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30年間イノベーションが起きていない隠れた巨大市場を切り拓く「最適ワークス」誕生秘話

こんにちは。スカイディスクSaaS事業部長の畑村です。

タイトルは誇張しすぎた感もありますが、今回は最適ワークスをより多くの皆様に知っていただくためにあえて挑戦的にしてみました。

イノベーションが起きていない隠れた巨大市場とは?

さて、30年間イノベーションが起きていない隠れた巨大市場について。

最適ワークスは製造業の根幹ともいえる生産計画。そのなかでも小日程計画と呼ばれる製造の各工程、設備、スタッフの緻密な組み合わせを立案する生産スケジューラと呼ばれる分野にフォーカスしています。

製造業各社は多種多様な製品を生産しますが、生産スケジューラがカバーする範囲は時間単位の緻密な製造スケジュールで、工場全体に導入を進める場合は1社で複数の契約が必要となるケースが大半です。

製造業は日本のGDPの約20%を占める一大産業。市場のポテンシャルは非常に高いといえますが、この分野、30年ほど前からパッケージ型のソフトウェアは存在するものの、SaaSかつ計画の自動立案までを実現しているサービスは現時点で最適ワークス以外にほとんど日本に存在しません。

生き馬の目を抜くIT業界。SaaSで実現できるものは何でもSaaSで、というこのご時世で、生産計画の立案に最新テクノロジーが用いられず取り残されてしまったのには理由があります。

取り残されてしまった理由

生産スケジューラは各企業の製造現場で発生する様々なルールを考慮することが要求され、同じような製品をつくっている会社でも、会社毎に所有する設備や生産する製品によって作り方や工程の進み方が全く異なります。

設備の違いの例を挙げると、1つの設備に人が張り付いて順番に1つずつ製品を作っていく場合もあれば、1つの設備で人の手を介さず複数の製品を処理できる場合もあります。

各社の製造への取り組み方は千差万別、同じ条件で計画を作成するということは、ほぼありません

パッケージソフトウェアやSaaSは、特定の業務や業界に広く必要とされる機能をターゲットに、普遍的な利便性を追求して設計・提供されます。

これらのソフトウェアを活用することで、企業は独自にシステムを開発するよりも、早くかつ安く新たなシステムを導入できるメリットを享受できます。

しかしながら、これには自社の特定のニーズやこだわりを一部妥協する必要があり、一定のトレードオフを伴います。

日本の製造現場では各企業の微細なルールを反映させるための万能な機能が要求されますが、これを開発するには、かなりの開発コストが必要となります。

また、そのような大規模な開発コストを掛けて作られたパッケージソフトを使いこなし、製造現場の緻密なスケジュールを立案するためには、ソフトウェアに関する高度な専門知識が必要となりますが、多忙な業務を抱える企業の担当者が短期間で完全にマスターすることは現実的ではありません。

その結果、設定や保守作業を専門的な知識を持つSIerに委託することが必要となり、ライセンス料と合わせた初期投資は数千万円にも上ることが珍しくなく、結果として生産スケジューラの導入はほとんどが大手企業となっています。

さらに、投資と専門家による開発を行っても全ての問題が解決されるわけではない、というのがこの分野の厳しい現実です。

多くのSIerは、「これだけ開発するのでこれだけのお金が必要になります」という形で事前に要件を定義し、見積もりを提示して開発を受注します。

担当者は提示された見積もりを元に稟議を上げプロジェクトを開始しますが、よく見られるのは、担当者が頭の中考えていた製造ルールをSIerが設定し、いざ計画を立案して確認すると、想定と全く違った計画がアウトプットされ、担当者が頭を抱えるというシーンです。

コンピュータが処理を実行するためには事細かに指示を与える必要があるのですが、このようなケースが発生する理由の大半は、要件定義の時点で指示を考えきれていないというものです。

設定を追加したり変更するにはSIerへの費用が新たに必要となりますが、いざ担当者が見積もりをとったら想定以上の追加投資が必要であることが判明し、せっかく大金をかけて導入を進めたのに追加投資を実行できずプロジェクトを断念したというお話も多く聞くところです。

新陳代謝は市場の成長に必要不可欠な要素ですが、残念ながらこのような背景から新規参入が起こりづらく、SaaS全盛の現在までこの分野が見捨てられてしまったと考えることができます。

なぜ開発を開始したのか?

それではなぜスカイディスクはこんなにも難易度が高い生産スケジューラを開発しようと思ったのか?

最適ワークス開発にいたる経緯は代表の内村のnoteで詳しく述べられていますが、初期は見通しが甘く、後に遭遇する困難を予測できていなかったことは事実で、比較的安易にスタートしたということは否めません。

また、スカイディスクは製造業に特化してAI開発を請け負う会社で、各社個別の生産計画自動立案システムを過去に複数開発しており、我々ならできるはずだという過信のようなものもあったのだと思います。

困難を極めたプロダクト開発

こちらも前述の内村のnoteで赤裸々な開発状況が述べられていますが、プロトタイプを開発し、ローンチカスタマーから初受注をいただくまで、プロジェクトは概ね順調に進行していきました。

もう成功を手にしたようなものだと思ったのも柄の間。本格的な運用に向けて調整を進めていく過程でいただいた最適ワークスへの辛辣な評価。次から次へと湧き上がってくる追加要件の嵐。

30年ものあいだ扉が閉ざされていた理由を思い知り、こころが折れそうになるときもありました。

その後、様々な試行錯誤を経て現在ではAIが人間が作成する工程計画をクオリティで上回ることもできるようになったのですが、最適ワークスの開発に根気よくお付き合いいただいたお客様には感謝しかありません。
(このあたりのお話は下記のnoteで詳しくお話していますのでご興味ございましたらぜひご一読ください!)

開発を続けられた理由

(ここはおもに私個人の話になります)

当時、私に託されたミッションは、事業の新たな柱となり得る、めちゃくちゃ儲かるプロジェクトのPMでした。

最適ワークスにはプロトタイプ開発途中から参画することになったのですが、生産スケジューラについてのリサーチを深めるにつれ、なぜこれほど重要な領域が長い間IT業界から見捨てられていたのか、という疑問とともに、ある種怒りに近い感情が湧き上がることもありました。

お客様ごとに抱える課題は異なりますが、生産計画の不備が生じると残業が増え、生産効率が低下し、その影響は経営にまで及びます。

その結果、一部の担当者からは、計画立案がプレッシャーで耐えられないほど苦しい、という声を聞くこともあります。

この状況を改善したいという強い思いを抱きつつ、進展が遅々としていたプロジェクトに取り組む中で、私は次のように考えました。

すべての製造業に共通する大きな大きな課題。よりコストを下げてサービスを提供できればもっと多くのお客様を幸せにできるという確信もある。

おそらくは日本で私たちしか気づいていない30年も扉が閉ざされた分野。前に進めば、もっと多くのお客様を幸せにできる未来を拓ける可能性がある。私たちが進まなければこの分野はさらに遅れをとることは明白。

高校で生徒会長を務めた真面目気質もあってか、こんな状況で引き下がってはいけないと大きな何かが言っているようにも感じ、当時私のなかでは自らのミッションとは別に絶対に我々がやらなければならないという使命感のようなものが芽生えました。

その結果、私に与えられたミッションの達成を超えた意義を持つことになり、どんな形であれ最後までやりきってプロダクトとして形にするという強い意志をもってプロジェクトに取り組むことができたのですが、これがさまざまな困難をのりこえ、プロジェクトを諦めずに続けてこられた理由の一つであったことは間違いありません。

これからの最適ワークス

紆余曲折ありましたが、2022年4月に正式にサービスローンチした最適ワークスは、2023年6月時点で90社以上のお客様に導入を決定いただき、さらに多くのお引き合いをいただいています。

お客様により導入の目的や成果は様々ですが、

  • 計画作業が3時間 → 10分に大幅減少​

  • 生産量が約7%アップ​

  • 段取り時間が約24h / 月も削減​

  • 熟練の計画立案ノウハウが形式知化

など、当初の計画からは大幅に正式ローンチは遅れたものの、今のところ狙い通りの高評価をいただけており、途中で諦めずにプロダクト化できて本当によかったと感じています。

最適ワークスはローンチされたばかりのサービスです。

まだまだ解決すべき課題がたくさんありますが、フィードバックを活かし、お客様にとってなくてはならないサービスへの進化を目指し続けます。

最後に、下記のnoteでもお話しましたが、「最適ワークス」とあえてサービス名を複数系にしたのは、単に工場のスケジュールの立案にとどまらず、サプライチェーン全体への展開や、様々な仕事に最適なサービスを提供するというイメージを持ちたいという想いからです。

最適ワークスをはじめスカイディスクが目指すサービスを実現するにはまだまだ仲間が必要です。積極的に採用活動を進めていますので、このnoteを見てすこしでも興味を持たれた方はお気軽にご連絡ください!

YOUTRUSTでカジュアル面談も実施しています。少しでもご興味を持たれた方はぜひお話ししましょう!

https://youtrust.jp/recruitment_posts/e937c5800f560ffd654717b3e193033d


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