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世紀のベリーバッドマリアージュ、爆誕〈アメリカ/シャルドネ〉

ワインと料理のマリアージュ――

その甘美な響きに、言いしれぬ憧れを抱かれる方も多いでしょう。

もちろんわたしも、そんな憧れを抱きながら生きる庶民のひとり。
ワイン単独、料理単独でも美味しいはずのふたりが、舌のうえで出会うことによってさらなる高みへと昇華される「マリアージュ」。
その美しいハーモニーを思うだけで、思わずうっとりしてしまいます。

とはいえ、日々の日常生活のなかでマリアージュを目指すのは至難のわざ。特に、仕事帰りのわたしは基本的にぽんこつであるため(※)、なんとか「最悪の事態」を避ける、それが日々の晩ご飯の至上命題となっております。

▶ (※)ぽんこつのわたしが日々困っているので、みなさんに助けていただいた記事。

最悪の事態」――

それはマリアージュの反対側に、存在する闇の世界。ワイン単体、料理単体だと美味しいはずのふたりが、舌のうえで出会うことによって最悪のハーモニーを奏ではじめる、悲恋の物語。

これぞまさに、ベリーバッドなマリアージュ。我々は、舌のうえの平和を守るため、そして「どうしてふたりは出会ってしまったの…」と悲しみに暮れないために、この「ベリーバッドなマリアージュ」だけはなんとしてでも阻止しなければならないのです。

・・・・って、言いましてもね。
実はそんなこと、めったに起こらないんですよ。

完璧なマリアージュが数年に1度あるかないかの奇跡だと考えたら、逆張りの世界線である完璧なベリーバッドマリアージュも、数年に1度あるかないかの逆奇跡。

わかったような顔をして「うん、このペアリングはちょっと魚のくさみが目立つね」などと言ってみたところで、べつに本気で不味いと思ってるわけじゃないんです。たまには言ってみたいだけなんですよ、そういうことを。

結局、「ほどほど合ってる」っていうのが平穏なマリアージュ生活の秘訣。
ベリーグッドじゃないかもしれないけどベリーバッドでもない、そんな日々が続くことを、ひとは幸せと呼ぶんですよ、などと言っていた矢先。

やってきたんですよ。ついに。
その、ベリーバッドな奇跡のマリアージュが。


ヘス・シャーテイル・ランチス シャルドネ 2019[¥3300]

<ワインdata>
国:アメリカ 種類:白ワイン 品種:シャルドネ ヴィンテージ:2019 生産者:ザ・ヘス・コレクション インポーター:株式会社 都光

<バランス>
酸味★★☆☆☆ 糖度:★★☆☆☆ 香り:★★★★☆

今回のベリーバッドなマリアージュの片方の立役者は、カリフォルニアワイン「ヘス」の、シャルドネでございます。

実はこちらのヘス、もともと3300円が定価なのですが、ここのところあちこちの店舗で割引販売されているみたいです。

▶ こんな風に。

どうやらヘスのこのシリーズはレストラン向けに作られたものらしく、コロナ禍による影響で飲食店需要が減少したため、今だけの特別放出をおこなっているとのこと。

近所の業務スーパーで見つけたときに、こりゃ「買い」だな!ということで、手に入れた1本です。

綺麗な黄色

ヘス単体の味としては、いわゆる「ザ・樽ドネ」!
バニラ風の樽香とパイナップルのような果物の風味、酸は弱くて全体に厚みがあり、まるでアルコール入りフルーツジュースを飲んでいるような感じです。「黄色い液体」にふさわしい、芳醇さを感じます。

とはいえ、もはや「クリーム味」(※インポーター情報)のブレッドアンドバターなんかと比べると、もう少し上品でまとまりのある味わいになっていました。

▶ ブレッドアンドバターは、クリーム味のワイン(いい意味で)

今回は酸をなるべく立たせようと思って、グラスに注ぐたび冷蔵庫にしまっていたのですが、たぶんわたし的にはこれが正解。

案外全体のバランスも悪くなく、むしろ「これは、3000円出しても飲んでいいな」と思えるくらいには美味しかったです。
結構、最後までするする飲んじゃいました。樽ドネ好きにはおすすめです。今、安いし。

▶ わたしも樽ドネ、だいぶ克服しました。


さてもう一方のベリーバッドマリアージュの立役者、それがこちらでした。

エキナカのお店で買ってきた、海老すり身の包み蒸し。

画像は公式のものをお借りしました

こちらもお店の威信を守るため全力でお伝えすると、この海老自体はちゃんと美味しかったんですよ!

ぷりぷりのすり身とひらひら薄皮のマリアージュは大成功してましたし、赤いしっぽの豪華さもあいまって、料理としてはたいへん満足度の高い完成度となっておりました。ひとくち中華セット、美味しく楽しいおかずです、謝謝!


ところが。

それまでの食事の流れにのっとって、ふつうに海老を美味しく食べ、ふつうにワインを口内へ流し込んだ――その瞬間。

全わたしに衝撃が走りました。

えっ・・・・・不味い!(爆笑)

あまりに不味くて、爆笑しました。
え、こんな不味くなることってある?!(爆笑)

なんというのでしょうか。閉じていたはずの海老の臭みが全開になり、いま海の底からあがってきました!といわんばかりの、ぴっちぴちの海洋臭。
後味にはなぜか鉄っぽさが残り、うわっ・・・わたしの口臭、臭すぎ・・・?と、くちもとを塞ぎたくなる衝動に駆られるのです。

普段はわたしよりもさらにマリアージュのストライクゾーンが広い夫氏も、わたしから遅れること5分後、爆笑しはじめました。そ、そうよね?!(握手)


それ単体ではきちんと美味しく、ほかの中華おかずたちとも仲良くしてくれていた優秀なヘス。
そして単体での満足度が高く、わたしの中華心を満たしてくれたぷりぷり海老。

このふたりが舌のうえで出会ってしまった瞬間、なぜか悲恋が始まってしまったのでした。なんでよ。

お茶の間(ますたや)はもうびっくりですよ。まあ、びっくりっていうか、爆笑っていうか…


惜しむらくはこの海老のすり身、ひとつずつしかなかったんですよねぇ。
だから再現性がなく、今なにが起こったのかを、追求するすべがありませんでした。不味いと思ったときにはもうそこにいなかった。

いやあ、びっくりした。笑った。
こんな不味かったの、数の子以来かそれ以上だった。


ベリーバッドマリアージュって、こんな突然にやってくるんだなぁ…
そんな風に物思いにふけった、いつもの夜。

こうして我が家から海老が去り、ヘスが去り、そうしていつもどおりの平穏が、おとずれたのでした――

油淋鶏にはグッドマリアージュでした!

そもそも中華にはビールよな… などという外野(わたしのなかの)の声を押しとどめながら、わたしは今宵もグッドマリアージュを探す旅に出たいと思います🌙

そもそも論とかいいんですよ、あたしはワインが飲みたいんですよ、ワインが!


ベリーバッドなマリアージュも、たまに出会うと楽しいものです。
ベリーバッドが存在するからこそ、ベリーグッドの価値が高まるのです!

ということで、ぜひみなさんのバッドマリアージュも、コメント欄で教えてください😋
そして、記事を読んで「残念だったね!」と思ってくださった方、あるあるだね!と思ってくださった方は、「❤」ボタンを押してスキ!してもらえると嬉しいです♪

ここまでお読みいただいてありがとうございました🍷それではまた、次の #3000円ワイン か、 #ワ活 でお会いしましょう!3000円ワインをこよなく愛する民、ますたやでした(^O^)

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■ ますたやとは:

関東在住の30代、3000円ワインの民(たみ)。ワインは週に約5本(休肝日2日)。夫婦で1本を分けあって飲みます。2021年、夫婦でJ.S.A.認定ワインエキスパート取得。2022年、コムラードオブチーズ認定。夫はワイン検定講師もつとめています。これからもおいしいワイン、いっぱい飲むぞ~!

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