最近の記事

『映画 ○月○日、区長になる女』から伝播する政治意識

『映画 ○月○日、区長になる女』は、杉並区で初の女性区長が誕生した栄光の実録ではなく、一住民たちの団結により、政治意識が伝播することを描いた作品だと感じた。 日本は世界の中でも投票率が低く、政治意識の低い国であると感じる。その日本において、政治意識が伝播する瞬間を映し出したことは現代において重要な意味を持つだろう。 作中で、投票率向上の難しさについて岸本氏と監督が会話する場面が見られる。今回の区長選挙において、当選の有力候補である前区長に岸本氏が勝利するには、新規票を獲得す

    • 映画『ナワリヌイ』多くの人に今観てもらいたいと心から思う

      多くの人にこの映画を観てもらいたい。この映画を観終わった時、真っ先にそう思った。 「もし殺されるとしたら、ロシアの人々にどんなメッセージを残す?」とナワリヌイ氏が聞かれるシーンからこの映画は始まる。悔しくもこの言葉は、今の私たちにとってとても大きな意味を持ってしまった。 彼は2020年にロシア政府の何者かから毒を混入されて殺されそうになった。 それは彼がプーチン政権を批判したためだろう。 彼は何度も警察に取り押さえられた。それでも彼は国民の前に立ち続けた。 彼は毒殺未遂の

      • 映画『WILL』 自分自身を正当化する私たちへ

        人は自分自身を無意識的にあるいは意識的に正当化しながら生きている。そのため、正当化できない事実を目の当たりにした時、事実を無視するまたは忘れる、あるいは事実を悪と定義することが多い。そうすることで人は生命を維持してきたのではないかと思う。本作で触れられていた「記憶を美化する行為」もその一例である。 多くの人は他者を傷つけながら生きたいとは思っていない。だが、私たちは生物を傷つけ、その命をいただいている。それは食事という行為だけではなく、仕事をすることや映画を観ることなど、人の

      『映画 ○月○日、区長になる女』から伝播する政治意識