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読書・映画感想文

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読んだ本や映画の感想文
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記事一覧

静寂に身を浸すことで感じられた「小さな声」

ときどき自分の声が小さすぎて聞こえなくなるときがある。 綺麗だと感じていたものへの確かな…

天狗だったあの日の自分へ

以前から気になっていた『大学1年生の歩き方』を読んだ。ちょうど明日から4月。この土日に街で…

それでも、この街で生きていく|映画「キリエのうた」を観て

10月、学生時代から仲の良い友人が東京を離れた。 19歳の秋に知り合い震災復興の渦中にあった…

自分を侵す価値観と対話

早いもので9月中旬。来週には秋分を迎えて、一応暦の上では秋に向かっていく。暑さも湿気もま…

泣くほどの理由もない。ただ一人ぼっちだ

ただ出会いを探しただけなのに、なぜこんなにも自分の人生について突きつけられ、悩むのか。 …

傷によって人は繋がれるのかもしれない

自分に特筆すべき感性なんてあるのだろうか。 日々の生活や映画、小説を通して、特別な感情や…

食べものを思い浮かべられること

最近、食べものについて思い浮かべられる幸せがあるのだということに、はたと気付かされた。 適応障害になったことは先日のnoteで書いた通りだけれども、心療内科に足を運ぶ直前は本当に精神的にきつくて、何かをはっきりと考えることすらままならなかった。その代表例が、食べものだ。 コンビニで食べものを前にしても、何を買いたいのか分からないのである。食欲はかろうじてあったものの、作業のようなものでとにかく感情がないままにものを口に運ぶというような有様だった。 以前から忙しくて、精神

「ピンとこない」の中にある傲慢さ

「ピンとこない」って便利な言葉だなと思う。その通りではあるのだけれど、目の前にあったはず…

繊細さと流れていく感情

川上未映子さんはどうしてこんなにも「繊細さ」を代弁してくれるのだろうか。本を閉じた瞬間そ…

黄色い家、危うさと隣り合わせだった過去

川上未映子さんの「黄色い家」。貧困や犯罪と隣り合わせの環境や家という小さな世界以外に社会…

ぼやける記憶の中で、確かにあったこと

東京の喧騒の中で生きていると、東北で育った頃の記憶がぼやけていく。生きる世界線が近いよう…

中学3年、夏。

中学3年、夏。僕が捧げたのは6人で襷を繋ぐ"駅伝"。自分のルーツを挙げるとしたら、絶対にあの…

ぼくらが見ているのは"片面だけ"なのかもしれない。映画「やがて海へと届く」をみて

映画「やがて海へと届く」を見た。 東日本大震災によって、東北へ一人旅に出ていた親友の失踪…

「普通」を身に纏えることの凄さ(映画「ハケンアニメ!」を観て)

仕事の休みをとったので、映画「ハケンアニメ!」を観てきた。 吉岡里帆さんのInstagramを見て知ったこの作品。 辻村深月さんの原作小説を映画化した作品だが、原作読んだことはなく、アニメにもさっぱり造詣が深くない自分。アニメ制作の現場を舞台とした群像劇との前情報に、おそらく知識が少なくても観れるだろうと思い観に行った。 物語は天才監督として注目を集める王子千晴(中村倫也)のアニメに触れたことがきっかけで、公務員から転職してアニメ制作の現場へ飛び込んだ主人公・斎藤瞳(吉