新谷雅先

新谷雅先(しんたにまさき)といいます。 昭和32年福岡県生まれ。今までに書いてきた詩や…

新谷雅先

新谷雅先(しんたにまさき)といいます。 昭和32年福岡県生まれ。今までに書いてきた詩やエッセイを紹介しています。時々オリジナル曲も流しています。 好きな言葉「ゼロから数字を生んでやらう(高村光太郎)」

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固定された記事

【music】湖上

00:00 | 00:00

中原中也の詩『湖上』をイメージして作った曲です。

新谷雅先
2か月前
12

【詩】悔いよ己を

悔いよ己を 我が恥ずべき過去を 乱るる心を 偽りの行いを 後悔による賛美を 我が醜き身を 悔いよ己を 我が恥ずべき現在(いま)を 偽りの中の沈黙を 沈黙の中の偽り…

新谷雅先
2時間前

【詩】ひとりぼっち

気がついてみれば いつもひとりぼっち 気楽につきあっていけそうな 皆さんですがね 振り向いてみれば 誰もいなくなってね そんな毎日が ぼくをつつんでる 寂しいとい…

新谷雅先
1日前
5

【詩】青春のスクイズ

きっとあいつは走ってくる。 砂煙を上げ滑り込んでくる。 ベンチはヒッティングから スクイズサインに切替えた。 ベース上で土を払っている あいつの目に覚悟が見えた。 …

新谷雅先
1日前
4

【詩】小さな絵日記

風に乗った恋が 小さな絵日記、書き綴る 夢のような幻に 時のキネマは過ぎて行く   君を待ってたこの三叉路で   少し汚れた口笛を吹く 君にあげた恋が いくつもの綾を…

新谷雅先
2日前
3

【詩】眠たくなる

眠たくなるというのは神さまに 眠りを催促されているからで 精神がたるんでいるわけではない。 とにかく今のぼくには 睡眠が何よりも大切で それ以外のことは意味を持たな…

新谷雅先
2日前
7

【詩】スカスカブルース

世の中スカスカ、壊れてスカスカ 時代はスカスカ、未来もスカスカ 現実はスカスカ、希望もスカスカ 夢見もスカスカ、理想もスカスカ 都会はスカスカ、田舎もスカスカ 会…

新谷雅先
2日前
6

【詩】朝の風に

頭の中は眠たさで一杯 徹夜だったのです あくびは限りなく出るし 目は真っ赤なのでしょう 朝の風に打たれてこよう これが一番でしょう。 太陽の光はまだ見えないけど 空は…

新谷雅先
3日前
3

【詩】昨日までの生きざま

夜は明けて 日は昇り 雲は隠す 鳥は鳴き 風は吹き 今日でお別れ また街は揺れる いつものように 人は声もかけず 忘れたふり 空は泣き ぼくは泣き 涙は尽き くたび…

新谷雅先
3日前
4

河童

 前の会社にいた頃の話。昼食後、ぼくはいつも自分の車の中で寝ていたのだが、そこで時々不思議なことが起きていた。何者かが車内で横になっているぼくのお腹の上に乗り、…

新谷雅先
3日前
1

【詩】気が楽だったり、時々狂ったり(1975年作)

ここに来て半年、おれはみんなを無視してきたし 誰も信じようとは思わなかった だから彼らもまったく、おれを相手にしない 気が楽だったり、時々狂ったり 主人は人の話を…

新谷雅先
4日前
3

【ソネット】眼下の自分

何をいったいしょぼくれているんだろう。 とくにこれといった事件はなかったのに。 心浮かないというか、楽しめないというか。 けっこう面白くない一日なんですよ。 とは…

新谷雅先
4日前
2

【詩】コーヒータイム

誕生は前世の終わり 死去は来世の始まり 子供は捻くれた大人 大人は武装した子供 青春は人生の汚染期 老いは人生の異臭期 白髪は頭髪の進化形 ハゲは人類の進化形 恋人の…

新谷雅先
5日前
4

【エッセイ詩】六月の思い出

梅雨六月の思い出のひとつに 夜下駄の音がある。 雨が上がった夜更けの街を 二つばかりの音影が カラコロカラコロ過ぎて行く。 何をしゃべっているのだろう、 夜下駄の響く…

新谷雅先
5日前
5

一勝と一敗と

劉邦は項羽との戦いで たったの一勝しかしてない。 だけどこのたったの一勝が 彼を皇帝へと導いた。 勝ち続ける人生は、確かに 気持ちいいものかもしれない。 とはいえ負け…

新谷雅先
6日前
4

【詩】雨の降る夜は

雨の降る夜はたった一人で 蚊取り線香の光を見つめて 蛙といっしょに歌をうたうと 見知らぬ人が傘をさして通り過ぎる  街は濡れ、人は濡れ  辺りは変わり、色も濃く 遠く…

新谷雅先
7日前
6

【music】湖上

新谷雅先

00:00 | 00:00

中原中也の詩『湖上』をイメージして作った曲です。

【詩】悔いよ己を

【詩】悔いよ己を

悔いよ己を 我が恥ずべき過去を
乱るる心を 偽りの行いを
後悔による賛美を 我が醜き身を

悔いよ己を 我が恥ずべき現在(いま)を
偽りの中の沈黙を 沈黙の中の偽りを
鏡の中の虚像を そのうそで固めた眼光(ひかり)を

悔いよ己を 我が恥ずべき未来を
偽才に溺るる弱身を またその過程を
怖れを知らぬ過信を 冷たく映るその影を

【詩】ひとりぼっち

【詩】ひとりぼっち

気がついてみれば いつもひとりぼっち
気楽につきあっていけそうな 皆さんですがね
振り向いてみれば 誰もいなくなってね
そんな毎日が ぼくをつつんでる

寂しいというのが 本音なんだけど
いつもひとりっきりで 強がってみてね
ひとりぼっちなんですね もともとが
そうそう どこへ行ってみたってね

だから 今だけは笑っていましょうよ
ね、今夜はとてもビールがおいしいんだから
ひとりぼっちの部屋で 乾

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【詩】青春のスクイズ

【詩】青春のスクイズ

きっとあいつは走ってくる。
砂煙を上げ滑り込んでくる。

ベンチはヒッティングから
スクイズサインに切替えた。
ベース上で土を払っている
あいつの目に覚悟が見えた。

一点ビハインドの九回の裏
あいつを生還させなければ
この一戦が引退試合になる。
優勝なんて望んでないけど
出来ることなら一試合でも
多く野球をしたい。これが
チームみんなの思いなのだ。

だからあいつは走ってくる。
砂煙を上げ滑り込

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【詩】小さな絵日記

【詩】小さな絵日記

風に乗った恋が
小さな絵日記、書き綴る
夢のような幻に
時のキネマは過ぎて行く
  君を待ってたこの三叉路で
  少し汚れた口笛を吹く

君にあげた恋が
いくつもの綾を織りなして
小さな気球作る
ほら、どこか遠くへ飛んで行った
  君と歩いたこの三叉路で
  少し汚れた口笛を吹く

歌を忘れた恋が
小さな絵日記、書き綴る
少しゆがんだ顔に
君の想い出織り込みながら
  君を忘れたこの三叉路で
  

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【詩】眠たくなる

【詩】眠たくなる

眠たくなるというのは神さまに
眠りを催促されているからで
精神がたるんでいるわけではない。

とにかく今のぼくには
睡眠が何よりも大切で
それ以外のことは意味を持たない。

たとえば今のぼくにとって
歩いたり体操したりすることは
疲れるだけの行為なのだ。

しかし睡眠はちがう
力の配分に偏りがなくなるので
体のバランスが充分取れる。

さらに眠ってしまえば
余計なことを考えなくてすむので
心のバラ

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【詩】スカスカブルース

【詩】スカスカブルース

世の中スカスカ、壊れてスカスカ
時代はスカスカ、未来もスカスカ

現実はスカスカ、希望もスカスカ
夢見もスカスカ、理想もスカスカ

都会はスカスカ、田舎もスカスカ
会社はスカスカ、仕事もスカスカ

学校はスカスカ、勉強もスカスカ
お店はスカスカ、お客もスカスカ

自分もスカスカ、他人もスカスカ
お犬もスカスカ、お猫もスカスカ

人生スカスカ、スカスカスカスカ
スカスカ、とってもいい感じ──

【詩】朝の風に

【詩】朝の風に

頭の中は眠たさで一杯
徹夜だったのです
あくびは限りなく出るし
目は真っ赤なのでしょう
朝の風に打たれてこよう
これが一番でしょう。

太陽の光はまだ見えないけど
空は明るくなっていきます
初夏だというのに朝はまだ寒く
厚着をしています
「朝の風に打たれてこい」
父のよく言った言葉です

新しい風を腹一杯に吸い込む
いい気持ちです
自然のことなのでしょう
冷たい風がおしっこを誘うのは
朝の風に打た

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【詩】昨日までの生きざま

【詩】昨日までの生きざま

夜は明けて 日は昇り 雲は隠す
鳥は鳴き 風は吹き 今日でお別れ
また街は揺れる いつものように

人は声もかけず 忘れたふり
空は泣き ぼくは泣き 涙は尽き
くたびれた靴が この街の想い出

この道は いつもの道 歩き慣れた
傘もなく びしょぬれの 荷は重く
水たまりを濁す 別れの足跡

夢は消え バスは来て 足は重く
ぼくはただ 窓にもたれ ため息つく
昨日までの甘い 生きざまは終わる

河童

河童

 前の会社にいた頃の話。昼食後、ぼくはいつも自分の車の中で寝ていたのだが、そこで時々不思議なことが起きていた。何者かが車内で横になっているぼくのお腹の上に乗り、ドンドン飛び跳ねるのだ。
『誰だ!?』と目を開けても誰もいない。おかしいなと思いながら目をつぶると、しばらくしてからまた飛び跳ねる。おかげでゆっくり昼寝が出来なかった。

 ところで、かつてぼくのいたその会社は、いつも水に祟られていた。プロ

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【詩】気が楽だったり、時々狂ったり(1975年作)

【詩】気が楽だったり、時々狂ったり(1975年作)

ここに来て半年、おれはみんなを無視してきたし
誰も信じようとは思わなかった
だから彼らもまったく、おれを相手にしない
気が楽だったり、時々狂ったり

主人は人の話を聞いてくれない頑固な人で
いつもみんなから嫌われている
もちろんおれも彼を信じちゃいない
彼にすべてを任せようとは思わない

 今日も日記帳につづられた日々が笑っている
 病に衰えたおれのことを
 今日も日記帳につづられた日々が泣いてい

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【ソネット】眼下の自分

【ソネット】眼下の自分

何をいったいしょぼくれているんだろう。
とくにこれといった事件はなかったのに。
心浮かないというか、楽しめないというか。
けっこう面白くない一日なんですよ。

とはいうものの本来の自分はそんな
眼下の自分を観て楽しんでいるのですけどね。
『ねえ、いったい何を悩んでいるんですか?』
眼下の自分にちょっとそれを聞いてみる。

でも、なかなか答が返ってこないんですよ。
だって実体のない事象に実体のない心

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【詩】コーヒータイム

【詩】コーヒータイム

誕生は前世の終わり
死去は来世の始まり
子供は捻くれた大人
大人は武装した子供

青春は人生の汚染期
老いは人生の異臭期
白髪は頭髪の進化形
ハゲは人類の進化形

恋人の会話は緑茶色
愛人の吐息は紅茶色
親子の生活は薄茶色
夫婦の空気は焦茶色

一生は未来の記憶を
散りばめた一本の道
人生は未来の記憶を
ひろいながら歩く旅

【エッセイ詩】六月の思い出

【エッセイ詩】六月の思い出

梅雨六月の思い出のひとつに
夜下駄の音がある。
雨が上がった夜更けの街を
二つばかりの音影が
カラコロカラコロ過ぎて行く。
何をしゃべっているのだろう、
夜下駄の響く合間から、
忍び笑いが漏れてくる。
ぼくはたばこを吹かしながら、
窓から聞こえる夜下駄の音を
煙とともに追っていた。

一勝と一敗と

一勝と一敗と

劉邦は項羽との戦いで
たったの一勝しかしてない。
だけどこのたったの一勝が
彼を皇帝へと導いた。
勝ち続ける人生は、確かに
気持ちいいものかもしれない。
とはいえ負け続けの人生だって
決して悪いものではない。
夢さえ捨てなければ
いつかは劉邦の道を
歩めるかもしれないのだから。

項羽は劉邦との戦いで
たったの一敗しかしてない。
だけどこのたったの一敗が
彼の命取りとなった。
とはいえ彼は人生に

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【詩】雨の降る夜は

【詩】雨の降る夜は

雨の降る夜はたった一人で
蚊取り線香の光を見つめて
蛙といっしょに歌をうたうと
見知らぬ人が傘をさして通り過ぎる
 街は濡れ、人は濡れ
 辺りは変わり、色も濃く
遠くの船の音に魅かれて
異国の町に立っているような

いま、雲の隙間を星が
瞬きより速く過ぎていった
声を落としてギターはなく
耳を澄まして人はなく
 街は濡れ、人は濡れ
 辺りは変わり、色も濃く
寂しい雨の寂しい歌?
ううん楽しい、楽し

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