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no.17 「返戻率」と「利回り」との根本的な違い

日本人は「貯金」や「積立て」を真面目に行う勤勉な国民ですよね。

それはとてもいいことなんですが、日本人のイメージとしてはお金は使わずに貯金箱に貯めておけばいつか役に立つという信仰というか信念のようなものがあるように思われてしょうがないんです。

これは生きていく上でとても大事な考え方だと思いますよ。

一方で、使わずに置けば減らないで積みあがっていくという安心感が根強いんだと思います。

そこには、そんなに増えなくてもとにかく減らないで貯金が積みあがっていれば安心できるという気持ちがあります。

で、積み立てた金額に、さらに運用された金額が乗るということをあまり期待しなくなってしまっているんじゃないかと思うんです。

それは、もう金融商品が30年近くも低金利とか無金利という状態が普通に続いているせいで、国民みんながお金を預けたり、お金を積み立てたりして増やしていくということにほとんど期待をしなくなったからという理由もあると思うんです。

今の30代未満の多くの皆さんは、1%以下の金利や利率が当たり前に感じられる時代を生きてきて、3%、5%、7%での運用なんて「そんなの怪しい」という目で見る方がまだまだ多いんじゃないかと思うんですね。

でね、この3%とか5%とかいう数字が「生命保険」の中に出てくる場合は人は安心出来るんですね。

それは、「生命保険」というものが日本人の生活の中に沁みこんでいるからではないでしょうか?

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「生命保険」には掛け捨てのものと積立てになるものとがあります。

積立ての生命保険には「終身保険」、「養老保険」、「学資保険」、「年金保険」などがあり、最近では「ドル建て保険」や投資信託などで積み立てていく「変額保険」もあります。

今まで、銀行に積み立てていたけど、「保障」もあって「積立て」にもなる保険にお金を預けるのが一般的になりつつあります。長期に渡る保障と資産形成を兼ね備えていると思われていますから。

一般に、生命保険の積立ての目安は「解約返戻率」で見られます。

解約返戻率とは、保険をある時点で解約したら戻ってくるお金をそれまでに支払った合計金額で割った割合になります。

ここに、あるカタカナ系保険会社のドル建て終身保険(低解約払戻金型)のモデルがあります。

30歳男性、支払期間30年、月払保険料11,650円(116.50$を為替100円で一定と仮定して全て円に置き換えてお話しします)、30年間総支払保険料4,194,000円という内容です。

30年間の保険料支払いが終わった直後の返戻率は140.6%で解返返戻金は590万円となります。この時の利回りは3.4%ほどになります。

では、支払いが済んでそのまま10年置いて40年後の返戻率は168.0%で705万円になりますが、この時の利回りは2.0%ほどになります。

50年後の返戻率は196.0%で822万円になります。「おう!約2倍になるんだ、いいね」と思いますか?この時の利回りは1.3%ほどになります。

30歳の男性が50年という歳月を経て手にする利回りは1.3%、、、いいですか?あなたが良ければいいんですが。

この場合、払い込みが済んですぐに解約すれば最も高い利回りを得られるということです。

返戻率には時間という概念がないんですね。

返戻率にはファンタジーがある?現実から逃避できるような。

一方、利回りは時間(期間)がなければ割り出せません。

利回りは、元手に年平均で何%の利益を乗せた運用だったかという事実を教えてくれます。その金融商品の正しい運用性能を教えてくれます。もちろん、その時点での運用性能であり、計測時期によって異なります。

注意すべきは、生命保険には変額保険を除き、運用という言葉は出てこないですね。返戻率だけでその保険商品が金融商品としてどれだけ優れているかどうかを測ることは出来ないということです。裏返せば、利回りを割り出してみればその化けの皮がはがれるということです。(*^^)v


【海外投資アドバイザーの古田島さんの記事を参考にさせていただきました】

https://rtrust.jp/2020/11/18/954/




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