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パブリッシャーのお仕事room6編

書く時は一気に書けるのですが、そのあとしばらく書けなくなるマンです。ですが、先日noteに書いたものが割と参考になりましたと言われる事が多かったので、今回もまた調子に乗って何か書いてみようかなと思います。

今回はちょっと自分たちの活動について書いてみたいと思います。room6ではインディーゲームパブリッシャーというお仕事を2年ほど前からぼちぼち続けています。いままで4作をリリースしています。その前にも数作パブリッシングではないのですが移植開発&リリース作業全般をやってます。というわけで今まで色々続けてみてどういう感じだったかをちょっと書いていこうかなと思います。

パブリッシャーのお仕事

パブリッシャーとはその名の通りパブリッシング、すなわちゲームをリリースをする会社です。要するに開発者様が開発したゲームをお預かりし、我々のお名前でもってゲームをリリースする、という事です。モバイルゲームやSteamをはじめ、いまや自分でゲームをセルフパブリッシングするのも当たり前の時代においてはそもそも何で必要なのかがいまいちわからんお仕事でもあります。

というわけで僕らのやっていることを羅列してみましょう。room6のサイトにもこっそりパブリッシングについての説明ページを作っていたのでそれも一度読んでみてください。(https://www.room6.net/publishing

プラットフォーマー様との折衝・・こちらは、モバイルやSteamではあまり関係無いのかもしれませんが、コンソール機では重要なお仕事の一つです。そもそも扱うタイトルをコンソール機で出してもらう為にプレゼンテーションしたりします。プロモーション面でもプラットフォーマー様が協力してくださる場合などもあったりするかもしれませんので、コミュニケーションを常に取っておくのは非常に大事なことです。

​開発機の購入及び貸し出し・・こちらもモバイルやSteamではあまり関係ないですね。コンソール機は開発機を購入したり開発キットをインストールしたりする必要がありますのでそちらを購入したり、はたまた開発者様にコンソールでの開発についてのノウハウをご提供したりします。room6では開発機の購入費用はパブリッシャー負担です。貸し出しには別途プラットフォーマー様とも直接NDA契約が必要なケースもあります。そういった事などもお手伝いします。

デバッグ会社様へのテスト依頼や折衝・・こちらも大事なお仕事です。ゲームのデバッグはやはりとても大事で、初動が大切な売り切りゲームではやはり初期のバグは致命的。なるべくリリース前に潰しておきたいものです。バグ取りだけではなく、各コンソール機ならではのガイドラインというものもありまして、そちらにちゃんと準拠していないとリリースが出来ません。そういったもののテストも業者様にはノウハウがありますのでしっかりテストしていただけます。そして、そのテスト業者様へのテスト仕様書の作成ですとか、報告シート作成、発生時には開発者様への報告や相談、その後の対応スケジュールの策定、などなど結構色々な付帯作業があります。そのあたりをお手伝いします。(修正自体は、もちろんお願いします・・!)

翻訳関連・・いまや日本語だけでゲームを出すことは珍しいでしょう。基本的には英語に翻訳というのは最低限行う事が多いです。room6では基本的には英語への翻訳費用は負担しています。もちろん、第2第3の言語への翻訳費用についても、掛かる費用次第ですがなるべく負担したいと思っています。(すごく費用が高くなる場合はご相談させていただいてはいますが)翻訳を行う際にはもちろん翻訳家さんと何度も何度もやり取りが発生します。これはもちろん開発者様にも入っていただいて沢山ディスカッションすることにはなりますが間に入ってあまり開発者様に負担がかからないようにします。(とはいえ直接話したほうが早いってケースも多いので、必要とあらば一緒にディスカッションします)

レーティング準備・・昨年の9月にNintendo SwitchはDL専売であれば日本向けのゲームでもCEROのレーティングが必要でなくなったニュースが駆け巡りましたね。ですが、DL専売であっても海外でリリースせず日本だけの場合(この場合国際レーティングIARCが取得出来ない)や、パッケージ版をリリースする場合はCEROのレーティング取得が必要です。こちらの取得費用についてもroom6が負担します。あと、案外大変なレーティング審査用の動画や資料の作成も行います。もちろん審査機関とのやりとりもおこないます。

リリース準備・・さて、リリースするためのバイナリや諸々の準備が出来ました。ここから、各プラットフォームごとにストア設定やロットチェック申請の準備作業があります。色々な入力フォームにテキストや画像などを設定していったりします。ここも、何回もやったことある人なら慣れてはくるんですが初めてだとけっこうたいへんだと思います。罠もわりとあります。登録しても審査が必要なものだったり、順序だったりとまあまあわかってないといらぬ期間が増えていったりするものです。このあたりももちろん代行作業いたします。あとは、ストアに載せるスクショを取って選定したり、ストア文言を考えたり、キャッチコピーを考えたり、、といったライティング作業も結構たいへんなんですが、そういうのもやります。もちろん作者様が考えてくださるケースもけっこうありますが。あと、もちろん用意するリソースはリージョンごとにそれぞれ必要です。これも結構面倒。

PV制作・・忘れてはいけないのはPV制作です。PVほんと大事。こちらの作成もroom6の方で行います。動画制作のプロの方とやり取りしたり、はたまた自社で作ることもありますし、色々です。もちろん作者様本人が作るのが実際のところは一番良いかもしれません。動画制作スキルがあるならそれがベストかもです。どちらにしても、大事なPVをどう作るかは一緒に考えることも多いです。

リリース前後のSNSなどでの広報活動・・ここはとても大事なところかつ、何が正解なのかはまだまだ全然わからない所ではありますが、一番緊張し、そして力の入る時期ですね。作品がどういった作品か、バックグラウンドや作者様の考え方やポリシー、いろいろなことを沢山ディスカッションして作戦を立てていきます。どの時期から情報を公開していくか、どれくらいの情報を出していくか、どこでPVを公開するのか、どういった文言で・・本当に細かなところまで色々考えて計画していきます。正解はあるようで無いようであるような気もしますが、とりあえずこれはもうやってみなくちゃわからないのもありつつ、過去の経験も含めてえいやっとやっています。room6ではゲームリリース後はroom6のTwitterアカウントをその作品のアイコンやトップ絵にして、その作品モードにして色々毎日つぶやいたり、感想をRTしたりなどしています。

プレスリリース作成・・ゲームをリリースするとプレスリリースを打ちます。これは必ずやります。有料のサービスを使います。プレスリリースを作成するのもなかなかに大変です。いまだにうまい作り方がわからないところもありますが、過去たくさん作ってきたので、その積み重ねで作っています。ゲームによっては広報タイミングを考慮して、リリース前にもリリース日決定段階でもプレスを打ったりとかするケースもあったりします。

メディア様とのやりとり・・これはリリース後だけではなくリリース前から行ったりもします。メディア様にこれこれこういうゲームが出ますので、という事をお伝えしたりします。リリース後に記事を書いてくださるメディア様がいますと、記事のチェックを頼まれたり、あとはインタビューのご依頼などがあったりなど色々とやりとりが発生します。そのあたりも基本的には一次受付ややりとりを行います。人気の作品ですと毎日たくさんご連絡を頂くのでそのあたり頑張って対応していきます。

メール対応・・リリースすると、レビューするからキーをくださいとか、実況するからキーをください、といった連絡が主に海外の方から結構たくさん来ます。こちらを慎重に吟味し連絡し対応して、渡して大丈夫かなど色々チェックして対応したりします。あとメールと言えば、いわゆるカスタマーサポート対応ですね。不具合などの報告ですとかそういった事へのお返事対応です。これも大事なお仕事。

リリース後の広報活動・・リリース後にもやることが沢山あります。room6では、keymailerとかWoovitといった、キーを登録しておけばストリーマーさんがキーを持っていってたまに配信してくれたりするようなサービスに登録してますので、そこに登録したりします。(海外でリリースの場合ですが)また、こちらも同じく海外リリースの場合は海外用のプレスリリース登録サイトに登録したりだとかも行いますし、色々なメディアへのメール投げ込みなども行います。room6ではたくさん資金があるわけではないので、たとえばデジタル広告への出稿などはあまりやりません。これは、小さな額ではあまり直接的な効果が少ない事がわかっているからです。ただ、もちろん話題作であり確実に売上UPや認知UPが見込めそうだ、となればえいやっとお金を使って広告を出稿、、ということもやってみたいなとは思いますが。

セール計画、実施・・こちらも大事な作業です。特にSteamではセールで購入される方も多く計画的にセールを打っていく事が大事です。打ちすぎてもよくないとはおもいますが、年のうち数回はやるのではないでしょうか。Steamではおおきなセール機会が1年のうち何回かありますので、そこに乗っかったてセールを打ったりします。Switchなどでもたまにプラットフォーマー様主導のセールがあったりしますが、Steamほど大々的な感じではないので、こちらはわりと好きなタイミングでセールしたり、Steamと合わせてみたり、、という感じでしょうか。

イベント出展・・こちらも超大事ですね。room6としてはここめっちゃ頑張りたいポイントです。BitSummitやTGS、デジゲー博、はたまた台北ゲームショウ、などなど出展が可能なイベントには積極的に出展します。いまはオンラインイベントばかりになりましたが、はやくリアルイベントに出たいですね。リリースタイミングによって色々ですが、リリース前の段階やリリース直後のタイミングで出展することが結構多いかもです。インディーゲームイベントだけではなく、他にもいろいろな関連イベントに出たりもしますし、World for Twoの場合などはroom6主催でコンサートを開いたりもしています。他にもいろいろな活動を計画していますので、ここはroom6としてはいちばん頑張りどころだと思っています。

グッズ制作・・作品や作者様の意向にもよりますが、グッズ作りたいね!となったらもちろん作っちゃいます。room6にはグッズ制作が大の得意であるデザイナーが何名もいますのでこういう時は非常に頼りになります。もちろん在庫管理から販売管理までやります。サウンドトラックなども作ります。グッズ、良いですよね。制作費も基本的にはroom6で負担し、売上をシェアするというパターンが多いかなとは思います。

移植開発・・忘れてはいけないのがこれですね。違うプラットフォームからコンソールに移植する際に、開発者様自体では移植のスキルが無かったり、はたまた次のゲームを作ってるので、というような理由で移植開発のご相談を受けることも結構あります。こういった開発もroom6ではよく行っています。room6自体の開発やデザインスキルもこういった事でもりもり上がっていくわけでありがたいご依頼です。もちろん社内のエンジニアが空いて無いと開発出来ませんから、常に開発を行えるとは限りませんが、その場合は社外の仲の良い信頼出来る開発者様にご依頼して一緒に開発するという事もあったりもします。もちろん丸投げはしません。この場合はやはり相応のコストがかかってきますので、開発者様とroom6で売上のシェア率をroom6の方を多めにしてもらうケースが多いですね。それにやはり掛けたコストをリクープ出来るのかというジャッジはやはりしないといけないケースが多いので全ての場合で出来るわけではないとは思います。

他パブリッシャーとの折衝・・これは主に海外のパブリッシャー様との折衝となることが多いです。やはり海外へのリリースは海外のパブリッシャー様の方が一日の長があることが多く、実績やそもそも掛けられるコストなどが多かったりコネクションがすごかったりします。もちろん、この場合は余計なシェアが嵩むわけではありますので、色々慎重に検討の必要はあります。ただ、room6の目的としてはまずは開発者様自身により沢山の売上が入ることを最優先にしたいので、自分らで全てパブリッシングするとかにはあまりこだわっていません。なのでより沢山売れそうであればこういった海外パブリッシャー様との協業も積極的に提案して、間に入って対応を行っています。実はこの作業がめちゃくちゃ大変かつ沢山なのですが(英語でのやりとりなども多いですし)、作者様のため沢山売って頂きたいので、頑張りどころです!(もちろん、僕らもそのおこぼれに預かりたいのもありますが)

その他・・他にもいろいろな相談などを受けて色々動いたりもします。税金のご相談なども受けますし、ゲーム作品そのものへのご相談ももちろん受けます。基本的にはこちらからどうこう言うことはないですが、作者様が悩んでいる時は気軽にご相談してほしいところです。この中には前回書いたような一緒にお仕事したりとかそういう活動もあったりします。兎にも角にも開発を健やかに進めるために努力は惜しみませんモードで頑張ってます。

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・・・こんな所でしょうか?なんか漏れてる気もしますが、まあこんな感じでしょうか。もちろんこれはroom6での事例でして、他のパブリッシャー様がどんな感じなのかは実はあまりよくわかっていません。またこっそり教えて下さい。ここに書いた事は誰に教わったわけでも、こうしてますという事を聞いたわけでもないので、これが正解なのかどうなのかは未だによくわかっていませんし、こうじゃないといけないということもないと思います。まあそこまで大きく変わらないとは思うのですが。

兎にも角にも、まだまだ我々は駆け出しですのでまだまだノウハウも足りていませんし経験値もこれからもっと貯めていかないといけません。いろいろなコネクションもまだまだです。なので、もっともっと頑張らねば・・と思っております。

しかし結構やること多いですね。でも正直開発者様が全部自分でやれないことは全然無いと思います。ただ、これめんどくさいなぁ〜って感じたらぜひパブリッシャーに相談してみてください。きっと力になってくれて、開発に専念出来る事でしょう。

やってみて

パブリッシングのお仕事なんですが、やってみて思う事があります。それはやはりお預かりする作品としっかり真摯に向き合う必要があるということです。当たり前といえば当たり前なんですが。そこが本当に大事だなと思います。たぶんパブリッシングで単純に儲けたかったら沢山の数のゲームを扱って画一的に最低限必要な作業のみを行うのが効率的なんだと思います。正直上に書いたこともいくらでもサボれる所がありますしね。でも、それじゃ全然面白く無いですし折角数あるパブリッシャーからroom6を選んでくださった開発者様に申し訳なさすぎます。

パブリッシャーにとっては沢山のゲームのうちの1本にしかすぎないかもしれませんが、開発者様にとっては命を削って作った大事な大事な作品です。自分の子どものようなものです。丁寧に丁寧に色々やっていくと、いろいろな事もわかってきますし、色々とお声が掛かったりとかなんだか色々良いこともあるんですよ。いやほんとに。綺麗事だけじゃなくて、実際本当に良い影響やフィードバックや案件やプロジェクトなどの実利がしっかりあるのです。信頼してもらうって本当に大事です。特にパブリッシングは素晴らしい作品と出会えるかどうかが大事ですからね。


・・って書いてみて、なんか俺らすごい頑張ってる!みたいな空気になってしまったので公開するかどうかが非常に悩ましい文章になってしまった・・。いや、頑張ってるとは思うんですが、うーん?まあいいか。。うっとおしかったらごめんなさい。

てなわけで、また明日も色々がんばります。


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