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美大卒じゃないデザイナーがデッサン教室に通うと

2022年7月からデッサン教室に通いはじめた。理由はちゃんと絵の勉強をしたいという気持ちがあったのと、イラストを描く仕事で画力不足をしばしば感じていたからだ。このnoteではデッサン教室に通って学んだことを描いていく。

通っているデッサン教室

とある美術予備校の一般・社会人向けのコースに通っている。
これは毎週日曜日の午前中に2.5時間デッサンするコースなので、社会人でも無理なく通える(ありがたい!)。
通いやすさ以外にこのデッサン教室を選んだのは少人数制(3~4人)で美大受験生を指導している先生が教えてくれるからだ。
(部屋は別だが)受験生がデッサンをしている環境なので、いい意味で緊張感があるのもポイントが高かった。

デッサン教室に通うにあたって揃えたアイテムたち

デッサンの流れ

大きく3つのステップに分けられる。

デッサンの流れ

1, 構図を取る

モチーフ(デッサンする対象)のレイアウトを決めながらシルエットを描いていく。この時、図り棒でモチーフの視覚的大きさと紙面上での大きさの比率を図る。ここで構図が狂ってしまうと、後の工程に影響が出るので慎重に行う。

2, 陰影・調子をつける

モチーフの大体の陰影をつける。モチーフが持つ色の強さ(濃さ)や光のあたり具合を見て鉛筆を紙に乗せていく。

3, 質感や詳細を描き込む

モチーフの質感が伝わるように、鉛筆の硬さを変えて表現する。例えばモチーフが木材だったら、木目や節を観察しながら描き込んでいく。

この3つのステップを一周したら完成というわけではなく、2と3のステップを繰り返して完成に近づける。通っている教室では、2回分の授業(2.5時間×2)で絵を完成させる。

2回分の授業で完成した絵

授業中は、先生が時折見回りにきて、気になるところを実際に直しながらレクチャーするスタイルだ。先生の手の動きが間近で見られる方がとても勉強になる。通い初めの時は直接先生に修正されることに抵抗があったが、全然気にならなくなった!

デッサンむずかしい…

通いはじめて、実際に難しいと思っているところをまとめてみた。

線を真っ直ぐに引けない

「鉛筆を持った手を固定して肩と腕を軽く動かして線を引いてください。」と先生に言われてやってみるも、びっくりするぐらい線を真っ直ぐに引けなかった。Figmaやらデジタルツール上では直線なんて秒で引けるのに…。日々のデスクワークで衰えた腕の筋力を実感した。

視覚に騙されて構図が狂う

モチーフよく観察して、図り棒で構図を取って、よし!完璧と思っても、しばらく描き進めると構図が歪んだり、モチーフの大きさがうまく取れていなかったりした。先生によると主観的に描いていくと視覚によるズレに気づかないので、第三者目線的に時折絵を遠くから見るといいらしい。

モチーフを見ながら構図を取っても…
柄杓の金属部分が大きくなってしまった

対象の描き分けが難しい

複数のモチーフを描く時はモチーフ間の比較によって色や質感などを表現する。プラスチックは木材よりツヤはあるが、ガラスほどではない。というふうに比較した情報を絵に反映していくので時間が足りなくなる。
また、一つのモチーフを描き込みすぎると、他のモチーフとの色の濃淡の辻褄が合わなくなってしまうなどバランスをとるのに苦戦した。

この他にも難しいポイントはたくさんある。美大卒の同僚たちは、これを高校生のうちにバリバリ経験しているのかと思うとリスペクトが止まらない…!
こんなに難しいと思っているのにデッサンを続けられているのは、難しさを上回る面白さがあるからだと思う。

デッサンおもしろい!

デッサンで描いていて面白いと思ったところを3つ挙げてみる。

自分の目の使い方がわかる

先生から描き終わった絵の講評を受ける際に「立体感や重厚感を表現するのが苦手みたいです。一方で、表面的な模様や質感を描き分けるのは得意ですね。」と言われた。たしかに、UIデザインやイラスト作成をしていてpx単位のズレや色の変化には敏感になっている反面、立体物を観察する機会ってあまりないなと思って納得した。
先生には私がUIデザインをしていることを言っていないので、純粋に絵から目の使い方や癖がわかるんだ…と感心した。

モチーフの立体感や全体のバランスよりも
金属のコテに映る虚像を重視していた

圧倒的に集中できる

絵を描くことにひたすら集中できる。(毎回時間ギリギリに描き上げるので、他のことを考えている余裕がないw)静かな空間でモチーフと鉛筆と画用紙に向き合うと手の感覚が研ぎ澄まされる感じがして心地よい。
生活の中で唯一のデジタルデトックスタイムで、集中力が増している気がする。

観察力が上がる

デッサンのように長時間1つの物体を見つめ続けることは日常生活でそうそうない。じっと見つめ続けると、今までは気づかなかった影のやわらかさや質感の違いに気づけたりする。こういう気づきがおもしろくて、デッサンしていないときでもいろんなものを観察する癖がついてきた。さらに、どうやったら鉛筆で表現できるかもぼんやり考えたりするのも楽しい。

これは授業3回分で仕上げた絵。黒いビニール袋の質感に注目しておもしろかった!

描けば描くほど、いろんな発見があって全然飽きないし、手の感覚や集中力などが養われて充実感がある。

さいごに

画力不足を感じてスタートしたデッサンだったが、私の場合は画力よりも観察力のほうがぐんぐん伸びた。
以前聴講した深澤直人氏の講演でも「感じていることを自覚できることは創造の基本。」と言っていたし、デッサンによって観察力を上げることは長期的に見てデザイン力も良い影響を与えそうだ。

今後もゆるゆるとたくさん描いていきたいな〜

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