(20年ごしに)コンテパステルで絵を描く
コンテパステルとは
コンテパステルとは乾いた粉末の顔料を棒状に固めた画材のことである。クレヨン(パステル)のように油分はなく、チョークに近い質感で絵が描ける。今回は、コンテパステルで絵を描いてみた話をつらつらと書く。
20年封印されしコンテパステル
48色セットのコンテパステルのセット。
20年前の10歳の誕生日のときに親からプレゼントでもらったものだ。
子供の時は、木箱に入ったコンテパステルから気軽に使ってくれるなという圧を勝手に感じていた。「絵がもっとうまくなったら、これを使って描こう!」とか「使うのがもったいない。」と思い、ほとんど使うことなく実家の収納庫の片隅に眠ったままだった。
大人になってからも、実家で片付けられているコンテパステルセットが目に入る度に、「もらったのに全然使ってないな…。」「子供の時は絵が好きだったのにな…。」となんとなく申し訳ない気持ちにさせられた。
去年の転居の際、ずっと実家に置いておくのも悪いな…と思い、実家からコンテパステルを引き取って、自室のクローゼットにしまうことにした。
コンテパステルを使うとき
デッサンを始めて1年ほど経った頃に、デッサン教室の先生から「そろそろ鉛筆デッサン以外の絵も描いてみませんか?」と提案があった。
(デッサン教室の話は↑の記事を参照)
鉛筆デッサン以外の絵として、水彩画・色鉛筆画・ボールペン画と候補が挙がる中「うちに眠っているコンテパステルがあるんですけど、それを使って絵を描いてみてもいいでしょうか?」と相談してみたところ
「コンテパステルは教えたことないですけど、面白そうですね。ぜひやりましょう!」と快諾していただいた。
こうして、封印していたコンテパステルをデッサン教室に持っていくことになった。幸いにも、コンテパステル自体が乾燥した画材で、なおかつ木箱に入っていたため、20年くらい寝かせていても質が落ちていなかった。
デッサンをコンテパステルで
デッサンモチーフ
晴れてコンテパステルでデッサンすることになった。デッサンモチーフは鉛筆デッサンと違ってカラフルで大ぶりなものが選定された。
下描き
まずは鉛筆でモチーフ全体のプロポーションを取る。
ここでモチーフの大体の陰影を鉛筆でうっすら描いておく。
いつもなら、鉛筆で質感の下地も描き込むのだが、コンテパステルで着彩しながら質感を出すので、鉛筆の出番はここで終わる。
着色
コンテパステルで全体に着色する。鉛筆だと色の違いを濃淡で表す必要があるが、コンテパステルは色をそのまま表現するので、少し塗っただけでもモチーフのそれっぽさが出る。
描いたところを指で擦ってぼかしたり、ぼかした上に別の色を重ねたりとコンテパステルの色の重ね方にバリエーションがあって、とても楽しい!
一方で、色に頼ってしまうことで、コンテパステルの立体感が鉛筆よりも出しにくいと感じた。また鉛筆のように先が尖っておらず、細かい部分の塗りには全然向いていないため、色と色の境界が余白で分かれやすくなってしまった。
描き込み
色と色の境界や細かい部分をどうやって描き込もうかと悩んでいたところ、先生から「コンテパステルは水性の顔料なので、水彩色鉛筆を使ってみると相性がいいかもしれません。」と助言をいただき、水彩色鉛筆を使ってみることにした。
水彩色鉛筆とは、普通の色鉛筆とは違って芯が水溶性であるため、水を使って描かれた部分を濡らすと水彩絵の具のように扱える画材だ。
先生の読み通り、コンテパステルと水彩色鉛筆の相性が良く、しっかりと詳細な陰影を書くことができた。
(水彩色鉛筆も昔買ってもらっていたものがあったので、ちょうど使えてよかった!)
完成
4週に渡って描き上げた絵!完成したよろこびはひとしおだ!
厚紙の照り具合や羽根のふわふわ感、ボールのパイル地がうまく表現できたと思う。
コンテパステルの芯が太くてコントロールしづらい部分を水彩色鉛筆の合わせ技でフォローすることを発見できたり、コンテパステルのぼかし具合で陰影や質感を出す技を覚えたり、学びが多い絵だった。
さいごに
20年くらい寝かしていた画材をガシガシ使って絵を完成させたことで、「絵が好きだったのに全然描いてないな…」という長年の後ろめたい気持ちを「やっぱり絵描くの楽しいな〜」という気持ちに昇華することができた!
20年の間、コンテパステルを捨てるタイミングはいくらでもあったはずだけど、捨てずに取ってあったのも、この絵を描くためだったのかな?と勝手にエモい気持ちになった。
このタイムカプセルのようなコンテパステルがすり減るまで絵を描いてみようと思う。
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