東南アジア放浪記～そして次の国へ～

そろそろVISAが切れるため、隣国のカンボジアにでも行こうかと思っていた矢先、トラブルに見舞われてしまう。ATM で現金を引き出せなくなってしまったのだ。カード会社に問い合わせ、話を聞き、色々試した結果どうやら数字4桁のパスコードが間違っている可能性が最も高いという考えに行き着いた。ここ１ヶ月以上ATMを使っていないため、数字の溢れる日常のせいで、間違ったパスコードを脳に上書きで記憶してしまったようだ。

そりゃ毎回違うチャーハンの値段を聞いてればATMのパスコードなど忘れてしまって当然だ。所持金は3600円。VISAが切れるまではあと6日。カード会社はパスコードを教えることができないらしく、また、パスコードの変更も俺が日本にいないと何故だができないらしい。

VISAが切れる前に他の国に移らないと不法滞在になってしまうため、どうにかしてこの国を離れたい。

幸いクレジットカード自体は使えるため、ご飯や宿はこの街にいる限りなんとか問題ないが、地方なんかは電子決済など使えるわけもなく、旅は続けられそうもない。ただ俺は落胆することはなかった。一瞬、帰国するかシュガーママを探すかの2択を迫られたように感じたが、道は他にもあると考え始めた。割とやばい状況だが、気づいたら数少ない現金を使って呑気にアイスクリームを食べてしまっている。

そして、閃いた。
仲の良い現地の友人の買い物についていき、俺のクレジットカードで購入してもらい、その分を現金でもらう。そんな方法を。

週末俺は友人の買い物についていくことになった。ラッキーなことに”ちょうどそろそろ大きめの買い物に行こうと思ってたんだ”と友人は言った。IKEAに行き、テーブルや棚などを購入。それからユニクロで洋服、無印で抱き枕なども購入。しまいには、家電屋で電子レンジも購入してくれた。

クレジットカードを提示するだけで増えていく現金になんだか魔法みたいだと思った。

こうして手に入れた現金6万円。

俺は数日後カンボジアへ向かうことにした。