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相手との共通点の見つけ方 -コンセプト作りのヒント-

こんにちは。PRISM DESIGNの小林です。
広島県福山市でインテリアデザインを中心とした仕事や
閉店された老舗喫茶店の古式焙煎機を引き継ぎ、
BATONという自家焙煎カフェの運営をしています。

デザインの仕事をしていて、またカフェに店主として立っていて
最近になって、結構重要だなと感じていることが相手との共通点を見つける作業。

カフェの場合、接客業で話す話題が多岐にわたるため、色々情報収集しておくことはもちろん大事なのですが、そもそもお客様にとって興味のない話題は伝わりません。そこで僕たちの間にある共通項(場所だったり、気候、時間、人など共有しているもの)が必要になります。ここで言う共通点はとても大きな捉え方ができる抽象度の高いもの(話の芽の様な具体性の無いもの)になります。それをもとに共通の話題を組みててていくわけですが、この組み立て方って、デザインのコンセプトなどの組み方にもとても良く似ています。

コンセプトってなんだ?

コンセプト。
最近ではデザイン界隈のみならず、
広く世間でこの言葉を耳にする機会が増えてきた様に思います。
しかしながらまだまだ馴染みの無い方も少なくないはず。
プロジェクト全体を一貫する概念のことをコンセプトと言いますが、
デザインの観点からもう少し解像度を上げてわかりやすくしてみます。

例えば、商品開発を行う場合、一貫性というのは、
商品企画から、商品を購入してくださる消費者の生活をまでを指します。
開発者、生産者、営業員、販売員、消費者までが
商品の魅力を理解し説明するときに
相手に情報を削ることなく、伝わりやすく、伝えやすいもの、
そして伝えたくなるものが、コンセプトとして優秀なものになります。

会社や企業グループに、行動指針やスローガンなどがあるのも同じ理由で、
創業者や経営者、指導者などの意図や思いを、
極力ロスが少ないように現場スタッフまで伝えることに意味があります。

僕たちが根幹となるコンセプトを重要だと考える理由はこの点で、
伝えやすく伝えたくなるコンセプトは自走します。
そのためには分かりやすい言葉で端的に表現する必要があります。
詩的な表現は分かりにくくなりますし、長文になるとおぼえられません。
いくらかっこいいコンセプトを考えても、
実際に商品説明をされる現場スタッフに理解されていないコンセプトは、
お客様にまで届かないという事故が起きます。

コンセプトとは、作り手から消費者、企業と顧客も、会社内などもそうですが、
その概念を共有する範囲での「共通言語を探す作業」とも言えます。

コンセプトの作り方

このように重要なコンセプトなのですが、どのように作っていくかが
はじめに話したお客様との共通の話題を見つける作業に似ています。

例えば共通のフィギュアを集めという趣味を持った2人が居たとします。
ニッチで希少性の高いコレクションの話題は、その2人の間では成立しますが、
そこにフィギュアの価値が分からない人がいる場合には
話が認識できなくなります。

そこで出てくるのが、「置き換え」
そのフィギュアに出会えた確率や希少性などを、
田舎でハリウッド俳優の〇〇に会えるくらいの奇跡という置換を行い
その人の持っている情報に置き換えることで、
間接的に理解できるようになります。

これは、私達は聞いたこともない
遠くの国の料理や習慣のようなものは理解できないし、
トルコで有名なYoutuberを日本国内で見かけても、
ほぼ認識出来ないのと同じです。
(くれぐれもトルコ人Youtuberには何の悪意もなりません)

具体的なものを、共有する範囲での共通言語に変えて抽象化することで、
やっと伝わる情報として認識できるようになります。

例えば、ミラノで修行したシェフのフレンドリーなイタリアンバルの計画を任された場合、素材はミラノの町並みを構成するものを使って現代的に表現する方が
依頼者であるシェフは自分の店としてイメージしやすいでしょうし、ドゥオモをモチーフにしたディティールやその平面計画に取り入れるのも良いかも知れません。陽気な雰囲気がでるように客席同士の距離を近づけ、話が弾むように音楽もすこしアップテンポのものがよいでしょう。

コンセプトを届けたい範囲での共通言語は、先の趣味の話のように知識レベルによっても変わりますし、国を跨いでしまうと言語やその人を取り巻く環境、文化なども大きく変わります。ここでの共有言語はシェフの体験したミラノをお客様に届けることです。そのためには伝えたい側の話をよく聞いて、
要素を分解して、単純に組み直して、伝わる情報に整理する事が必要になります。

結果的に
子供でもわかる単純なコンセプトというのは強いということです。


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