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今週読んだ本「月と私と甘い寓話」「食堂かたつむり」「台湾で隠居してます」

とにかく本が好きで読むのがとても速いため、基本買わずにすべて図書館で本を3〜4冊ずつ借りては読んでいる私の読書記録。(いいよと聞いたらその場ですぐにオンライン予約)

今週もいい本が色々読めました。食に関連する小説2冊と、前に読んで気になっていた台湾で隠居している方のエッセイの3冊です。

41.ストーリーテラーのいる洋菓子店 月と私と甘い寓話

手元に置きたい度:★☆☆☆☆

今月これの続編が出ると何かで読み、気になってまずは1作目を借りてみた。
街のある洋菓子店を通して、様々な人たちのショートストーリーが描かれている。
そして、基本的に月に関連したとってもとっても美味しそうな描写の丁寧に作られた洋菓子と、そしてそれを食べるお客様とその洋菓子に関連したストーリーを語ってくれる執事のような佇まいのストーリーテラーがいる。

なぜか様々な悩みを抱えたそれぞれのお話の主人公たちが、ここでストーリーを聞きながら美味しい洋菓子を食べると、色々なことが解決に向かって動き出すという。
そして最後はパティシエとストリーテラー自身にまつわるお話も…。

とにかく描かれている洋菓子がどれもこれも美味しそうで美味しそうで、途中で出てくるアシェットデセールとかもうたまらなく食べたくなってしまった。
昔は洋菓子を作るのが好きで、たまに教室に通ったりしていたなとか、あとすっごく好みの季節のアシェットデセールを出してくれる店があって、そこによく行ってたなとふと思い出した。
ケチケチ生活に入ってしまっていて、そういったいいスイーツに触れることがめっきりなくなってしまっていたけど、心の豊かさのために久々に行きたいな、と思えた。

42.食堂かたつむり

手元に置きたい度:★★★☆☆

月と寓話の本の最後にいくつかの本が広告として紹介されていて、あらすじを読んで気になって借りてしまった本。
こちらも美味しそうでたまらないご飯がたくさんたくさん出てくる。

最近読んでとっても良かった「森崎書店の日々」や「雲を紡ぐ」と同様に、あまりにひどい体験をして、自分にとって生き返れる場所に一旦避難する、というところから始まる。

このコの場合は今までの中でもなかなかひどくて、同棲していたインド人に家具家電食器洋服、家の中のありとあらゆるものをすべて持ち去られた上に、タンス貯金して貯めていた有り金もすべて持っていかれてしまい、唯一残されたのが祖母から引き継いだぬか床のみ。
そしてあまりのショックに声を失い、田舎の実家に帰るところから始まる。

折り合いのよくなかった実母に頼り、そして近所の熊さんに助けてもらいながら、夢だった自分の食堂を作り上げオープンさせる。
よくもまあそんなパワーが生まれたなあというくらい、この子はガシガシと行動して前に進んでいって、こだわりにこだわりぬいた自分の食堂を作り上げる。

そして基本は1日1組でそのお客様に合わせたメニューを作り、地元の新鮮な食材をふんだんに使って、丁寧に丁寧に、心をこめて料理を作っていく。
その料理を作っていく描写がとても素敵で、一つ一つの食材に感謝を込めて少しの無駄もないように一生懸命に仕上げていく様が、なんだか心に刺さった。
そして自分の気持ちが料理に反映されてしまうのだから、荒れた心ではなく、きちんと料理と食べてくれる方に向き合うと、すごく美味しいごはんになる、といった祖母の言葉が私の心にもぐっときた。

最近家族用料理を作るのがイヤでイヤで、いかに時短で簡単に安く済ませるかしか考えてなかったのと、あと、自分のために作るのも手抜きをしていたけど、久々にきちんと食材を買って食べたいものをちゃんと作ってみてしまった。

物語としては、このレストランは食べると恋愛成就する、願い事が叶うという噂がたって、ひっきりなしにお客さんが予約するという状態になっていくのだけど、最後がまた衝撃で悲しくて、そして美しくて楽しいラストが待っていて。

やっと母にすごく愛されていたと気付き、そして自分も母の愛を欲していて母のことがすごく大事だったのだと気づいたときの主人公が号泣ポイントだった。
「いただきます」という言葉の意味を改めて感じさせてくれるすごくよい本だった。

43.いま、台湾で隠居しています: ゆるゆるマイノリティライフ

手元に置きたい度:★★★☆☆

東京郊外で隠居生活をしたのち、台湾で隠居生活を始めた方のお話。
前回読んだ本では、詳しく書いてなくてすごく気になった「台湾のビザはどうしてるの?」「最低限の収入をどうやって得ているの?」が書かれていた。

最初の1年はワーホリでいき、その後は観光ビザで90日ごとに日本に行って戻るという生活をしているようだった。
そして、他の国ではそんなに何度も繰り返し観光ビザ滞在をしていたら、入国拒否されることもあるけど、どうやら今のところ台湾は平気らしい。
(中国もコロナ以前は、Mビザという90日滞在できるビザでお店をやっている方がたくさんいた。しかしコロナで厳しくなってしまい、それができなくなったため、そのやり方をしてた方はみんな日本に帰国してしまった)

居留証がない状態で生活をしているようだが、「銀行口座開ける(開けるところは限られる)」「賃貸借りられる」「病院行ける(社会保険ないのでやや高いが本執筆時点ではかなり安い)」という状態のようで、全く問題なく暮らせていけるようだった。
ただ、90日ごとに帰国が必要なため、その費用をいかに抑えるかと、捻出するかが必要になる、という感じであった。

仕事としては、日本側に頼まれた台湾の記事の取材やエッセイ、といったところが主なよう。中国語はできないようだけど、台湾BLの翻訳もやっている様子(まあ今は便利な翻訳ツールやAIがあるからなんとかなりそう)

正直な感想としては、「え、こんなに簡単に移住できちゃうんだ」だった。
完全な親日国(しかも近い)というのもあるだろうけど、海外移住国としてはかなりハードルが低いなと思った。

ブログを読んだところでは、今は体調を崩して日本にいるっぽいけど、そういった事情がなければ、いつまでもいれそうな感じがする。
海外保険もクレカの付帯でなんとかやってる様子(クレカ使って飛行機チケットとか買うが条件にはなってくるけど、確かに90日以内ならカバーできそう)

あとちょこちょこ出てくる台湾特有のゆるさ、誰が何してようと気にしない感じや、すごく親切だったりとか、それがすごく上海と同じでめちゃくちゃ共感できた。
そしてめちゃくちゃ恋しくなった。
私の中国帰りたい気持ちを具体的に言語化すると、これこれ、こういうこと
!ていう感じがした。
(いつもなんでそこまで?て聞かれがちなんだけど、うまく言語化できない)

上海で働くのが無理そうだったら、一旦台湾でノマドワーカーしようかなと思えた。やっぱり中華圏に行きたい気持ちは強い。

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