全世界でわずか2%しかないハモンイベリコを食べて腰を抜かした話
生ハムと言えば、よく浮かんでくるイメージはイタリア。
確かにイタリアの生ハムの種類は数え切れないほどあって、全世界にその知名度は広がっている。イタリアでの生ハムの歴史は長いため、作り方に対するこだわりが強くプライドが高い。
今日は実はイタリアではなく、近いようで遠い、遠いようで近いスペインがこのグルメエッセイの舞台になる。スペインは何度も行ったことがあるけど、まさかスペインの生ハムについて執筆する日が来るなんて思わなかった。
まずは、20代前半の頃にイタリアから出て海外生活が始まり、自国で培った美味しさの感覚が変わった。ポルトガルに住んでいた時も日本に住んでいる今も、新発見の絶品と出会うことが珍しくはない。食文化のシャッターを閉めずに毎日冒険者のように回って食べれば、心にある美味しいもの日記は毎日更新することができる。
40代になってやっと気が付いた、食文化に対する文化のシャッターが降りてしまう人の考え方はこれだ。
・食のアレンジ力は敵(ではなく大切な仲間である)
・生まれた国にあるものしか食べない
・改善より美味しいものへの行動が止まる
・地元のプライドは自分への敵になり客観的な意見ができなくなる
・他国の食文化と食べ方を知らずに、食べずに「美味しくない」と言いがち
今日まで生きてよかったと思った出来事は、今まで出会ったことがない美味しいスペイン産生ハムを食べられたこと。しかも、一般の生ハムと違って世界初の100%オーガニック・ハモンイベリコだ。あまりに美味すぎて、このスペイン生まれの生ハムについて深く調べたら、驚きの現実がわかった。
イベリコ豚といえば「ドングリを食べて育つ豚」のことだと思っている人も多いだろう。実はイベリコ豚というのは、豚の血統のことだ。イベリア種の血が50％以上入った種類のことを指す。一般的なイベリコ豚の飼育期間は5～10ヶ月だけど、今回食べた生ハムは17ヶ月まで育て上げる。ゆっくりと成長する豚を長期間かけて育成することで、旨味成分のアミノ酸がより豊富になるようだ。
最強の生ハムと言っても過言ではない。実は日本でも食べられる機会がある。
これからおそらく日本で広がるであろう、BLACK TAGというブランドだ。なぜ今まで食べたことがない味覚かというと、全世界でわずか2%しか存在しない希少な純血統のイベリコ豚を使用しているからだ。その豚を先述したように手間をかけて育てることで、さらに美味しくなっている。
しかも、スペイン政府が公式に認証し生産過程のすべてにEUオーガニック認証を取得したことで、世界初の生ハムになった。同じものを作ろうと思っていても作れない、まさしく逸品だ。
EUオーガニック認証とはつまり、豚の飼育されている環境に関わってくる。育て方によってストレスがかかったり病気になりやすかったり、人間と同じで繊細な生き物なため、精神的な部分がお肉の品質にまで影響を与えるようだ。
スペインでは99％が分業制で生ハムを生産しているそうだが、BLACK TAGの生産場では、餌の栽培農場から豚を育てる森林、屠畜場や熟成庫まですべて自社一貫で生産している。水捌けの良い土壌、広大で起伏の激しいコルク樫の森、風通し、昼夜の寒暖差、湿度の低さなどの豚の生育環境や熟成過程をしっかりと管理するなどこだわり抜いた結果、この旨味が生まれたのだ。
この生ハムは日本で色んなイベントに使われていて、やっと誰でも購入できるような状態になっている。発売は2024年3月9日・10日から始まるけど、どうやら現在では購入希望者200名待ちになっているらしい。
3/9（土）11:00〜
スライスパレタ・サラミ・チョリソの3種食べ比べ。
3/10（日）11:00〜
Cortador Edition：熟練の生ハムカット職人がスペイン現地で1つ1つ手切りした最上級セットになる。最高に楽しめるためにすべて空輸で輸送しているからスペイン現地と自分は繋がる。
一般の生ハムと違って、なぜ一口サイズになっているのか。これが特徴で大事なポイントだ。実は食べる時に噛むことより、舌の上に置いてみてほしい。体温でとろけてきて、すぐ柔らかくなり軽く噛めば、すぐ飲み込める。
口に入れた瞬間に、凝縮された濃厚な旨味が広がるという経験が忘れられない。美味しいワインと一緒に楽しめば、おうちでミシュランレストランと同じ体験ができる。
そのままでも、パンとチーズと一緒にでも、オリーブオイルのパスタに乗せても、食べ方がたくさんあって楽しい。
チョリソベジョータ純血統イベリコ・BIO（40g）
スライスパレタ セボデカンポ純血統イベリコ・BIO（40g）
サラミベジョータ純血統イベリコ・BIO（40g）
自分の前にこのような風景を広げると、見た目と香りから脳がやられる。軽く塩がかっている硬めのパンと一緒に食べると、幸福感が止まらない。
食べていると時間が止まっているようで、口に生ハムとサラミを運ぶ度に今日まで頑張ってよかった、と自分を労ることができる。明日も頑張れる重要なパワーにもなる。
Massi
みなさんからいただいたサポートを、次の出版に向けてより役に立つエッセイを書くために活かしたいと思います。読んでいただくだけで大きな力になるので、いつも感謝しています。