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「今日は夏みたいだね」

薄いピンク、濃いピンク。
一つ一つが大きなつつじの花。

いつの間にか、草木は鮮やかな緑。
水彩画のような水色の空。

公園の遊具の、鉄の匂い。
アスレチックのロープの匂い。
丁寧に刈られた芝。
そこに直接座った時の、乾いた土の匂い。

…甥っ子たちと、ちょっと大きめの公園で遊び
夏の気配を感じた、春の1日のこと。


久しぶり、いろいろ。


私は、公園を散歩することが好きだ。

今回は、甥っ子たち二人が遊べるように
ちょっと大きめの滑り台や、小さな丘、遊具、アスレチック、蔦の彩る緑豊かなパーゴラがあるような公園に行った。

いつもは運動がてら、ちょっと深めに呼吸をしながらゆっくりと歩くだけなので、公園にあるもので“遊ぶ”というのは久しぶりだった。


久しぶりに走った。
久しぶりに、自然の色や匂いを堪能した。
日の高いうちに出かけて
久しぶりに「もうこんな時間か」と、夕方が近づくのを寂しく思った。

「疲れる」ことはあるけれど
「遊び疲れる」というのは、本当に久しぶりだったような気がする。


遊び疲れるまで


7部丈のブラウス。
半袖でもよかったな、と思うほどの初夏の感じだった。

じんわりとかいた汗が
おでことこめかみを流れていく。

動くとすぐに汗をかくけれど
止まると優しい風が吹き、すーっと汗が引いていく。


久しぶりに、バドミントン。
どれほど強く打っても、向かい風では足元に戻ってきてしまい
追い風では飛びすぎてしまう
バドミントンの羽。

子供サイズのラケットは
手が短くて
でも足はスムーズに動かなくて
運動不足を痛感した。



“自分が歳を重ねたこと”と

自分にも確かに、“この公園を全力で楽しめる幼少期があったこと”を思い出した。


小さな風船、小さな交流


その日の公園には、おそらくインド人とみられる方々がたくさん集まり、カレーパーティーをしていた。

そして、帰り道。
スパイスのいい香りと共に、子供達がやってきた。


小さな青い風船と赤い風船を一つずつ、
甥っ子たちにプレゼントしてくれたのだ。


…日本語の「ありがとう」はちゃんと伝わっただろうか。
とても心が和んだ。

繋いでいた手をスッと離す程度には
風船に夢中で何よりなことだった。



心地よい疲れ。
ちょっとベタつく肌。

外でおにぎりを食べながら
「今日は夏みたいだね」
「暑い」
「汗かいた」
などと会話をした、夏のような、暖かい春の一日。


最後に、自動販売機で冷たいお茶を買って

冷房の効いた車でクールダウンする帰り道。

道路脇をずっと、つつじが咲いていた。
車のスピードで様々なピンク色のつつじを横目に見ていると
『千と千尋の神隠し』で千尋がハクに案内され、両親のいる豚小屋へ行く道中の美しい道が思い起こされて、とても綺麗だった。



いつか甥っ子たちも私と同じように
この時間を思い出した時、「いい時間だった」と思ってくれますように。




2024.4.30

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