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お袋の味。

そういえば、昨日の飲み会でちょっとイラっとしたことがあってさ。

どんな話の流れからそうなったのか覚えていないんだけど、なんか「お袋の味といえば?」って話になったんだ。

そしたらさ、肉じゃがやオムライスとか、カレーに唐揚げにハンバーグって、何の捻りのない名前が並ぶのよ。分かるよ、分かるけどさ、面白くないじゃんそれって。

スポーツでいったら固定されたスタメンみたいなもんで、順当に選ばれ過ぎてない?ちょっとアイツ誰?みたいな選手がひとりいた方が盛り上がらない?そう期待したんだけど、そんなやつは誰もいなくてさ。

あ、でもさ、皆んなにとってそのスタメンたちがお袋の味なら、面白くないじゃんって言えないのもあるわけよ。なんかさ、皆んなのお母さんに面白くないって言っているように思えてさ、そこは我慢したのよ。

で、だからね、そんな中、俺は「ガッチャマン」って答えたんだ。

ん?

そう、今のお前のように、皆んなポカンだよ。

分からないのは当たり前なんだけど、頭の上に?マークってこうやって見えるんだって初めて思ったよ。

けど、この世に「ガッチャマン」って正式な料理名はないのよ。だって、うちの母親がつけた名前なんだもん。

だからガッチャマン=料理と分かるやつがいるはずないわけ。逆にいたとしたら怖い話に変わってしまうのよこの話は。

同じように、そんな説明を皆んなにもしたんだけど、そしたらさ、皆んなからの質問攻めが始まるんだわ。

「それってウルトラマンやキン肉マンと関連してるの?」「そのネーミングセンスどうなの?」「それがお袋の味なの?」って、次から次へと。完全にいじってきたのよ。

俺は我慢したのにさ、それって俺の母親もいじってことになるから。と、思ったら段々イライラが募ってきてさ。酒のペースが速くなったわ。

そうだ、お前だけには教えとくよ。あいつらには言わなかったけど。

「温めたフライパンにバターを溶かして、卵を二つか三つ落とす。そこに白コショウを少し多めに振りかける。黒コショウだと味が変わっちゃうので要注意。

最後にめんつゆを入れてかき混ぜるんだけど、混ぜ過ぎないのもポイント。あとは、どちらかというと焼くというよりは煮るに近いのかも。完全に火を通すわけでなく、火の通った所やレアな所が混在している感じが理想的」

これって、俺が小さい頃から母親がよく作ってくれた料理で、俺はそれが大好きだった。いや、今でも大好きで、たまに無性に食べたくなるから不思議。

昔、同棲していた彼女にも作り方を教えて、何度も作ってもらったし、今は妻にも作っても貰っている。そう、子どもたちも「ガッチャマン」は好きでさ。

おふくろの味は着々と受け継がれているだよね。もしかすると、昔の彼女も結婚して食卓に「ガッチャマン」が並んでいるかもしれない。

そう思うと面白いよね。

こう話していると、ルーツである母親が作った「ガッチャマン」を食べたくなってきたわ。

あ、ごめんごめん話過ぎた。

で、お前の話って何だっけ?

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