【詩風】十番目の夏
一番目の夏が来てこの国の人は、
来年からネクタイをしなければならないというルールを作った。
二番目の夏が来てこの国の人は、
ネクタイをすることになった。
三番目の夏が来てこの国の人は、
ネクタイをすると体感温度が上がることがわかった。
四番目の夏が来てこの国の人は、
体感温度と地球温暖化の因果関係がわかった。
五番目の夏が来てこの国の人は、
「もうネクタイをやめよう」と言いだした。
六番目の夏が来てこの国の人は、
ネクタイを外そうとしたが出来なかった。
七番目の夏が来てこの国の人は、
なぜネクタイが外せないのかを考えた。
八番目の夏が来てこの国の人は、
ネクタイを外すためのルールがないからだとわかった。
九番目の夏が来てこの国の人は、
来年から夏はネクタイを外してもよいというルールを作った。
十番目の夏が来てこの国の人は、
ようやくネクタイを外すことができた。
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