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6maxプリフロップ分析③-OOP抵抗レンジ編(vsオープン)

はじめに

 (こちらの記事のOOP抵抗レンジバージョンです。)

 この記事は6maxCashgameにおいて、オープンした際に相手がOOPからどれくらい抵抗するか、について調べた記事になります。
 例えばBTNからオープンした時に、BBがどれくらいの頻度で3bet/Callするか、といったことについてRec/Reg別・レート別・オープンサイズ別に調べ、GTO頻度と共に記載・比較しています。

 この記事には、以下の内容が書いてあります。

・UTG,MP,COから2.5bbにオープンした際、相手がOOPから3bet/Callする頻度(Reg/Rec別・レート別に調査、GTO頻度とも比較)

・BTNからオープンした際、相手がOOPから3bet/Callする頻度
(Reg/Rec別・レート別に調査、GTO頻度とも比較)
(オープンサイズ2bb,2.5bb,3bbの場合毎に比較)

・SBからオープンした際、相手がOOPから3bet/Callする頻度
(Reg/Rec別・レート別に調査、GTO頻度とも比較)
(オープンサイズ2bb,2.5bb,3bbの場合毎に比較)

・上記からわかる考察と、よく質問されることに対する補足

 前回の記事と同様、Reg/Rec別・レート別の調査結果になるのですが、今回はBTNとSBのオープンについては、オープンサイズ2bb, 2.5bb, 3bb毎に頻度を集計しました。
 実はこのオープンサイズによって相手のリーク傾向が色々と違うのですが、オープンサイズを考慮しない、いわゆるFold to Steal値を単純に見るだけではサイズ毎のリークはわかりません。そのため、今回はオープンサイズ3種に対しての頻度を調べています。
 ※その代わりと言ってはなんですが、本記事ではRangeResearchの結果については少し補足を入れるのみで、あまり具体的には触れません。パターンが多いことに加え、あまり面白い調査結果も得られなかったので。
 ※調査・分析方法に関する細かな説明は、前回記事の"補足"欄を見ていただければと思います。

 今回の記事には色々と数字が出てきますが、「SBオープン時にはどのサイズを使うことが効果的か」等、読むだけですぐ戦略に取り入れることが可能な内容も含まれていますので、是非初心者の方にも読んでいただければと思っています。


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vs UTG,MP,CO 2.5bbオープン

 UTG,MP,COのプレイヤーが2.5bbオープンし、OOPのプレイヤーまでFoldで回ってきた際の、OOPプレイヤーの3bet/call頻度一覧は以下になります。

3bet頻度

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Call頻度

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3bet+Call頻度

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 以下、読み取れることです。

①全体的に3bet頻度はGTOよりも低く、その傾向は低レート程強い。
②3bet頻度はRegとRecでそこまで変わらない。(最大1%程度の差)
③RecのSBコール頻度はかなり高い。(※GTOはほぼコールしない)
④Recの方がBBコール頻度が高い。

 ※前提として、GTO上では2.5bbのオープンに対してSBからほぼコールすることはないのですが、100NLのREG以外はかなりSBからコールしてくるようです。

 前回の記事と同様、Recの3bet率は低いが、コールでついてくる割合は多いという傾向が強く読み取れます。また、BBの3betはRegであってもタイト気味ということもわかります。
 実際、手元でRangeResearchを行ってもそのような傾向でした。例えばCOのオープンに対して、BBのAQsやJJはGTO上はコールせずほぼ全て3betが推奨されますが、実際にはコールに回っている割合がかなり多いようです。
 そのため一般に言われるように、3betに対してはタイト目にディフェンスしたほうが良い、という結論になります。ただ、vsUTG,MP,COの場合はそこまでGTOと離れているわけではないので、混合戦略を変化させるのみで、純粋戦略まで変える必要はないかと思います。
 ※混合戦略/純粋戦略については、こちらの記事が参考になるかと思います。
 ※オープンレンジをどうすべきかという話については、後半の「補足」で述べます。


vs BTN 2bb,2.5bb,3bbオープン

 BTNのプレイヤーがオープンし、OOPのプレイヤーまでFoldで回ってきた際の、OOPプレイヤーの3bet/call頻度一覧は以下になります。
 はじめに書いたように、BTNオープンとSBオープンに関しては、オープンサイズ毎の抵抗頻度を調べています。
 ※一部のサイズに対するGTO頻度はソリューションが用意できなかったので、個人的な推測値を載せています。

3bet頻度

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Call頻度

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3bet+Call頻度

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 まず、以下のvsUTG,MP,COオープン時と同様のことが、BTNオープン時の場合でも読み取れます。

①全体的に3bet頻度はGTOよりも低く、その傾向は低レート程強い。
②3bet頻度はRegとRecでそこまで変わらない。(最大1%程度の差)
③RecのSBコール頻度はかなり高い。(※GTOはほぼコールしない)
④Recの方がBBコール頻度が高い。

 また、サイズに関して以下のことが読み取れます。

・BBのコール頻度は、2.5bbのオープンに対しては適正頻度に近いが、3bbにはコールしすぎ、2bbにはフォールドしすぎになっている。

 ここから、オープンサイズによって相手のリーク傾向が異なるという結果が得られます。特に2bbオープンした場合、3bet頻度もコール頻度もGTOより低いため、かなりの搾取が可能になります。そのため、個人的には2bb程度の小さいサイズでGTOよりも広いオープンを行うことを強く推奨します。

 この戦略のデメリットとして、「SBから若干広くコールされるので、BBとは異なりSBに対してはスチールが通りにくい」、「ポットが膨らみにくいのでポストフロップの利益が生まれにくい」等が挙げられるのですが、SBのルースさを上回るほどBBのディフェンスレンジは狭いですし、オープンサイズが小さければ3betポットも少し多めにプレイできるという面もあるので、個人的には「2bbで広くオープン」が正解に近いと考えています。

 ※3bbオープンを選択し、バリューに寄せたタイトなレンジをプレイするという搾取方法も考えられるのですが、相手の3betレンジが狭いため、そこまで美味しい結果にはならないと思われます。

 ※この結果を見る限り、相手がカウンターしてこないならばAAやKK等のプレミアムハンドは3bbオープンしたほうが美味しそうに見えます。個人的に10NL以下を打つなら、SBとBBが共にアンノウンの場合は強いハンドのみ3bbオープンすると思います。(カウンターされる危険性が非常に高いので、細心の注意を払う必要がありますが…)


vs SB 2bb,2.5bb,3bbオープン

 SBのプレイヤーがオープンした場合の、BBの3bet/call頻度一覧は以下になります。

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 読み取れることは以下です。

・全体的に3bet頻度はGTOよりもかなり低く、その傾向は低レート程強い。
・3bet頻度はRecの方がタイトな傾向がある。(特に100NL)
・BBのコール頻度はGTOと比べてかなり低い。特に小さいオープンサイズに対して降りすぎている。(Recの方がBBコール頻度が高いが、それでも降りすぎ)

 これまでは高いレートのRegは比較的GTOに近い抵抗頻度であり、RecはRegに比べてレイズが少ないもののコールが広いという状況が大半でしたが、SBオープン時のBBディフェンスレンジはRegであってもRecであっても高いレートであっても3bet,Call共にタイトであり、非常に搾取しやすいです。 

 正直、このシチュエーションで律儀にGTOを守って40%程度のレンジでオープンすることは、かなりの機会損失です。特に小さいレイズに対してまともにディフェンスしていないプレイヤーが多すぎるため、ガンガンオープンして搾取しましょう。個人的にはBTNの場合と同様、2bbオープンで広くスチールすることを推奨します。(このBBのリークを知っているだけで、かなり成績が変わると思います。)

 またSBオープン時のBBの3betに対しても、GTO通りにディフェンスする必要は全くないです。いわゆるGTO的な3betレンジは、約16%~18%の3betレンジを想定しているのに対し、100NLのRegでもなければ、せいぜい12%程度の3betで、実践とGTOではレンジにかなりの乖離があります。
 具体的なハンドを挙げると、一般にSBオープン→BBに3倍の3betをされた場合、GTO上ではAxsやAJo,KQo等は必ずディフェンスするレンジに分類されますが、相手の3bet率が12%程度の場合はこれらのハンドは単にFoldすることも有力になります。
 ※こちらの記事から、OOPから12%の3betが飛んできた場合にどれくらい(どのように)ディフェンスすれば良いか分かります。


結論+よくある質問に対する補足

【UTG~BTNオープンに対する抵抗レンジ】
①全体的に3bet頻度はGTOよりも低く、その傾向は低レート程強い。
②UTG~BTNオープンの場合の3bet頻度はRegとRecでそこまで変わらない。(最大1%程度の差)
③RecのSBコール頻度はかなり高い。(※GTOはほぼコールしない)
④Recの方がBBコール頻度が高い。
・BTNオープン時、BBは小さいオープンに対して降りすぎる傾向がある。

【SBオープンに対する抵抗レンジ】
・全体的に3bet頻度はGTOよりもかなり低く、その傾向は低レート程強い。
・3bet頻度はRecの方がタイトな傾向がある。(特に100NL)
・BBのCall率はGTOと比べてかなり低い。特に小さいオープンサイズに対して降りすぎている。(Recの方がBBコール頻度が高いが、それでも降りすぎ)

 一部前回の結論と似ていますが、個人的に重要だと思うのは以下の3点です。特にSBvsBBの話は成績に直結する情報だと思いますので、是非プレイ中に意識してみることをオススメします。

・3bet率は低レートの方が低く、特にSBvsBBの場合はRegであってもGTOが推奨するようなレンジとは程遠い。そのためOOPの3betに対してはGTO戦略ではなく、アジャストした抵抗戦略を取ったほうが良い。(前回の記事と同様の結論)
 ※具体的な戦略はこちらの記事を参考。

・BTNオープン時、BBは小さいオープンに対して降りすぎる傾向があるため、2bb程度の小さいサイズでGTOよりも広いオープンを行うことが有効と考えられる。

・SBオープン時、BBは3bet頻度もコール頻度もGTO値より低い。そのため、広いオープンを行うことが有効と考えられる。(個人的には2bb推奨)


 また、この話題に関するよくある質問について、個人的な補足を載せておきます。

【よくある質問に対する補足】
・SBとBBの3betレンジに違いはあるのか?
→GTO上ではSB:リニアレンジ、BB:ポラーレンジという違いがありますが、実践的にはほぼ同じと考えてよいと思います。(RangeResearchをかけてみたところ、主観も入りますがほぼ同じでした)

・3bet頻度について、Rec<Regの状況が散見されるが、Recの方が3betレンジがタイトということでいいか?
→Recは強いハンドをコールに回すことがあり、かつ変な(弱い)ハンドもレンジに入りやすいです。そのため、Recの方が頻度が少なくても、ほぼ同じくらいの強さと見積もって良いかと思います。(前回の記事と同様の結論)

・全体的に3betレンジがタイト+コールレンジが広いことはわかったが、結局UTG,MP,COのオープンレンジはどうしたらよいか?
→厳密な証明は出来ませんが、数値を見る限りはUTG,MP,COのオープンレンジはおそらくGTOより少し広めで良い気がします。プリフロップのソルバーを触っている限り、オープン出来るレンジはどちらかというとコール頻度よりも相手の3bet頻度に依存するようなので。(加えて、なるべく多くのハンドを参加してポストフロップを戦ったほうが、利益を上げられる機会が増えます。)


おわりに

 SBオープンに対するBBのディフェンス率を調べた方は多くても、サイズ毎にどう戦略が変わるか調べた方は少ないのではないでしょうか。
 個人的にはBTN,SBから全ハンドで2bbオープンしたり、プレミアは3bbオープンしたり、みたいなことをしている時期もありました。途中からHyper系のゲームに移行したので十分なサンプルは取れませんでしたが、確か2NLならば弱いハンドも含めて全ハンドで利益が出ていた記憶があります。
 是非参考にして頂ければ幸いです。

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