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下克上

 昔読んだ佐治芳彦著の「日本人の歴史」という本に、面白いことが書いてあった。
 日本の歴史の分岐点は、「応仁の乱」になるのだそうだ。内藤湖南が唱えた説なのだという。

 応仁の乱以降が今の日本の文化や生活に直接繋がる歴史であり、歴史を研究するなら、応仁の乱以降を研究したら充分である、と言う。
 さらに、公家中心のそれまでの歴史というのは外国の歴史と同じようなものであるから捨ててもいいとまで言っている。

 そう言われればそうだ。たしかに、応仁の乱以降は庶民の歴史である。それ以前に秀吉のような庶民出身の為政者はいないし、写楽のような庶民の芸術家はいない。
 そのことをこの本では、「下克上」が生んだといっている。そして今もその風潮は続いていると言っている。まあ、芸能界などを見たらそう思えることはある。

 それともう一つ、下克上が生んだものがある。それは女性の地位である。実は、室町末期は女性の地位が高かったらしいのだ。

 以下は、当時のヨーロッパ宣教師が見た日本人だ。
 「財産について、ヨーロッパでは夫婦間で共有であるが、日本では夫婦各々が自分のわけまえを所有しており、時には妻が夫に高利で貸し付けていた。」
 「離婚については、ヨーロッパでは夫のほうが妻を離別するが、日本はしばしば妻が夫を離別する。」
 「また、ヨーロッパでは妻は夫の許可なしに外出出来ないが、日本は夫に知らせず自由に外出出来る。」
 ということである。

 今とあまり変わってないやん。うーん、下克上おそるべし!

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