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高鳴る鼓動を奏でて

もしも、
人が生まれてから死ぬまで、心臓の鼓動の回数が決まっていたとして。

無事平穏で安定な、ただただ永らく安らかな、生き方が正解で、
無知、未知に好奇心を持って、時には無理難題に挑戦して、
興奮や感動、または代償として、挫折や失敗のある人生が、
仮にそれが生き急いでいたとしても、
誰が間違いだと言い切れるのだろうか。

動物たちもきっと、ただただ大きく広大な、
草原を、海を、空を見つけてしまった時に
思わず駆け出して、泳ぎ出して、飛び立って、しまいたくなるような。
それは本能のような。

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ここ一、二年の人類の、そして自分自身の物語は、
常に閉塞感との戦いで、どこか鈍行、各駅停車の車窓からのんびりと同じような風景が続いている気分で、
自分自身をドキドキさせることが、とても難しかったように思う。

息を吸って吐き出して、明日が来るのを待っている。

(自分にとって)“生きる”といこうことは、
そんな単純な作業の繰り返しなのか、
いいや、そうではない、ということを思い知らされる。


10年以上、音楽家として、
いまだにそれがたった1人の前だろうと、
数百、数千、万単位であろうと同じように、
人様より一段上の舞台、ステージに立つ度に、
心音は煩いくらいにボリュームを上げて、ようやく「お、生きてるな俺」ということを実感する。
新しい曲を作って、それを初めて人前で演奏する時には、
それはフルボリュームになって、「もうちょっと、大人しくしてくれないかな」と諌める。
時間が圧縮して、加速しているような錯覚に陥るほど、
いいや、時にスローモーションに感じられるほど、
何か、こう魂を削って、それでいて研ぎ澄まされて集中している感じがあって、
言葉や文章には言い表せないものがある(え?それを文字にするのがプロの仕事では?え?)。


心臓が口から飛び出るほど緊張して、
手がブルブルと震えて止まらなくて、
ボツボツ鳥肌が立つ程身震いして、
身体の節々からジワジワ変な汗も出て、
脳からもブシャーと変な汁も溢れ出て、
言い換えればそれは圧倒的にストレスかもしれないのだけれど、
見えないところで嘔吐して、
それが万が一大失敗に終わったとしても、

自分自身が、自らの意思で、進んで”ドキドキ”しにいく。
heart heat beat
そんなことが今、生きていると言うことを実感するのに、
どう転んだって、必要不可欠に思えてしまうし、
自分にとってのそれが、他の誰かに対しても同じように高鳴るものであるのならば、
大胆に、それでいて丁寧に、精魂尽くして掻き鳴らしていたいなと思う。

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明日からBIGMAMAというバンドの全国ツアーが始まります。
緊急事態宣言は解除されましたが、引き続き我々のライブは、決して無理はせず、各地域、各会場のルールを守りながら、です。
歓声も要りませんし、求めることも特にありません。
(さして大きな問題ではありませんし、いつの日か状況が戻れば、その時まとめてよろしくお願いします)
もし良いものを見たな、案外いけるじゃん、ひゅーひゅーと思ったら、
最後に音が鳴り止んだ時に、拍手で送り出していただけたら、それで本望です。
決められたルールの中で、自由に、自身のスタイルで楽しく頂けると何よりです。

そして余談ですが、
よりドキドキするために、
今回のツアーのラスト一曲は空欄になっていて、
初日の新木場公演は、僕以外のメンバースタッフは誰も知らされていません。
(他の日は誰が決めるかわからんけど)
どの曲でツアーの初日を、新木場スタジオコーストでの最後の公演を終わらせるべきか、その瞬間、その時の気持ちで決めようと思っています。

高鳴る鼓動を奏でて
未だ見ぬ自分を奏でて


<ここで言えない(言う必要もない)戯言や悪巧みはこちらで(503名様限定)>


褒められても、貶されても、どのみち良く伸びるタイプです。