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事務所の隣に越してきた人見知りの少女との距離が縮まった話 - 前編

ひと月ほど前にひとつの家族が事務所の隣に越してきました。私の事務所はバンコクのオンヌットエリアの大きな敷地内にあります。同じ敷地には大家さんの家、大家さんの娘さんの住む家、美容室、私の事務所、ワインバー、それと私や越してきた家族の住むアパートがあります。

事務所の隣には、以前はおいしいカオソーイ(北タイ料理でカレー味のヌードル)が食べられるお店がありましたが、コロナの影響でしばらく前にたたんでいました。店の跡には基本的な道具なんかが揃っていたので、越してきた家族がごはん屋をはじめました。

その越してきた家族ですが、少し問題を抱えてここへやってきたようです。年老いたおばあさんが3人、70才からひょっとすると80才にかかっている人も混ざっているかもしれません。それと63才の女性。この方は公務員で、王様の農地を管理するような仕事をしていると聞きました。それと9才の女の子と30代に見える男性がひとり。この男性は女の子のお父さんです。

大家さんとこの家族は何らかの知りあいで、家族の行き先がなくなり困り果てたのに見かねて、アパートに住まわせることにしたようです。家賃をとっているのかどうかなどは知りません。私が独りで住んでいる40平米くらいの部屋2つを6人で使っています。

家族に起こった問題がどんなことか詳しいことは知りません。遺産をもらうことができなかったのか、横取りされたのか、何かそういったことがあったようです。おかげで住む場所も失い、本当は働かなくてもよかったおばあさん達ですが(もうゆっくり休んでも良いような年齢です)、3人で食事をつくり、サーブして、洗い物をして、夜には翌日の準備と店の掃除をしています。

お店では、カノムジーンと呼ばれる米麺料理や日本人にも馴染みのあるガパオ、カオマンガイなどを日替わりで、様々なメニューを出しています。どれも一皿50バーツです。

お父さんはどこかに働きに出ている訳ではなく、ごはん屋を手伝ったり、客がいなければ、昼寝をしたり横になってスマホをいじっています。昔はバンコクの日系大手フリーペーパーの会社で配送をしていたらしく、「日本語の夜のあいさつは『こんばんわ〜』だよね?」と大きな声で言っていました。

なぜおばあさんが3人いるのか、お父さんはどうして外に働きにいかないのか、お母さんはどうしたのだろう? 分からないことは色々あるのですが、何にせよそういう家族が越してきました。

これらの事は大家さんと大家さんの親戚、ご近所さんが話しているのを、私がごはん屋で食事をしながら隣で聞いてたこと。それから、ひとりのおばあさんとは割と話をするので、「ここに越してくることになってみんなで涙を流した。小さい子がいるし、お金が必要だし、私達は年寄で先が不安だ」そういう話を聞いて、なんとなく状況を知った程度のことです。

* * *

私にできることは何かと考え、お店の前に置くチョークボードを買って、お店の名前を貼り付けて、これにその日のメニューを書いたらどうかと渡しました。ショップカードも作り、近所のポストに配ってみてはと話しました。

代わりにおばあさん達は私に昼ごはんをごちそうしてくれたり、お腹を壊していると言うとおかゆを作ってくれたりしています。

そうやって新しいお隣さんとの付き合いが始まったわけですが、その中にいる9才の女の子と44才の私の距離はなかなか縮まることがありませんでした…

後編へ続く。

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