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タネから森へ

妹の活動しているタネカラプロジェクトが、とある講演会で展示をさせてもらえることになり、そのお手伝いに行ってきた。
わたしは妹と違って知識も経験もないし、山にもそんなに行ったことのないふにゃふにゃの人間で、何も考えずに妹の車に乗せてもらい、到着したらみんな○○を守る会、とかの人たちばかりでちょっと気が引けてしまった。
妹は知り合いもたくさんいて、挨拶をかわす中、隣でうっすら微笑みながら、必要がありそうなら「姉ですー」と言ってみたりした。みんながんばってそれぞれの場所のために活動している人たちばかりなのだなと改めて思った。
他の団体の活動を知ることで、自分たちの活動の特徴が見えてくることもある。クマの会、イヌワシの会、栃の木の会、森の研究をする会、タネカラプロジェクトと同じように育苗、植樹を行っている団体もあった。

今回はたくさんの芽生えの写真を展示したのだけれど、ちゃんと活動内容や趣旨をプレゼンできるように準備もしておかないといけないねと帰りの車で話した。
主催のKさんが最後に言っていたことが印象に残っている。妹も同じことを思っていたようで、
「本当に、正しい自然保護って何だろうね」
とふたりで話した。突き詰めていくと矛盾にぶつかったりもする。みんなそれぞれの考える環境保護、それぞれの正義で動いている。
風力発電も太陽光パネルも、省エネという意味では環境保全なのだろう。ただ、そのために失われる森や生物がどのくらいなのか、そのことで引き起こされる他の環境問題がありはしないか。決定、実行されるまでにそのことを議論される時間がどのくらいあるのだろう。
何が正しいのか、それはわからない。経済を優先しながらSDGsを進めることはわたしは難しいと思うけれど、また違う道もあるのかもしれないし。

タネカラプロジェクトは、哲学だと思っている。
種の不思議、命の不思議、その不可解さ、曖昧さを受け入れることで気づくことがあるのではないか。
その気づきが、よりよい選択、行動をわたしたちにもたらしてくれるのではないか。
「花びらを摘んでも花の美しさを集めることはできない」と書いたのはタゴールだ。
わたしたちが本当に求めているのは自然の豊かさのもっと奥にあるものなのかもしれない。
活動に反して木が切られていく一方で、種をまき、苗にする。
森になるには何百年かかるだろう。
決して目にすることはないその未来を思い描きながら、動く。
結局、
「楽しいからやるんだよな」
という結論になった。楽しいことばかりではないけれど、一緒にできる仲間がいることが原動力だ。
苗木が育っているので、次は植樹の段階である。専門家の知恵を借りなければならない。同時にデータを取り、未来に残せるようにしていく。
途方もない話だけれど、『森作りの教科書』みたいなものができればいいなぁと勝手に想像しながら、美しい夕焼けをフロントガラスに見る。
わたしにできることは何かなぁと考えながら。

○タネカラプロジェクトはこちらです。どなたでも参加していただけます。
タネカラプロジェクト (tanekarap.com)

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