オノマトペを使うジレンマ
こんにちは、日伊通訳マッシ(@massi3112)
ある日、雨という言葉について考えていた時に日本語の「オノマトペ」の面白さに気がついた。例えば「雨が降っている」と「雨がパラパラ降っている」、「雨がザーザー降っている」は全て見えてくる情景は違う。さらには「氷雨が降っている」という表現などもある(これはオノマトペとは違うけど)。
今日は、日本に住んで15年目の僕が日本語を使い日本人のように暮らす中で感じた「日本のオノマトペ」について書いてみた。
日本語の面白さがオノマトペを通して見えてきた僕は、さらに詳しく知りたくなってきた。調べたところ、まずオノマトペの由来は古代ギリシャの「オノマトポイーア(onomatopoeia)」が語源らしい。学生時代はギリシャ語も勉強していた僕は、なんとなく懐かしい気持ちになった。
オノマトペは日本語では擬音語や擬態語とも言われ、様々な状態や動きなどを言葉で表す表現方法のひとつだ。世界中で使用されているオノマトペだけど、特に日本語においては非常に使用率が高く表現方法も多種多様だ。オノマトペを動詞として使用する例まである。
オノマトペを使用するメリットとしては、ある状態について細かいニュアンスまで簡単に伝えることができる点だろう。最初に紹介した「雨が降っている」という文章ではどことなく固く感じられ、雨が降っているという状態しか伝わらない。「雨がパラパラ降っている」ではどうだろう。小さい雨粒がゆっくり空から落ちてきて、傘がなくてもなんとなく行けそうな、そんな雰囲気が伝わってくる。「雨がザーザー降っている」だと、大粒の雨がひっきりなしに降っていて、普段は自転車を乗り回している僕にとってはザーザーという言葉を聞くだけで「今日は家で過ごすしかないな」という気持ちになる。
不思議なのは、オノマトペがつくだけでその言葉に魔法がかかったように様々な情景、感情が見えてくるということ。言葉に命が宿ったような感覚になる。
特に日本人は、日常生活の中で当たり前にオノマトペを使用しているからその存在の面白さにもしかしたら気が付かないかも知れない。ところが僕にとっては日本語を楽しんで学びながら使っていく上で、絶対に無視できない存在でいつも隣にいる感覚なのだ。特に難しくて面白くて僕を困らせた表現は、「擬態語」だ。日本人にとってはどう違うの?と感じるかも知れない。
擬態語の難しいところは、実際に音には出ていないことを音にして表現しているところ。例えば「ニョロニョロ」「ピカピカ」「クスクス」など。この言葉を聞くだけで今では「蛇がニョロニョロ動いている」「洗車してピカピカになった」「クスクス笑う」などがしっかり頭に浮かぶようになった。
オノマトペを使いこなせるようになった僕は、デメリットも感じるようになった。その便利さは逆に、語彙力を低くしてしまうのだ。
「今日は試験があるからドキドキしている」という表現は、「ドキドキ」というオノマトペを用いて緊張している状態を分かりやすく表している。例えば「今日は試験があるから緊張で心臓が破裂しそうだ」だと、ドキドキよりも緊張感がリアルに伝わってくる。
大切なのはオノマトペを使いこなせる数を増やして、その時その時で使い分けることだ。オノマトペでわかりやすく伝えるか、オノマトペを使わず言葉で語るか場面に合わせて使い分けよう。
オノマトペは難しいと思われがちだけど実は、オノマトペを使わず話すことの方が難しいと感じてきた。オノマトペを使う使わないは別として、日本語を深く勉強すればするほど後ろに進んでいる気がしているから、一生勉強だ。
Massi
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