中島亮

あなたの「オモシロイ」は僕が創ります!

中島亮

あなたの「オモシロイ」は僕が創ります!

マガジン

  • 運転手

    あの世に送り届けるのが運転手の役目。 死んで終わりではないと思いたくなくて、こんな物語を書いています。

  • 粗末な暮らし

    不連続な小説です。

  • #極短編小説

  • なにしとぉ? 神〇人

    大阪と一緒にせんとってです。

  • いけずな京〇人

    京〇をリスペクトしてます。 ほんま、京〇はよろしいなぁ。

最近の記事

君に贈る火星の

 その一団は、独特の赤みを帯びた隣の惑星、火星からやって来た。二足歩行ではあるが、腕の形状が異なっていた。イカやタコを思わせるような触手を複数有しており、それぞれの用途がある。それを使って文字を書く事も、道具を使う事もできるそうだ。また、状況によっては伸び縮みもするらしい。 「ようこそ。地球へ」  有人探査に成功した国の大統領が、彼等を出迎えた。大統領は手を伸ばし、友好の証として握手を求めた。まだ、お互いの言語を完璧に理解し合っていなかったが、火星の代表は緊張しているのか、固

    • 信心はよしなに

      煙が渦捲くように、憤りの声が男の喉から吐き出されていた。熱っぽい怒鳴り声が店内に響く。 「お客様は神様だろ?」 煙に目を細める事なく、店員は男の顔をしっかり見ていた。 「信教の自由は私にもあります。お帰り下さい」

      • 恐怖について

         自分の知見が乏しくて、体系的な事など全く構築できていなかった。  恐怖のバリエーションは様々で、大きく分ければ、警戒心と不安の状態だろう。そして、人によって、警戒する対象は変わる。例えば、鳩が怖い人もいれば、そうじゃない人もいる。  今回、書こうとしているのは自己喪失と呼ぶような、自分を知っている人間が、自分を知らなくなる恐怖を題材にしている。そして、自分が何者であるのかわからなくなるというのが、おおまかなストーリライン。  今、躓いているのが、この題材の場合、恐怖を少し

        • chatGPTに聞いてみた

            chatGPTにホラー小説の要素を聞いてみたら、以下のような事を言いました。  それで、会話を続けるのが僕は面倒になり「貴方が思うホラー小説のあらすじを書いてください」と言いました。すると  うーん。僕の好みではないし、いまいちです。  まだ、chatGPT3.5よりは、僕の方が日本語を使うのは上手いかなと独り言ちるのでした。

        君に贈る火星の

        マガジン

        • 運転手
          25本
        • 粗末な暮らし
          24本
        • #極短編小説
          74本
        • なにしとぉ? 神〇人
          1本
        • いけずな京〇人
          6本
        • 狂い歌
          9本

        記事

          やめられないし、とめられない

           ロングヘア、大きな瞳、白い歯、ほっそりした手首。志穂の容姿は今もきらびやかな虚構の世界の偶像を彷彿とさせていた。何もかも順風満帆だった。都内で生まれ育ち、十代でデビュー。瞬く間に志穂の名前は全国に知れわたり、三十歳になる前に結婚。年上の夫は、元総理大臣の孫で、外資の証券会社に勤務している。子宝にも恵まれて、長男は今年小学生になったばかり。夫はいまだに志穂のことを深く愛していて、ときおり見せる嫉妬や束縛がむしろ心地いいと彼女は思っているようだ。 「今夜ね」と志穂は微笑んだ。「

          やめられないし、とめられない

          業穴道を通り抜ける

           業穴道という道があって、そこは年中冷たい風が吹いています。夜十一時ごろ、そこを無垢な学生のような若い男が歩いていました。 「こら、その方は何の為に、この業穴道を歩く?」  猫のように足音をたてずに歩いていた若い男は立ち止まり、声の主を探します。すると、電信柱の影に背の低い、頭のハゲた男がいました。男の顔がわからないほどの暗さですが、闇に慣れない目でも、それがハゲだとわかります。若い男がふと思い出したのは「業穴道で、誰かに話しかけられても決して口を利くな」という父の戒めの言葉

          業穴道を通り抜ける

          会話の上手い人

           唐突に失礼しました。  会話が上手い人って、どうやって、練習したのでしょう。上記の会話はメモに書いていたのですが、出典が何なのかまで書いてなくて、どこで見つけたのか、聞いたのかわかりません。  殴られた事なんて、自慢しても仕方ないでしょうし、ましてや、人を殴った事なんかも自慢しても仕方ありません。そういう気持ち悪さに対して「叩けば直る」と皮肉を言えば、言われた方は笑うしかないですね。  こんな会話のセンスを身につけられたら、小説も面白くなりそうです。

          会話の上手い人

          背伸び

           身の丈に合った文章とは何か。そんな事を考える。書き手の技量がないのに、気取った表現をする事が身の丈に合わないのか。  こんな事を考えるようになったきっかけは、自分の文章が自分で書いたように思えなくなったから。そもそも文章は、自分の為の文章と、人に伝えるそれとに分けられる。  読者の興味に合わせて、情報を適切な形で伝える文章が人に読まれるためには必要で、自分の為のそれならその限りではない。  自分で書いた文章が自分で書いたように思えないのは、今までと書くスタンスが変わったとい

          背伸び

          毎日書く

           ここで何かを毎日書くというのは久しぶりで、四〇日以上続いている。理由なんて、不明確で、言語化するのが嫌だ。つまり、その理由に向き合うのが照れ臭く、とても嫌なのだ。  それでは、noteを始めたばかりの頃、毎日投稿していた理由は何だろうと、振り返るが、これは明確な理由がある。しかし、ここで書くのは恥ずかしい。  一つ、書ける範囲の理由を書くとする。毎日何かを決まった時間に書いていると、その習慣を壊したくないという力が働く。それは「ここまで書いたのなら、止めてしまうのはもったい

          毎日書く

          ナースの卯月に視えるもの 買いました

           近所の唯一の本屋がなくなって、本屋さんに行く機会が減りました。今は全国の本屋さんの数が8,000店舗ぐらいになっているので、自分の近くでもこういう現象が起きる事は当然かと思います。  かく言う僕も、スマートフォンで本を読む事に慣れて、本屋さんで本を買う事がめっきり少なくなりました。  しかしながら、昨日は「今日中に本屋さんで買おう」と決めていた本がありました。それは  僕がnoteを始めたころぐらいから、交流のあるりんこさんの本の発売日が昨日だったからです。  りんこさ

          ナースの卯月に視えるもの 買いました

          怖いということ

           怖い話を書いていて、これ、本当に怖いかなと不安になる。怖いという事は、ホラーの場合は作品の面白さに直結する訳で、怖くなければ面白くないという事。想定している読者は、目の肥えた怖い話が好きな人たちなので、その人達に楽しんでもらえるのかがカギ。  生理的な恐怖を題材にしているので、心霊とかそういう類を書くよりも、少し難しいかなと思うけれど、心霊現象を題材にしても、直面する壁は同じかもしれない。  怖い話は、怪異に巻き込まれる主人公が、どういう選択をしてその怪異と対峙するのかとい

          怖いということ

          スケッチ

           首を伸ばして、多賀はバックミラーを覗き込んだ。運転手の女を意識して、自分の顔を確かめたかったのかもしれない。 「ん? なに?」鏡の中で運転手と目が合って、多賀は居心地が悪くなった。運転手はオーバーサイズのジャケットに、胸元を強調するようなユーネックのティーシャツを着ていた。車内のスピーカーからは、ハウスが大音量で流れており、多賀の意識はどこかに持っていかれそうになっていた。 「あっ。いや。何でもありません」 「ん?」多賀に興味がないような冷たい返事だった。澱んだエアコンの風

          スケッチ

          おもいつくままの散文

           賑やかさとは程遠いその公園のベンチに春松は腰かけて、米の入った風呂敷を地面に投げるようにおろした。 「大変でしたね」東屋から何かの商店のおかみのような女が出てきて、彼に話しかけてきた。春松の姿を見て、哀れだと思ったのだろう。東屋を指さして「こっちへどうぞ」と言った。 「雨にでも降られたら、散々ですよ」年とった亭主も出てきて「どちらから?」と春松に尋ねる。 「三郷から」 「三郷?」 「神奈山の向こうの村です」 「そんなところからですか」  春松はおろしたばかりの風呂敷を抱え「

          おもいつくままの散文

          娯楽って

           身に迫る恐怖を、安全を保障された場所から体験する事を最高の娯楽という。とまぁ、何を書いているのか、意味がわかりにくい文章ですね。  世の中の娯楽って、なんだろうかと考えると、食欲、性欲に直結する事と、それらとは違うが、とにかく快感を得る事が娯楽なんじゃないかと思うのです。ただ、そうかと思うと、ジェットコースターに乗る人とか、バンジージャンプなどをする人は何の快感を得るのかなと思うのです。疾走感とかが快感なのでしょうかね。  それで、何が言いたいかというと、(色々すっ飛ばしま

          娯楽って

          百物語

           一時期、怪談実話と銘打ったタイトルの本をよく読んでいた。仕事の一環だったが、雑誌の幽も隈なく読んでいて、その時期の実話怪談の書き手に詳しかった。ただ、怪談実話を信じているかというと、僕は全く信じていない。彼等の事を、真面目に嘘をついている連中だと今でも思っている。ほとんどの場合、怪談というのは白々しい。では、なぜ読んでいたのかというと、本当の怪異に僕は触れたかったのだと思う。嘘ばかりの怪談の中に、なにか本当の事が一つでもあるかもしれないと期待して、一話読んで、嘘だと決めつけ

          読後の奇妙な爽快感を得られる作品

          「あぁそういうことか」という爽快感を得る事ができるのも、僕が怖い話が好きな理由の一つです。その快感はホラーでなくとも得られるのですが、ホラーだから爽快感がより際立つのではないかと思います。  今日、紹介するのはホラーではありませんが「あぁそういうことか」という快感を得る事ができる短編です。  阿刀田高さんをご存じの方は多いでしょうし、この短編は有名ですので、最早、僕が語る事は何もないでしょうが、若い時に読むのと、四十歳を過ぎて読むのとでは、阿刀田さんに対する印象が変わってい

          読後の奇妙な爽快感を得られる作品