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「トークン化」の実相についての試論(0)ー noteの使用方法をめぐる試行錯誤

ブロックチェーン技術の出現により、さまざまなビジネスが分散モデルで展開することができるという言説が多くの人々の口にのぼるようになってきました。その際に必ずと言ってよいほど出てくるキーワードとして「トークン化」というものがあります。

さまざまな事業者の皆さんが「トークン化」と銘打って色々な事業アイディアを考え出しています。創意工夫を重ねることはたいへん素晴らしいことであると思う半面、色々と残念な検討に陥っているアイディアも多いように思います。

僕はこれまで国内外の事業家の皆さんにさまざまな「トークン化」のアイディアを聞かせていただき、実務に落とし込むためのお手伝いをさせていただきました。そのなかでは常に「トークン化」とは具体的に何を意味しているのか、この現象に対する検討と評価を自分の中で繰り返してきました。まとまった知見が外部にないため、いったんは見えてきたと思ったら、するりと手元からこぼれ落ちていく、そんなことの繰り返しです。

同時に今、この「note」サービスの使い方についても試行錯誤しています。

noteをめぐる僕の状況としては、大きく以下のとおりです。

1. 既に自分のメディアを持っている。

僕は以前からStartup Innovatorsというイニシアチブをウェブ展開しており、これをfacebook pageと連動するように運営しています。もともと僕が展開する主張は一部のセクターにフォーカスしたもので、関心のある人たちが読んで役立ててくれれば良いというものなので、自分のメディアの展開でも十分という状況にあります。


2. マネタイズの必要がない

記事によるマネタイズの必要は基本的にありません。もちろん時間をかけて書いていますので、その時間相当のリターンがあるに越したことはないですが、他方で反経済的な行為(「武士は食わねど高楊枝」的な行為)に価値を置きたがる傾向があります。これは士業の人達が持ちがちなアンビバレントな感覚で、日本の反商業的な商業感覚(ビジネスなのにカネを稼ぐこと以外に意味を求めたがる)とも言いかえられるかもしれません。

他のメディアにはないnoteの特徴として有料記事の配信というものがありますが、今のところサロン化の必要性を感じていません。このあたりが新進気鋭のインフルエンサーの人たちと比べた自分の古さなんだろうなと自覚しており、どこかでこの壁を破りたいと思っているのですが、まだできていません。

先日、「暗号資産規制のゆくえ」と題した記事をnote上で有料配信することに踏み切ってみました。これは記事のマネタイズというものを経験してみないといけないという思いで初めて行った試みです。なにせ自己メディアStartupInnovatorsにも一つも広告を掲載したことがない僕ですので、これはちょっとどきどきしました。大論文で暗号資産規制の今後についての非常に価値のある情報の提供(のつもり)であるにもかかわらず、100円という中途半端な課金設定とした点に、葛藤の心中を察していただければ幸いです。

3. 分散メディアとしての弱さ

分散メディアとしてのみ見るのであれば、多分noteよりもMediumのほうが自由度が高く、後ろのテクノロジーも優れているのでリーチは良いのではないかと思います。

実際、fintechがまだ人々に知られていない頃に世に問うたfintechの記事はMediumに出させてもらい、多くの反響をいただきましたし、insurtechに関するLemonadeの分析記事もMedium経由で多くの人に読んでいただいたところです。

特にグローバルで見たテック業界でのイケてる感を演出するのであれば、Mediumに記事を書いて、なんならGoogle Translateをもとに文章を整えた英文記事まで載せちゃうなんてことをしたほうが、明らかにブランディング的には良いように思うわけです。

ちなみに今試したところ、このnoteは、Mediumの記事を挿入しようとするとエラーメッセージが出る仕様になっているようです。こうしたテクノロジーアーキテクチャを用いたユーザ行動の制限をなんの説明もせずに行うからプラットフォーム規制が噴出するのですが、それはおいおいどこかで書くとしましょう(noteの中の人へ:当方の誤解もあろうかと思います。いずれにしてもMediumとの連携がうまくできないのは事実ですので、ご異論はまずは行動でお示しいただくべく、問題がない状態になりましたらお知らせいただければ幸いです)。

4. 日経新聞からの要請

日経新聞の運営するCOMEMOというソーシャルメディアでコメンテーターを引き受けていたのですが、日経新聞がnoteと資本業務提携して、COMEMOが自社運営からnoteへのマガジンへと移転してしまいました。

あまり予算を割当ててもらえないCOMEMOの機能改定がなかなか進まないなか、オープンイノベーションによるスタートアップとの協業というテーマに資本業務提携先のnoteプラットフォームへのCOMEMOの移管という構想が出てきたのだろうと邪推していますが、とにかく僕はnote上のマガジンとして記事を掲載することが求められるようになったわけです。


以上のnoteサービスを取り巻く僕の状況に鑑み、僕はまずnoteで、まだ煮詰まっていないアイディアを次々に書いてみるということをやってみたいと思います。

優秀な人はそうではないのかもしれませんが、僕は書いてみないと思考が整理されないタイプで、書くまでに悶々と頭の中でアイディアがぐるぐるしてしまうタチです。なので、アイディアを皆さんにお示しするのが遅くなってしまうという弱点がありました。

この弱点を打破するため、noteは特定のテーマでアイディアが煮詰まっていないものの断片をまさに「ノート」のように書くことに使ってみたいと思います。

アイディアの即時性は、おそらく日経新聞が求めているものでしょうから、その方針にも合うはずです。

ちなみにこの間気づいたんですが、COMEMOのコメンターのうち、上の世代の人たちやオールドメディアに慣れ親しんだ人たちは、COMEMOにおそろしく手をかけた大論文を公表する傾向があります。これに比べて若い世代の人たちはもう少しあっさりとCOMEMOを使っているように感じます。メディア観の違いといいますか、不完全なものは出せないという気質の違いなのか分かりません。日経新聞は、COMEMOをNewsPickに比べて長い記事を書かせるようサービスを設計しているフシが見られる一方、その点については意図的にコメンテーターに対して何も制限を課していません。どのように記事を書いても良いというのであれば、これを若い人たちのようにサラリと使うことも許されるはずであります。

以上の思考に至りまして、まずはそのうちまとめたものを書きたいと思いながら、法的には色々な要素が複雑に絡み合っている「トークン化」というテーマについて、年末までシリーズでいくつか記事を書いてみたいと思います。





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