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フロップで滑ったゴミハンドはどうプレイすべきか



はじめに

あなたはBUから比較的弱いハンドをオープンしました。そうするとBBにコールされ、フロップが開きました。フロップを見ると完全に自分のハンドはナッシングです。さあどうしましょう。

よくあるシチュエーションだと思います。このシチュエーションで良く取られるアクションラインは、Cbetを1回だけ打ってギブアップでしょうか。あるいは最初からギブアップする方もいるかもしれません。

実際いろんな選択肢があると思いますし、相手やボードによっても正解は変わるでしょう。GTOwizardを見てもこのアクションが正解ということはわからないと思います。ただし、ある程度概算であればこの状況のゴミハンドのEVを見積もることができるのではないか、そしてどのラインがよいかを大体判断できるのではないか、そうも思います。

今回の記事ではこのゴミハンドをどうプレイすべきか、MDA(Mass Data Analysis)の側面も踏まえて考えてみます。


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前提

今回は以下の前提を置き、この状況でゴミハンドをどうプレイするか考えてみます。

・6maxCashGame
・BB vs BU 2betpot
・Hero:BU
・BUはショウダウンで勝つ可能性のないハンド(Equityが0のハンド)を持っている
・BUはFlopで33%potbetあるいはcheckを行い、Turn, Riverで75%potbetあるいはcheckを行う
・BUはBBのベットに対しては全てFoldする
・BBはBUのベットに対して1度でもCallした場合、以降のストリートではBUのBetに対してMDF(Minimum Defence Frequency)でディフェンスする
・レーキは考えない
・カード除去効果は考えない

ここでGTOwizardを見て、各スポットにおけるGTO上のBBのアクション頻度の平均を調べてみます。

・BUのbetに対するBBのFold率
vs33%FlopCB:34%
vs75%DelayCB:53%
vs75%RiverBet(BBがFlopとTurnでBetしていない場合):58%

・BUがFlopCheckした場合のBBのCheck率:73%
・BUがFlop,Turn共にCheckした場合のBBのCheck率:58%

次に私が他の方から頂いた、GGpoker 200NL Rush&Cashにおける各スポットのBBのアクション頻度の平均を記載します。

・BUのbetに対するBBのFold率
vs33%FlopCB:35%
vs75%DelayCB:58%
vs75%RiverBet(BUがFlopとTurnでBetしていない場合):74%

・BUがFlopCheckした場合のBBのCheck率:57%
・BUがFlop,Turn共にCheckした場合のBBのCheck率:67%

※いずれの数値も誤差はあると思いますが、一旦この数値を正として今後の議論を進めます。

期待値計算(vsGTO)

ではこの状況で、BUはどのラインでブラフするのが最も+EVか考えてみます。まずはBBがGTO通りのプレイをする場合について計算します。

以下の前提により、BUは2ストリート以上ブラフを行うモチベーションがありませんので、BUはフロップ、ターン、リバーのいずれかで1度だけブラフベットを行うことを考えます。それぞれのパターンについて、ブラフでどの程度ポットを回収できるか計算してみます。

BBはBUのベットに対して1度でもCallした場合、以降のストリートではBUのBetに対してMDFでディフェンスする

①フロップでブラフする場合
34%でポットを回収できる一方、(1-34%)でポットの33%を失うので、この場合のポット回収割合は
(34% - 0.33*66%)= 約12.2%

②ターンでブラフする場合
BBがターンでチェックした場合に、BUがターンでブラフする機会が生じます。そのため、ポット回収割合は
73%*(53% - 0.75*47%)= 約13.0%

③リバーでブラフする場合
BBがターンとリバーでチェックした場合に、BUがリバーでブラフする機会が生じます。そのため、ポット回収割合は
73%*58%*(58% - 0.75*42%)= 約11.2%

計算結果上では②>①>③の順で期待値が高いという結果になりました。しかし、いずれのラインにおいても期待値は近いように見えます。

これは①②③のいずれかのラインの期待値が突出して高いと、BUにカウンターされるため(BUがブラフをそのラインに集中させる)、BBはそうならないように戦略を構成していると考えられます。
結局のところ、GTO上では滑ったハンドをいずれのラインに回しても、大した期待値差は出ないのです。
これはGTOwizardで戦略を確認した際に、BUの滑ったハンドが①②③のいずれかのラインに集中していないことからも推測できます。

期待値計算(vsGG poker unknown)

では続いて、BBがGGpoker 200NL Rush&Cashのアクション頻度をとる場合に、BUはどのラインでブラフするのが最も+EVか考えてみます。それぞれのパターンのポット回収率は以下の通りとなります。

①フロップでブラフする場合
(35%-0.33*65%)= 約13.6%

②ターンでブラフする場合
57%*(58% - 0.75*42%) = 約15.1%

③リバーでブラフする場合
57%*67%*(74% - 0.75*26%)= 約20.8%

GTOとは異なり、③>②>①の順で期待値が高いという結果になりました。またそれぞれのラインの期待値がかなり違うこともわかります。

これは、人間は強さに正直にプレイしすぎている、つまり「強いハンドを素直にベットし、弱いハンドを素直にチェックしすぎている」ことから来ていると私は考えています。

こういった相手にはフロップでいきなりブラフするよりも、相手のチェックを待ってからブラフすることが効果的になります。そして、一般的にはゴミハンドについて「フロップCbetを打ってギブアップ」という戦略は勿体ないことのほうが多いのです。

結論

今回置いた前提については少し無茶なものもあります。一般的にはダブルバレルに対してもMDFよりも降りますし、フロップ時点でエクイティが0のハンドというのは存在しません。

とはいえMDAのスタートとして、まずは今回のような前提で、ゴミハンドはどういうラインをとるのが有効か考えてみるといいと思います。出現頻度が高いスポットなので間違いなく成績向上に直結すると思います。

そして余裕ができた場合、次はベットサイズ別に相手のアクション頻度がどう変わるのか、エクイティがあるハンドはどうするか、といったことについても考えると面白いと思います。



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