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ウクライナのロシアとの停戦は可能か?―ATACMS既に秘密裏に配備済みー                         

         記       2024.4.30                               石河正夫

昨年9月25日付のNOTEにおいて、ウクライナが米国に対し最も渇望している兵器はATACMS(もっとも強力な長距離対空ミサイル)である旨説明しました。
昨年夏ごろからウクライナの反転攻勢が成功しなかった要因をこのATACMS(対空射程300km)の使用によって克服できるからである。
これまで、ゼレンスキー・ウクライナ大統領要請に対し、バイデン大統領はこの長距離ミサイル供与につき、この最大射程300㎞ではロシア領内の奥深く攻撃能力につきロシアを過度に刺激する恐れがあるとして慎重な姿勢を示していた。
ゼレンスキーのロシアを刺激しないとの約束を得て、バイデン大統
領が決断したものの、米連邦の上院が、本年4月26日、約60億ドルの緊急支援予算として承認するための法的手続きが遅れていた。 
今回やっとクリヤーされたのである。
 
ここで速報が入りました。(乗り物ニュースより)
「米国の国防総省は2024年4月24日、MGM-140「ATACMS(エイタクムス)」地対地長距離ミサイルをウクライナ軍へ既に供与していたことを発表しました。  これはジェイコブ・ジェレマイア・サリバン大統領補佐官が明かした内容で、「かなりの数を供与するよう指示した」と明かしています。  今回供与していたのが明らかとなったのは、最大射程300kmのブロックIIAと呼ばれる長射程モデルです。  秘密裏に供与された新型のATACMSの一部は既に4月17日に、クリミア半島のジャンコイにあるロシアの飛行場攻撃に使用されました。  同基地攻撃に関しては、2023年供与されたATACMSでは、前線からギリギリの射程ということで、新型のATACMSで攻撃を行った可能性が、以前から海外メディアでは報じられていました。  この飛行場攻撃はかなりの損害をロシア側に与えたといわれており、S-400地対空ミサイルシステムの発射機4基のほか、S-400の管制センター及び防空レーダーなども4基破壊したとウクライナ参謀本部は発表しています。  なお、サリバン大統領補佐官は、ロシア領内の攻撃には使われないとの認識を示したうえで、今後もATACMS供与を続けるとしています。」
(写真を挿入)

              ATACMS発射の瞬間(乗り物ニュース提供)

(レンガ色の地帯をロシア軍が占領中ー朝日新聞ーww.asahi.com-)

ウクライナ軍が このATACMSを使用すれば、メリトポリやベルジャンスクまでのルートを確実に奪回できるし、うまくいけばアゾフ海への浜辺まで到達可能となる。
そうすれば、クリミア半島を占領しているロシア軍の防空システムをまず破壊し、200以上の備蓄倉庫(ロシア軍の補給のための)を破壊出来る事になる。
このように重要な戦略拠点を奪回しなくてはならないのだ。 
クリミアに存在する違法な軍事施設についても欧米諸国がやっと認識し始めてきた。
ウクライナ農産物の輸出に不可欠な黒海の制海権をロシアから取り戻す必要性についても欧米が次第に強く認識し始めてきている。
今や早期に停戦が実現すべく日本の総理ももっと発言すべきである。
岸田総理の米議会におけるスピーチなどは日米関係に限定されていたが、非常に良かった。米国式にユーモアのある表現を盛り込み、日本の総理の従来のイメージを払拭した感があった。
 
さて、最後に、ロシア側の反応はいまのところ目に入らないが、ロシア側はこれまでも政府系のシンクタンクを通じて「クリミアを奪回する試みはロシア指導部にとって勿論レッドラインだ。」と脅しのコメントを昨年出していたようだが、核戦力を使用すれば人類破滅に突き進む危機が訪れることは正常な神経の持ち主であれば十分理解しているはずである。
従って、今後、首脳同士だけでなく外相、国防相レベルの意見交換においてもっと、「もし、核戦力を使用すれば人類破滅の危機に突入する危険さ」を被爆国日本がもっと発言すべきではないか?

(了)

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