行うことができるようにすべきという意見を踏まえたもので、大規模な災害や感染症のまん延など、国民の安全に重大な影響を及ぼす事態が発生した場合、個別の法律に規定がなくても、国が閣議決定を経て、自治体に必要な指示を行うことができるとする特例を設けるとされている。改正案の作成過程では全国知事会から「国と地方の対等な関係が損なわれるおそれがある」などといった意見があり、国が指示する際は自治体に意見などを求めるよう努めることも明記されました。
 日本国憲法において「地方自治体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基いて法律によってこれを定める」とされ、地方自治体は国と対等な関係とされ、地方自治体は国ではなく「日本国憲法」と「法律」にのみ縛られています。言い換えれば、国政がおかしいと思えばそれに逆らい、法律に基づいて独自に行政を行うことも可能だということです。今回の地方自治法改正によって国からの指示は重大な影響を及ぼす事態に限定し、自治体の意見をしっかりと聞く内容にしないとならないと考えます。また、自治体の長や議員は自治体運営の独自性とその責任をしっかりと認識して行政運営を行う必要があると思います。それだからこそ居住している自治体の選挙で誰を議員に誰を選ぶかが、その地域の暮らしにとって重要になってくるのです。地域が栄えて安心して暮らせる地域にしたければ、地元の選挙も大切だということを今回のニュースから再認識させられました。

おまけ

 来月執行される阿見町議会議員選挙では人口増による市政施行が話題になると思われるので、日本全国で人口減少が問題視されているなかどんな政策が出されてくるのか楽しみです。

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