マスブチミナコ

フッ軽すっ転び芸術家🏄‍♀️カオスを愛する多言語話者🧠ASD+ADHD

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その苦しみに、ひとつ角砂糖を

中学2年生のときだったと思う。担任の先生は、国語の女性の先生だった。ショートヘアというよりも「短く刈り上げた」という方がピッタリくるようなサッパリした出で立ちで、お腹を突き出すような立ち方をして、いつもベストを羽織っていた。 その先生が教壇で話したことを、20年近く経った今でも細かいところまで覚えている。国語を通して人生を豊かにすることをたくさん教えてくれた。 中でも素敵だと思ったのは「本は注文しない。出会うものだから」という言葉だ。今ほどすぐに欲しい本が買えなかった時代

    • 感覚過敏とASDをアートといっしょに歩く

      今日、外は眩しいんだろうか? 窓からカーテンを少し避けて外を見る。 太陽の光に思わず目を細め、サングラスを入れたかわいいケースがカバンの中に入っていることを確認して、小さく息を吐く。 今日も元気に過ごせたらいいなあ。 今まで断片的になってしまっていた自分の感覚の話を、できるだけ言葉にして今の記録として文章にしておこうと、この記事を書いた。30代後半で発達障害の診断に辿り着いた一人の女性の話だ。 未来のわたしが振り返るとき、自分の立ち位置を探るために役に立つかもしれない

      • 言葉のおくすり

        日曜日の夜。 少しずつ「今日を店じまい」していく。 洗い物をしながら、今日飲んだり食べたりした楽しい時間をもう一度思い起こす。楽しかったな。 今日は「あなたはかなり慎重に、精密にいつも言語化してるよね」って嬉しい言葉を言ってもらってしまった。 嬉しい、うきうき。 また見返したい言葉に出会ったりもらったりすると、わたしはスクショも撮って保存するし、ノートにも書き写す。 言葉が大好きなのだ。 大好きだからこそ言葉を通して大きく傷つくこともあるのだけど、そこから切り替えてくれる

        • 4.29

          注意を払うべきことを減らすと、普段より考えが「今、ここ」にとどまっていることを感じる。 本当は体が捉えていたはずの感覚信号を、脳がどんどん伝えてくる。 今日は歩いていて「風って、指の間でくるくる回ってるんだな」とはじめて思った。 そうして目の前の刺激ひとつひとつに等しく注意を払うと、感覚過敏は起こりにくくなる気がするので面白い。 最近また少しカメラを触っているのだけど、カメラのボディとレンズのぶん自分から遠いはずなのに、自分の感覚を正直に映し出す気がする。 「眼球がとらえる

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        その苦しみに、ひとつ角砂糖を

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        • 自分の文化を取り戻す
          5本
        • エッセイ
          13本
        • 読まれた記事
          8本

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          3行でいいから書いてみよう

          今までより少し、人の情報が入らないようにデバイスを使って過ごしていると不思議な気持ちだ。 自分がいかにひとつひとつの出来事に動揺して、それを戻さないまま次へ、次へと流されていたかがよく分かる。 だから静かに自分一人で書こう。 言いたくないことは書かなくてよくて、 怖いことも書かなくてよくて、 きっとそんなふうでも文字を綴ることはできるのだ。 不安が強すぎるあまりに、毎回一発逆転ホームランを打たなければと極度に緊張していたりする。 大丈夫だ、そんなの無理だ。 人は失敗する。

          3行でいいから書いてみよう

          ぬるりと粘度を持った冬季うつの日々

          頭の中にただ文字を流し込んでいきたいという欲望を常に抱えて生きている。 小さい頃は車に酔ってでも本を読み続けたし、文字を見ると吸い寄せられるように解読しようとしていた、と母から聞いたこともある。 だけど自分の求めているような文字の連なりに出会えることばかりではなく、また自分が読めるだけの体力を持ち合わせていない時もあり、どちらも悔しい。今は両方が入り混じった状態・かつ後者寄りである。 冬季うつの状態はもういつからだったか。 少なくとも10代の頃からなので結構なベテランなはず

          ぬるりと粘度を持った冬季うつの日々

          距離を出して捉え直す、掴めない自分と分からないままの世界

          「Salut, comment ça va?」 外国語レッスンのときにしか起動しないSkypeに連絡が入って、おや?と思うとフランス語の先生からだった。 「元気?今何してる?」「動画見てたよ」「いいね、どんなの?」「これ」「君は本当に日記が好きなんだね!」 不安なところは辞書アプリを使いながら、短いやりとりが続く。ずいぶんフランス語でもできることが増えた。 先生は「ふと時間ができたから送ってみた」とのことだけど、こういう連絡がとても嬉しい。 以前もしばらくレッスンを受け

          距離を出して捉え直す、掴めない自分と分からないままの世界

          自分の文化を取り戻す-脳特性と言われても

          Twitterのプロフィールから「ASD+ADHD」の文字をつけたり外したりしている。今は外したいターンだ。 ここ数日の急な寒暖差と、忙しかった疲れと、昨日の美容院でつけてもらったヘアオイルの香りで起きた頭痛を引きずっている。 セットしてもらいたいとき、これからどうしたらいいんだろう。無香料のヘアオイルを持っていくべき? さて、脳特性。 わたしはこの脳特性といふ概念を、自分の今の人生とどう結びつけていけばいいのか、まだよくわからないでいる。 というのも、36歳まで知る機会

          自分の文化を取り戻す-脳特性と言われても

          新年といろいろ

          ふと「あ、ポメラ、Bluetoothキーボードとしても使えるんだった」と今朝急に思い出し、iPadのキーボードとしてポメラを接続してこれを書いている。コワーキングスペースに寄りながら買ってきた甘酒ココア。新年ぽい。 年末年始はただでさえ疲れが溜まっていたのでゆっくりする予定だったのだけど、年明け早々から胸の痛むあれこれが発生してしまいましたね…。穏やかな日々が戻ってくるようにと願いながら、しかしながら一方でわたしの情報処理が追いつかなくなりそうなので、主にSNSをセルフで制

          新年といろいろ

          2023年の自分まとめ

          深津さんのnoteを拝見してわたしもやってみます! たくさん書きました 「制限をつけずに書いてみよう」としたら、タワーができました。おかげでメンタル大崩れすることが減ってびっくり。「脳の外に出す」って大事なんですねえ。 旅をしました 9月に岡山、11月に生誕地の種子島、12月に大阪。太陽の塔リアルミートも達成!コロナ禍で遠出できなかった分、あちこちに足を伸ばしてみて、いい思い出になりました。 本をたくさん読みました ここ数年、本を集中して読めないと感じることが多く

          2023年の自分まとめ

          光の中へ潜るなら

          今年の11月に、自分が生まれた場所をたずねた。 久しぶりの飛行機に乗って、そこからまたフェリーで小さな島へゆく、両親と祖母と過ごす3泊4日の旅だ。 生まれた場所は遠くて、ふらっと出かけられるようなところじゃない。 でも、そのほうが特別に感じることができて良いような気もして、心のどこかで安心しているところもある。 いったい故郷からどれくらいの距離に住むのが心地よいものなんだろうか? もし目安となる数値があるのなら知りたい気もするけれど、きっと自分の言葉にならない感情を言葉で

          光の中へ潜るなら

          自分の文化を取り戻す-足下

          やっと目の疲れがとれてきた。 ポメラで思う存分に自分のためだけに脈略のない文章を書き、「またnoteをたくさん書きたい」という思いが自然に指先から文字を打たせた。やっとまた楽しく書ける時が来たのかもしれない。 わたしは活字中毒だ。 言葉にできることは全て言葉に置き換えてしまいたいとすら思っている。その裏には「言葉というものが根本的に好き」という嗜好の部分と、またそれと相反するような「言葉に表せないものをわたしはいつも掴み損ね、人の気持ちを蔑ろにしてしまう」という実体験を含ん

          自分の文化を取り戻す-足下

          自分の文化を取り戻す-ヒールと東京

          もう見送った電車はこれで3本、次の電車がぎっしりと人を乗せて姿を見せ、ああこれも無理そうだ、とわたしは目線を落とす。 今までのわたしは、ずっと「無理矢理にでも電車に乗る人」だった。急がなくてはいけない理由があるわけでもないのに、無理矢理に乗っていた。今乗らないと、もう前に進む意欲が湧いてこないかもしれないと思って怖かった。 それは、わたしがあらゆる場面で抱える不安に通じていた。 世界から、取り残されたくなかったのだ。絶対に。 金曜日の19時前。 そもそもこの時間帯なら混

          自分の文化を取り戻す-ヒールと東京

          ポメラとの1週間

          こんなに忙しい12月ははじめてかもしれない。 「師走っていうけど、わたしは走ることなんてないわ~、仕事もないしねえ・・・」 なんて自虐するのがすっかり癖になるほどに社会とのつながりは薄かったし、そもそも冬になるといつも心も体もガクッとパワーダウンしてしまう。 今年、いつもと違うことがもうひとつある。デジタルメモ「ポメラ」を買ったことだ。まさに今それを使ってぽちぽちと文章を書いている。 言うなれば小さめのワープロという感じだろうか? 物理キーボードはやさしい押し心地で、キ

          ポメラとの1週間

          作ったら見せたいもん

          うまく書けないという状態、いわゆる「ライターズ・ブロック」になっている人は、作りたいもの自体の執筆は止まってしまうのに、その他の書き物はできることも多いという。 現代でいうと、「必要な書類は書けないのに、SNSにはたくさん投稿する」も近いものなのだろうか。 「書く」という行動自体は同じなのに、不思議だ。 わたしもこの状態に陥ることが、しょっちゅうある。 まさにここ数日も、noteで新しい記事の作成画面を何度も開いていた。 時には画像を設定してみたり、タイトルを設定してみたり

          作ったら見せたいもん

          自分の文化を取り戻す

          キッチンの照明はペンダントライトで、形も明るさもとても気に入っている。 そのライトの光がまつ毛に当たって、視界にキラキラした形が映り込むのは、実はもっと気に入っている。 これは物心ついた時からのお気に入りの時間で、他にも目を擦った時に浮かぶ色形を楽しんだり、やたら光に魅入られることが多かった。 おそらく脳特性によるものなんだ、と40手前で知ったときはびっくりしたけれど、今は、過去に抑え込んできた自分に再会したような気持ちになる。 先日、第10回成人発達障害支援学会横浜大会の

          自分の文化を取り戻す