君に贈る火星の

 その一団は、独特の赤みを帯びた隣の惑星、火星からやって来た。二足歩行ではあるが、腕の形状が異なっていた。イカやタコを思わせるような触手を複数有しており、それぞれの用途がある。それを使って文字を書く事も、道具を使う事もできるそうだ。また、状況によっては伸び縮みもするらしい。
「ようこそ。地球へ」
 有人探査に成功した国の大統領が、彼等を出迎えた。大統領は手を伸ばし、友好の証として握手を求めた。まだ、お互いの言語を完璧に理解し合っていなかったが、火星の代表は緊張しているのか、固く伸びた触手を差し出し、握手に応えたのだった。その様子は、地球人にとっては微笑ましくも、誇らしい瞬間だった。
 
「いや。驚いたな」
 会見の後、側近にそう語ったのは、火星の代表だった。少しばかり息が上がっていた。
「そうですね。地球人というのは、出会ってすぐにセックスを求めてくるのですね」
 翌日も、彼等は火星のセックスを地球で求められるのだった。

一日延ばしは時の盗人、明日は明日…… あっ、ありがとうございます!