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急に起こる!アナフィラキシーショック

アナフィラキシーショックは急に訪れます。
適切な対応をしないと命を落としてしまう恐ろしい病態です。

アナフィラキシーショック、どこまで知っていますか?
一緒にみていきましょう!!

アナフィラキシーショックとは

アナフィラキシーショックは、急速かつ重篤なアレルギー反応(Ⅰ型アレルギー)の一形態であり、しばしば生命を脅かす病態です。
アナフィラキシーショックは通常、個体が特定のアレルゲンに曝露された際に免疫系が異常反応することによって引き起こされます。

https://www.kyoukaikenpo.or.jp/~/media/Files/kochi/20140325001/DR.kawasaki%20anaphylaxis.pdf
から引用
  1. 異物が体内に侵入します。

  2. 体内でその異物に特異的なIgE抗体が作られます。

  3. このIgE抗体が肥満細胞に付着します。

  4. この状態の体内に同じ異物が侵入することで、肥満細胞からヒスタミンが大量に放出されます。

  5. これにより血管拡張、血管壁透過性亢進、気道平滑筋収縮、浮腫などが起こります。

  6. 結果、血圧が下がり、呼吸困難を引き起こしショック状態となります。

まとめると…
同じ異物が2度体内に侵入すると、ヒスタミンが大量に出ることで血管が開いたり、粘膜が腫れたりします。

原因

一般的なものには食物(例:ナッツ、魚、甲殻類)、昆虫刺咬(例:ハチ、スズメバチ)、薬品(例:ペニシリン、アスピリン、ワクチン)などがあります。
獣医領域で多いのはワクチン抗生剤ですね。

症状

アナフィラキシーショックの症状は急速に進行し、重篤な場合は数分から数時間で致命的となることがあります。

一般的な症状には、虚脱、呼吸困難、顔面の腫れ、皮膚の発赤、吐き気や嘔吐、意識喪失などが含まれます。

アレルギーの時に見られる
『ムーンフェイス』

下の表はワクチンのアレルギー反応が現れた時間とその頭数です。

生命を脅かす呼吸器や循環器の反応はおおよそ5分未満が多く、
60分は要観察が必要なことがわかります。

治療

アナフィラキシーショックの治療の2本柱は

・静脈点滴
・血管収縮薬(エピネフリン)

上記でも示した通り、アナフィラキシーショックの時は血管が開き、血圧は下がっています。

ここで活躍するのが『血管収縮薬(エピネフリン)』です。
エピネフリンは血管を収縮させ血圧の低下を阻止します!
それだけでなく、気道粘膜の浮腫軽減、心臓の収縮力増強、気管支拡張作用を持つのでアナフィラキシーショック時の第一選択薬です。

また、血管が開いてしまったことにより、血管内の液体成分が血管外へ漏出してしまいショックを起こしています。
これを『血液分布異常性ショック』といいます。

このショックの改善のため静脈から輸液剤(乳酸リンゲルなど)を点滴し、血管外へ逃げてしまった液体を補充する必要があります。

上記の治療を行い、容体が安定してきたらその他の薬剤の投与を検討します。

その他の薬剤

  • ステロイド
    消炎効果を狙って投与しますが効果が発現するのが4時間後くらいなので、アナフィラキシーショックのような急性の反応では効果が薄いかもしれません。

  • 抗ヒスタミン薬
    すでにヒスタミンが放出されているので効果は限定的かも…。
    皮膚の症状には効果があるかもしれません。

いかがでしたか?
アナフィラキシーショックは救急対応が必要な病態になります。
ワクチンでのアナフィラキシーショックでは、元気な子が急にぐったりし、吐いたり、時には虚脱までするので、飼い主さんはかなりパニックになります。
血管が開いているので静脈確保もなかなか上手くいかず焦ります。

そんな中でも平常心を保ち適切な処置をして、目の前の命を助けましょう!!

今回は以上になります。
お役に立てれば幸いです。


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