見出し画像

OOPのゴミハンドをどうプレイするか

はじめに

あなたはBUのオープンに対して、BBで比較的弱いハンドをコールしました。そしてフロップが開き、自分もBUもチェックしてターンになりました。ボードを見ると完全に自分のハンドはナッシングです。さあどうしましょう。

以前書いた記事(フロップで滑ったゴミハンドはどうプレイすべきか)と同様、よくあるシチュエーションだと思います。皆さんはこのシチュエーションでどうプレイされるでしょうか。ブロッカーがあればブラフするという方が多いでしょうか、最初から完全にギブアップする方もいるかもしれません。

今回の記事では以前の記事と同様に、概算でこの状況のゴミハンドのEVを見積もり、そしてどのラインがよいかをMDA(Mass Data Analysis)の側面も踏まえて考えてみようと思います。

※GTOwizardに初回登録する方は以下のリンクを使っていただけると、非常に記事執筆のモチベーションが上がります。もしglassのこと応援するよ、という方がいらっしゃいましたら是非お願いします。
http://gtowizard.com/p/


前提

今回は以下の前提を置き、この状況でゴミハンドをどうプレイするか考えてみます。

・6maxCashGame
・BB vs BU 2betpot
・Hero:BB
・BB,BUはFlopでBetを行わなかった
・BBはTurnでショウダウンで勝つ可能性のないハンド(Equityが0のハンド)を持っている
・BBはTurn/Riverで50%potbetあるいはcheckを行う
・BBはBUのベットに対しては全てFoldする
・レーキは考えない
・カード除去効果は考えない

ここでGTOwizardを見て、各スポットにおけるGTO上のBUのアクション頻度の平均を調べてみます。

・BBのBetに対するBUのFold率
vs50%TurnBet:32% (Raize率は8%)
vs50%RiverBet(BBがTurnBetした場合):34%
vs50%RiverBet(BU,BBがTurnBetしていない場合):35%

・BBがTurnBetしなかった場合のBUのTurnCheck率:61%

そして他の方から頂いた、GGpoker 100~200NL Rush&Cashにおける各スポットのBUのアクション頻度の平均を記載します。

・BBのbetに対するBUのFold率
vs50%TurnBet:44% (Raize率は7%)
vs50%RiverBet(BBがTurnBetした場合):39%
vs50%RiverBet(BU,BBがTurnBetしていない場合):51%

・BBがTurnBetしなかった場合のBUのTurnCheck率:61%

※いずれの数値も誤差はあると思いますが、一旦この数値を正として今後の議論を進めます。


期待値計算(vsGTO)

この状況で、BBはブラフをするべきでしょうか?またブラフする場合はどういうラインをとるべきでしょうか?

まずはBUがGTO通りのプレイをする場合について、以下のラインにおいてどの程度ブラフでポットを回収できるか計算・比較してみます。

①ターンリバーともにブラフしない場合(x→x)
ショウダウンで勝つことはないので、ポット回収割合は0%

②リバーでのみブラフする場合(x→b)
BUがターンチェックした場合にブラフすることが可能であり、また35%でpotを奪える一方で、(1-35%)で50%potを失うので、ポット回収割合は
61% * (1*35% - 0.5*(1-35%)) ≒ 約2%

③ターンのみブラフする場合(b→x)
リバーはあきらめるので、ポット回収割合は
1*32% - 0.5* (1-32%) = -2%

④ターンリバーともにブラフする場合(b→b)
ターンにおいてBUがFoldした場合は即potを奪え、Raiseした場合は即50%potを失います。
また、コールされた場合はリバーで再度ブラフチャンスがあり、リバーでBUがFoldした場合は1.5potを得られ、Call/Raiseした場合はターンと合わせて(0.5 + (1+0.5*2)*0.5)=1.5potを失うので、ポット回収割合は
1*32% - 0.5 * 8% + 1.5 * (1-32%-8%) * 34% - 1.5 * (1-32%-8%) * (1-34%)≒ 約-1%

計算上のpot回収割合は②>①>④>③の順になりましたが、いずれの場合もpot回収率はほぼ0%で差がないことがわかります。(前提とする数値のブレで結果は大きく変わるでしょう)

この理由は以前の記事の内容と同様で、BBはTurn時点でもゴミハンドを多く持っており、これらの期待値を上げないようにBUはディフェンスするためと考えられます。(①②③④いずれかのラインの期待値が突出して高いと、BBがブラフをそのラインに集中させることでカウンターされる)

結局のところ、GTO上では滑ったハンドをいずれのラインに回しても、大した期待値差は出ないのです。なお実践的には以下の理由により、かなりブラフが減ることが多いと思われます。

・ゴミハンドはブロッカーを持っていないことが多く、上記に記載した数値よりも実際よりも相手のFold率が低くなる可能性がある
・レーキの存在により、実際にはpotが丸々得られるわけではなくレーキを引いたあとのpotしか得られない。
・実際にはTurnでEquityが完全に0ということは考えにくいので、ブラフの期待値が0に近いのであれば、Turnはチェックし、Riverでペアを引く&BUがチェックバックすることを狙うほうが良い

期待値計算(vsGG poker unknown)

では続いて、BBがGGpoker 100~200NL Rush&Cashのアクション頻度をとる場合に、BUはどのラインでブラフするのが最も+EVか考えてみます。前述の計算方法でそれぞれのパターンのポット回収率を計算すると、以下の通りとなります。

①ターンリバーともにブラフしない場合(x→x)
ショウダウンで勝つことはないので、ポット回収割合は0%

②リバーでのみブラフする場合(x→b)
61% * (1*51% - 0.5*(1-51%)) = 約16%

③ターンのみブラフする場合(b→x)
1*44% - 0.5* (1-44%) = 約16%

④ターンリバーともにブラフする場合(b→b)
1*44% - 0.5 * 7% + 1.5 * (1-44%-7%) * 39% - 1.5 * (1-44%-7%) * (1-39%) ≒ 約24%

以上より、この前提下の期待値は④>②③>①となり、ターンリバーともにブラフベットを行うのが最も期待値が高くなります。この前提下でギブアップするのは実にpotの20%程度をロスすることになりるのです。

また20%程度のpot回収率がブラフによって見込めている場合、Aハイのようなハンドについてもショウダウンに向かわず、ブラフに回してしまうことが考えられます。(参考記事:ショウダウンバリューがあるハンドはブラフしてはいけないのか
GTOとまったく違うアクションが現実世界では正しいこともある、すなわちGTOから外れたプレイをしている人が必ずしも弱いプレイヤーとは言い切れない、ということがお分かりいただけるのではないでしょうか。

最後に

以前の記事に引き続きMDAのことを少し書いてみました。こういった記事に需要があるかわかってないのですが、もし需要があれば次はベットサイズを増やしたパターンやドローハンドのプレイについても考えてみたいと思っていますので、もしいいなと思った方は是非noteのいいねとTwitter のフォロー、RTをよろしくお願いいたします。励みになります。


もし記事がいいなと思ったら是非サポートをお願いします! 小額でも執筆活動の励みになります!