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暗号通貨業界に見え始めた危険な兆候と今後の戦略

暗号通貨の値上がりがクリプト市場を加熱させています。

ビットコインは米ドル基準で3年ぶりの高値を更新しました。

2011年から2024年までのビットコインの米ドル円チャート

イーサリアムやソラナも前回のバブルにつけた最高価格に近づいていて、日本円換算では円安の効果で最高価格を更新しています。

2020年から2024年までのソラナの日本円チャート

この状況は、クリプト業界の人にとって喜ばしい一方、懸念点も出てきています。

それは、クリプトメディアのニュースが

技術や事例に関するニュースが少なく、ほとんどがトークンやETFなどに関するニュースになってしまっている

ことです。

これは良くない兆候です。

なぜなら

クリプトの本質的な価値が向上していないのに、金銭的な価値だけが上昇している状態

を意味するからです。

クリプトメディアは、サービス運営する収益を稼ぐため、PVが稼げる記事を多く載せます。

なので、トークンやETFに関するニュースが多いということは

それだけトークンやETFに関するニュースはユーザーに需要がある

ということです。

つまり、今クリプトに関わっている人達は

技術や用途よりトークンやETFの価格がどうなるかに興味がある人が大多数になっている

ということです。

これは別に悪いことではありません。

しかし

現在のクリプト業界は、技術の進化の速度より、暗号通貨価格上昇のほうが速度が出ている状態

です。

私の去年2023年時点での予想では

2024年から2025年中盤にかけて暗号通貨バブルが発生し、その後にバブルが崩壊する

という考えでした。

実際、目論見通り暗号通貨の価格は上がっていますが、現在のクリプト業界の状況を冷静に見ると

これ以上価格上昇する要素がほとんどない

状態です。

そこで今回は

暗号通貨業界に見え始めた危険な兆候と今後の戦略

というテーマで記事を書きます。

具体的には

  • 暗号通貨暴落の歴史とその兆候

  • 現状の分析と今後の戦略

について記載します。

暗号通貨暴落の歴史とその兆候


まずは

過去の暗号通貨バブルとバブル崩壊

について復習します。

暗号通貨業界は歴史が浅く、あまりデータがないのですが

賢者は歴史から学ぶ

という格言通りの行動が重要です。

まずは過去のバブルと今回の暗号通貨バブルを年表にします。

暗号通貨バブルの年表

綺麗に約3年スパンで暗号通貨バブルが発生しています。

次はチャートを見てみましょう。

分析する暗号通貨はビットコインの次に歴史があるイーサリアムにします。対象は米ドルです。

2016年から2024年までのイーサリアムのドル円チャート

前回のバブルと今回のバブルを比較すると、2024年後半に再び価格上昇のフェーズに入りそうです。

しかし、2018年の場合は一気に最高価格に向かったあと、一気に価格を下げています。

一度下げてから価格をさらに上昇させた2021年とは動きが違います。

今回2024年は、どちらの状況に近いのでしょうか。

比較してみましょう。

バブルの原因を分類します。

暗号通貨バブルの原因と年表

このような結果になりました。

なので

2024年の暗号通貨バブルは、2018年ICOバブルに似ている

と言うことができます。

ICOとはInitial Coin Offeringの略称で

新たな仮想通貨を発行し、それを公開販売することで資金を調達する

手法です。

ETFはExchange Traded Fundsの略称で

連動する指数

です。

どちらも

将来性の高い暗号資産を金融に用いて、投資家からマネーを調達する

という仕組みです。

このことから

今回のバブルは2018年のICOバブルに近い動きをする可能性が高いです。

となると

今後は徐々に価格が下がっていく

ということになります。

先ほどの年表に、バブル崩壊を引き起こした原因を追加します。

暗号通貨バブルの原因とバブル崩壊の原因の年表

これを見れば一目瞭然です。

暗号通貨がバブル崩壊を引き起こすのは、金融業界がクリプトからマネーを引き上げる出来事が起きた時

です。

つまり

金融業界の人にとっては技術やイノベーションなどは二の次で、自分がお金を増やせれば良い

ということです。

たとえ世の中を変えるイノベーションであっても、お金儲けにならないのであれば、金融業界は見向きもしません。

彼らにとっては

イノベーション == 金儲け

であり、彼らが言葉にする綺麗事は、全てお金儲けのための虚言です。

なので今回2024年のバブルも

金融業界にとってマイナスな出来事が発生したときにバブルが崩壊する

はずです。

それが何かは未来のことなのでわかりませんが

最近のクリプトと金融の露骨な連携をみると

暗号通貨バブル崩壊はそんなに先のことではないと思っています。

現状の分析と今後の戦略


2024年4月後半現在、個人的に危ないと感じている暗号通貨関連の動きは

  • イーサリアムETF

  • 前回の暗号通貨バブルを引き起こしたNFTのようなイノベーションが生まれていない

  • 成長が期待できるサービスが生まれていない

ということです。

前回の暗号通貨バブルでは、NFTという新しいイノベーションが生まれ、その需要から発生した大量のトランザクションに耐えることのできるブロックチェーンsolanaなどが作成され、クリプト業界そのものが急成長しました。

他にも

  • アクシーインフィニティ

  • STEPN

といったNFTゲームが誕生し

「ゲームで稼ぐ」「歩いて稼ぐ」

など、新時代の到来を思わせる様々な事例が起きました。

しかし、今回の2024年の暗号通貨バブルは

クリプト業界を引っ張るような技術やサービスが生まれていない

のが現状です。

2024年の暗号通貨バブルは、ビットコインがETFに採用されことによって

「今後値上がりが期待できる」

という金融業界の人が生み出した期待感だけで暗号通貨の価格が上がっています。

もちろん、技術的な進化が完全にゼロと言っているわけではありません。

ゼロ知識証明に関するプロジェクトが実践投入されているし、ブロックチェーンの弱点をカバーするEigenLayerなどのプロジェクト、モジュラー型ブロックチェーンといった新しいアーキテクチャーを採用するブロックチェーンも誕生しています。

しかし

前回のNFTバブルより、明らかにインパクトがありません。

ゼロ知識証明やEigenLayerがNFTのように、メディアに注目されて脚光を浴びる可能性は、ほぼゼロです。

ゼロ知識証明はブロックチェーンのバックエンドの技術だし、EigenLayerに関しては懐疑的な人も多いです。

なので、現在の暗号通貨バブルは

好調な金融市場に支えられているだけで、ブロックチェーンのイノベーションが評価されているわけではない

ということです。

なので今後は

景気動向に注視して、金融業界が暗号通貨から資金を引き上げる相場にならないかに気をつける

ことが重要です。

もちろん持続的で優れたプロジェクトはあります。

しかし、このようなプロジェクトはバブルが崩壊しても潰れずに水面化で成長を続けるので、割安になってからでも購入できます。

なので今は

金融市場に支えられている暗号通貨バブルで、クリプト業界の実情と比較するとちょっと価格が高すぎる

ということ認識して暗号資産に投資をしていく必要があるでしょう。

まとめ


今回は

暗号通貨業界に見え始めた危険な兆候と今後の戦略

というテーマで記事を書きました。

まとめると

  • 暗号通貨の価格は過熱気味

  • 金融市場の暗号通貨ETFに対する期待が暗号通貨の価格を押し上げている

  • 前回のバブルと比較すると目に見えるイノベーションは起きていない

ということです。

最近では日本でもweb3の法律が整備されてきましたが、肝心のプロダクトは育っていません。

これまで私がweb3の開発をしてきて思うのは

既存の仕組みをweb3に焼き直しただけのサービスは社会に浸透しない

ということです。

実際

分散型より中央集権型の仕組みのほうが優れている

と思うことはかなり多いです。

一方で、分散型のほうが明らかに優れていると思う分野もわかってきました。

web3に関する知見も色々と溜まっていきているので、そのうちインパクトのあるサービスが生まれるでしょう。

しかし、まだその時期ではありません。

なので、ETFバブルの崩壊には気をつける必要があります。

この記事がみなさんの参考になれば幸いです。

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