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「もじょまじょ!」第1話

■あらすじ

デブやブスでモテない女――通称『喪女』。
30歳まで処女でいると、彼女たちは『喪女魔女(もじょまじょ)』として覚醒する。
本作の主人公、早乙女加恋(さおとめ・かれん)もその一人。
ある日突然、魔法が使えるようになった加恋は戸惑いつつも、リア充を爆発させたり、喪女仲間と楽しく暮らしていた。
だが、そんな加恋たちを快く思わない存在がいた。人々の外見至上主義が生み出した妖怪・ルッキズムだ。ルッキズムは、加恋の友人の精神を乗っ取り、SNSを用いて社会を洗脳。喪女狩りを始める。
加恋ははたして敵を倒すことができるのか!?
現代社会が抱える闇を痛快にぶった斬る! ギャグバトルファンタジーここに開幕!

■登場人物

  • 早乙女 加恋(30) 無職

  • マギサ(年齢不詳) 猫、加恋の使い魔

  • 白鳥 美咲(30) 主婦、インフルエンサー

■第1話


〇婚活パーティー会場・中

婚活パーティーの自己紹介タイム。
男女が分かれて椅子に座り、男性が一人ずつ移動してきて、会話をする。
早乙女加恋(30)の前にやってきた男A、

男A「早乙女加恋さん? どんな美人がくるかと思ったら」

と、加恋を見るなり、含み笑い。
次にやってきた男Bも、

男B「名前負けしてるって言われない?」

と、加恋を馬鹿にした笑み。
最後にやってきた男Cは、

男C「チェンジ」

と言ったきり、加恋を無視してスマホをいじる。

司会者「それではフリータイムの開始です。男性は気になる女性の前に移動してください」

一斉に立ち上がる男性たち。各々意中の女性の前に座り、歓談が始まる。
美人な女性の前には人だかりもできている。
一方、加恋の前に誰も男性が来ず、一人ぼっち。

加恋「……」

みじめな気持ちでうつむく加恋。(ブスでデブな外見をアップで描写)

〇新宿三丁目・街中(夕)

婚活パーティーからの帰り道、とぼとぼと一人で歩く加恋。
テッシュ配りのアルバイト、加恋にテッシュを差し出そうとして、加恋の外見に気付き、急に方向転換する。

<この世は格差社会だ>

<美人が得をして、ブスは見下される>

と、スマホが震え、画面を確認すると母親からのメッセージが届いている。

加恋の母親(メッセージ)「誕生日おめでとう」

加恋の母親(メッセージ)「今年こそ加恋ちゃんが結婚できますように」

加恋の母親(メッセージ)「早くいい人連れてきてね」

加恋、顔を引きつらせ、乱暴にスマホを鞄に仕舞う。
顔を上げると、手をつなぎながら前を歩くカップルが目に入る。

<あ、さっきパーティーにいた……>

カップル男、興奮した様子で、

カップル男「いやぁ、夢みたいだなぁ。こんな美人とカップリングできるなんて」

カップル女「私こそ。一目見て、あなたしかいないって思って」

カップル女、恥ずかしそうに上目遣いで男を見上げ、

カップル女「ねぇ……ダーリンって呼んでもいい?」

カップル男「!! じゃあ俺は姫で」

それを聞いていた加恋、思いきり顔をしかめ、

加恋「(小声で)リア充爆発しろ」

と呟く。
すると突如、(攻撃魔法が作動し)、カップルが爆発する。
ボン!という大きな衝撃音とともに、破片が飛び散り、噴煙が立ちあがる。

加恋「……え?」

困惑し、固まる加恋。
(カップルは爆風に吹き飛ばされ驚いた様子だが、怪我はなく無事)

〇渋谷スクランブル交差点(朝)

大勢の人々が慌ただしく行き交っている。
大型ビジョンに、昨日カップルが爆発した事件のニュースが流れている。

アナウンサー「昨日、新宿三丁目で起きた、若い男女を狙ったと思われる爆破事件について、警察は捜査を進めており……」

加恋「……」

リクルートスーツを着た加恋、大型ビジョンにちらりと視線を向け、足早に通り過ぎる。

〇派遣会社・会議室

長机を挟み、加恋、派遣会社の担当者と面談。

派遣会社・担当者「次のお仕事ですけど、あいにく今ご紹介できるものがなく……」

加恋「そんな……困ります! もう三か月も無職で……」

椅子から身を乗り出す加恋。

派遣会社・担当者「事務職は人気で、求人が出てもすぐ決まっちゃうんですよ」

派遣会社・担当者「企業側も選びたい放題と言いますか……」

派遣会社の手元の書類(加恋の履歴書)には、「容姿:C」と記入されている。

加恋「でも私、勤務態度は真面目だし、資格だっていっぱい……」

加恋、懸命に食い下がるも、

派遣会社・担当者「お役に立てず申し訳ございません」

と、担当者、深々と頭を下げる。

〇カフェダイニング(夜)

週末の18時過ぎ。店内には合コンをしている男女グループ客の姿。
その隣の席に座り、おしゃれな店内を居心地悪そうに眺めている加恋。
そこに、中高時代の友人・美咲(みさき)が遅れてやってくる。

美咲「久しぶり~! やだ、少し太った?」

加恋と違って、美咲は美人でスタイル抜群。服装も派手。
会った途端、失礼なことを言われ内心ムッとするが、平静を装う加恋。

加恋「前会ったときと変わってないよ」

美咲「うそ~! いいダイエット方法教えてあげよっか?」

席に着くなり、スマホを取り出し、ダイエット方法を検索し始める美咲。
そこに店員がやってきて注文をとる。

<美咲は悪い子ではない……>

楽しそうにダイエットトークをする美咲を眺めながら、加恋、運ばれてきたハイボールを飲み、懸命に心を落ち着かせる。

加恋「ううん、今はいいや」

と、ダイエットの勧めを断るが、

美咲「え~? なんで~? 痩せたほうが絶対可愛くなるのに」

と、美咲は唇を尖らせる。

<悪い子ではないが……>

心にモヤモヤが溜まっていく加恋。

美咲「そんなんだから、いつまで経っても彼氏ができないんだよ~!」

<うるさい……>

イラっとする加恋に気付かず、美咲は話し続ける。

美咲「今度ね、旦那の会社の人達とバーベキューするんだけど」

美咲「その中でいい人いたら、紹介してあげよっか?」

<うるさい、うるさい……!>

イライラが頂点に達した加恋、美咲の背後に座っていた合コン中の男女グループ客を爆破。

男女グループ客「きゃー!」

照明が割れ、加恋たちの頭上に降ってくる。

美咲「な、何!?」

頭をかばい、慌てふためく美咲。
加恋、ぽかんとしつつ、

<もしかして……>

と、自分の手を見て、ニヤリと笑う。

〇加恋の自宅アパート(朝)

ジャージ姿の加恋、朝食(カップラーメン)を食べている。
TVでは、昨夜起きた爆破事件について再び報道している。

アナウンサー「立て続けに起こった爆破事件ですが、警察では同一犯の犯行と見て、関連性を調査しており……」

加恋「……」

カップラーメンのスープを最後まで飲み干したところで、玄関のインターホンが鳴る。

<警察……?>

加恋、恐る恐る玄関に近づき、覗き窓から外の様子を伺う。
だが、人影はどこにも見当たらない。

<誰もいない……?>

マギサの声「ここにいるわよ」

加恋「……!?」

マギサの声が聞こえ、加恋、ビクっとする。
慌てて玄関ドアを開け、周囲を確認すると、足元に一匹の猫がいる。

加恋「猫……?」

長毛種のブサ猫は、加恋を見るなり口を開き、

マギサ「猫じゃないわ」

加恋「え……?」

マギサ「世界喪女魔女連合から派遣されてきた、あんたの使い魔よ」

と言いつつ、加恋の部屋にあがってくる。

マギサ「マギサって呼んで」

<猫が喋った!>

驚き、腰を抜かす加恋。
マギサ、面倒くさそうに加恋を振り返り、

マギサ「猫が喋ったくらいでいちいち驚かないで」

マギサ「あんた、それでも喪女魔女?」

と聞いてくる。

加恋「は……?」

加恋「もじょ……まじょ……?」

マギサ「やだ。あんた自覚もなしに、あんなに派手に魔法使ってたわけ?」

加恋「???」

困惑する加恋を見て、マギサ、大きくため息をつき、

マギサ「こんな都市伝説、聞いたことない?」

と説明を始める。

マギサ「30歳を過ぎた童貞の男は、魔法使いになる。じゃあ女の場合は?」

嫌な予感がして、ドクンと胸が鳴る加恋。

マギサ「30過ぎてモテたことのない女は、喪女魔女になるの」

加恋「いやだ……!」

絶叫する加恋。

加恋「私は喪女なんかじゃない!」

マギサ「最初はみんなそう言うわ」

マギサ「でも、あなたが起こした事件が何よりの証拠」

加恋「うっ……」

マギサ「あれが魔法じゃないって言うなら、なんて説明するつもり?」

マギサ、加恋のもとへ歩み寄ってくる。

加恋「……っ、来ないで!」

加恋、部屋の中にあった物(コップやティッシュの箱など)を浮かせ、マギサに向かって投げつける。
マギサ、それをひょいとかわしながら、

マギサ「爆発(エクスプロージョン)に続いて、念動力(サイコキネシス)まで!」

と感心したように舌を巻く。
そして、魔眼を発動し、加恋の喪女レベルを測る。

マギサ「喪女レベル――推定45! 使い魔と未契約の状態で、賢者級の値だなんて!」

興奮するマギサ。

加恋「うるさい! うるさいうるさい!」

マギサ「加恋! あなたには才能があるわ! 私と組めば、最強の喪女魔女になれる!」

加恋「だから、なりたくないって言ってるの!」

癇癪を起した加恋、部屋の中に氷の柱を生やす。

マギサ「嘘でしょ!? 氷撃(アイスショック)まで……」

加恋「たしかに今まで彼氏はいたことないけど」

加恋「これから出会う予定だし!」

加恋、カチンコチンに凍ったマギサを持ち上げ、玄関の外に投げ捨てる。

加恋「私のことは放っておいて!」

バタンとドアを閉め、その場に座り込む加恋。

加恋「~~~ッ!!」

<みんな私のこと馬鹿にして……!>

ひとしきり悔しさを噛み締めたあと、

<絶対に脱喪してやるんだから……!>

加恋、勢いでマッチングアプリをダウンロードする。

〇加恋・婚活の様子

マッチングアプリに登録した加恋。
加工アプリで作成した顔写真を使い、「いいね」が20個ほどつく。
にんまりと笑う加恋。
そのうち、3人とメールのやりとりをするようになるが……

1人目は、加恋が加工なしの写真を送った途端、音信不通になる。
2人目は会う約束を取り付けるも、男が待ち合わせに現れない。(加恋の顔を見て帰った)
3人目は、無事合流し、加恋を車に乗せるものの、

3人目の男「やっぱりここで降りてくれないかな?」

と、途中で加恋を下ろし、走り去っていく。

<最低な男ばっかり!>

憤慨する加恋。
ストレス発散のため、街中で目についたリア充を手当たり次第、爆破してしまう。

〇加恋の自宅アパート(夜)

マギサがベランダにやってくる。

マギサ「そろそろ諦めたら?」

加恋「……また来たの?」

マギサを睨む加恋。

マギサ「喪女が婚活なんかしても虚しいだけよ」

加恋「……」

マギサ「ちなみに魔法を使うごとに、喪女レベルが1上がるから」

加恋「早く言ってよ!」

マギサが帰ったあと、追い詰められた加恋、

<この手は使いたくなかったけど……>

と思いつつ、美咲に男を紹介してもらえるようメッセージを打つ。
美咲からはすぐにOKの返事がくる。

〇東京ビッグサイト・東ホール

休日、マギサに連れられ、ビッグサイトにやってきた加恋。

マギサ「加恋、こっちこっち!」

加恋「も~何なのよ、いきなり」

マギサ「今日は、喪女魔女がどんなものか知ってもらおうと思って」

ホール内は長机が均等に並べられ、同人誌即売会の様相。
どのスペースも黒っぽい服を着た妙齢女性たちで、ごった返している。

加恋「すごい人ね……これ全部、喪女魔女?」

マギサ「そうよ。今日は喪女魔女集会(サバト)だから」

加恋「サバトってこんな堂々とやってるの?」

カルチャーショックを受ける加恋。

マギサ「地味にやってれば、案外気付かれないものよ」

マギサ、会場内を案内する。

マギサ「みんな自分が研究した魔法を本にまとめたり、商品にして売ってるわ」

加恋「へぇ、勉強熱心なのね」

とあるスペースの前で足を止め、机に積まれた魔導書をぱらぱらとめくる加恋。
魔導書スペースの隣には、箒や大鍋、パワーストーン、爬虫類のはく製などが並んだ雑貨コーナーもある。
興味深く各スペースを眺めていると、数人の喪女魔女たちから声をかけられる。

喪女魔女A「あの……早乙女加恋さんですよね?」

喪女魔女B「動画見ました! そのお年で爆発魔法(エクスプロージョン)使えるんですよね?」

加恋「どうしてそれを!?」

驚く加恋。

喪女魔女A「事件にたまたま居合わせた友達が、撮影して送ってくれたんです」

喪女魔女B「すごい逸材が現れたって、喪女tubeじゃ評判で!」

喪女魔女たち、目を輝かせ、加恋に迫ってくる。

喪女魔女A「どうやったらあんなすごい魔法が使えるんですか?」

喪女魔女B「教えてください! 私まだ初歩の防御魔法しか使えなくて」

喪女魔女A「私も攻撃魔法って言ったら、せいぜい『足の小指を角にぶつけろ!』ぐらいで」

どっと笑う喪女たち。

喪女魔女B「エクスプロージョン生で見たいです~! やってみせてください!」

加恋「えっと、あれはリア充相手にしか発動しないので……」

などと躊躇っていると、警報が鳴り、一人のリア充が加恋たちの居る場所へ逃げてくる。

警備員の声「リア充が侵入したぞ~! 捕まえろ!」

マギサ「……っ、加恋!」

マギサ、加恋を見る。加恋、頷いて、

加恋「喪女魔女エクスプロージョン!」

と、魔法を作動する。爆発するリア充。警備員に捕まる。

喪女魔女A「すごい!」

喪女魔女B「加恋さん、格好いい!」

モブたち「よっ! 喪女の星!」

一躍皆からチヤホヤされ、照れる加恋。

〇焼肉屋(夜)・店内

喪女魔女たちと意気投合し、アフターで焼肉に来た加恋。
座敷席のテーブルには、ビールの空きジョッキや空いたグラスが沢山並んでいる。
酔っぱらい赤らんだ顔をした加恋、自分の婚活失敗談を話す。

加恋「でね、そんときの男ときたら……」

喪女魔女A「わかります、わかります!」

喪女魔女B「男って本当最低ですよね!」

加恋「モテないからって、何だって言うんだ!」

テーブルを拳で叩く加恋。

喪女魔女A「喪女差別反対~!」

ジョッキを掲げ、乾杯する3人。一気に酒を飲み干す。

<なんだろ……今日初めて会ったばかりなのに>

<すごく居心地がいい>

加恋、自然と笑顔になりつつ、考える。

<婚活なんて苦しいこともうやめて、喪女として生きていくのもアリかな……?>

そんな加恋たちを心配そうに見守るマギサとインコとモルモット。(喪女魔女AとBの使い魔)

〇美咲の家・リビング(夜)

モデルルームのようなお洒落な室内。
ダイニングテーブルの上に手料理を置いてスマホで撮影し、インスタに投稿する美咲。「#おうちごはん」「#愛され料理」「#カリスマ主婦」のハッシュタグ。
美咲のフォロワー数は5万人。瞬く間に投稿に沢山の「いいね」がつき、満足げに微笑む美咲。
と、夫からメッセージが届き、

美咲の夫(メッセージ)「急に接待が入った」

美咲の夫(メッセージ)「夕飯いらないから」

美咲「今日はどの女よ!?」

途端に怒りに顔を歪め、スマホ相手に怒鳴る美咲。
ハアハアと肩で息をしながら、気を取り直し、今度はTwitterを見に行くと、

加恋(Twitter投稿)「新しくできた友達と焼肉に行きました」

と、焼肉屋の七輪の上でピースサインを作っている3人の手の写真が目に入る。

美咲「……は?」

激しく眉根を寄せる美咲。

美咲「調子乗ってんじゃねーよ!」

思わず、スマホをソファに投げ捨てる。

美咲「ブスのくせに私より幸せそうなんて許せない」

悔しそうに爪を噛む美咲の背後から、妖怪・ルッキズム(王様ランキングのカゲのような姿を想定しています)が近づき、美咲の精神に入り込む。
すると、美咲の頭にツノが生え、鬼のような形相に変化する。
美咲は素早くスマホを操作し、Twitterの裏垢に

美咲(Twitter投稿)「最近つけあがってるブス多すぎ」

と呟く。その呟きは瞬く間に拡散され、「それな」「社会のゴミ」「顔面偏差値、自覚しろっての」等、様々な声が上がり炎上していく。
ついには、

??(Twitter投稿)「喪女って生きてる意味なくね?」

という呟きが総意となり、社会を洗脳していく。

〇加恋の自宅アパート(朝)

加恋、あくびをしながら部屋着姿のままゴミ出しに行くと、近所の人々から遠巻きに噂されている。

近所の人A「……あれが、噂の?」

近所の人B「やだ、こっち見たわ」

加恋「……?」

不思議に思いつつ、家に帰ると、マギサが慌てた様子で窓から入ってくる。

マギサ「大変よ、加恋!」

マギサ「喪女狩りが始まったわ……!」

加恋「喪女狩り?」

マギサに促され、TVをつけると、ニュースが流れてくる。

アナウンサー「ここで緊急速報です。政府は昨夜未明、少子高齢化の原因となっているモテない女、通称喪女を取り締まる法令を臨時国会で採決しました」

VTRが切り替わり、街中で警察に追われる喪女の様子が映し出される。

アナウンサーの声「規制の対象となるのは交際経験のない30歳以上でBMIが25以上、もしくは顔面偏差値測定器において平均以下の数値が検出された女性で……」

喪女(VTR)「助けて! 私、喪女なんかじゃないわ!」

警察(VTR)「嘘つけ! ここ一カ月化粧品の支出がない! お前、喪女だろう!」

警察(VTR)「しまむらの服しか持っていない! こいつは喪女!」

警察(VTR)「夏なのに黒タイツを履いてる! こいつも喪女!」

警察(VTR)「喪女だ! 捕まえろ!」

警察に取り押さえられ、悲鳴をあげる喪女たち。

アナウンサー「逮捕された喪女は強制収容所へ収監後、裁判を行います」

アナウンサー「そして裁判の結果、必要と認められた喪女については整形手術、断食合宿、性格改善プログラム等を行い、無事成婚となるまで国が決めた相手とのお見合いを続けます」

加恋「こんな……ひどい」

ニュースを見て、愕然とする加恋。

マギサ「恐れていたことが起きてしまったわ」

と、残念そうに首を横に振るマギサ。

アナウンサー「なお、先日起きた一連の爆破事件について、世界喪女魔女連合と名乗る団体の関与が疑われており、政府は余罪を追及しています」

TV画面には、喪女tubeに投稿された加恋の動画がモザイク入りで流れている。

加恋「もしかして、私のせい……?」

マギサ「ここ最近平和だったから……油断してた私たちも悪いわ」

ため息をつくマギサ。
部屋から出て、ベランダに飛び移り、加恋を振り返る。

マギサ「行きましょう、加恋」

加恋「え?」

マギサ「仲間を助けに行くの! 決まってるでしょう!」

加恋「でも……」

TV画面をチラ見する加恋。
捕まり、裁判にかけられた喪女たちが火あぶりに遭っている。(脂肪燃焼エクササイズをさせられている)

<ここで下手に動いて喪女だってバレたら、私も捕まっちゃう……!>

どっと冷や汗をかく加恋。
マギサ、ためらう加恋に苛立って、

マギサ「ここまで来て、自分は喪女じゃないとか、どうとか考えてるわけ?」

マギサ「この意気地なし! もういい!」

マギサ、ベランダから飛び降り、一人で仲間を助けに向かう。

加恋「あ……」

その後ろ姿を、ばつが悪い気持ちで見送る加恋。


(2話につづく)


第2話

第3話


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