見出し画像

大谷・水原の賭博疑惑〜アメリカ人の意見

大谷のスキャンダルはアメリカではどれくらい話題?今日の記者会見の反応は?アメリカ人は大谷を信じてる?日本の皆さんは気になると思う。今日はアメリカに住む日本人の立場から現状を解説する。水原はどうやってそんな大金を何回も送れたの?彼はなぜ最初に嘘をついたの?その辺の疑問も考察。

まず最初に言っておくと、アメリカでは(少なくとも私の周りでは)この水原の賭博容疑はほとんど話題になっていない。

野球に興味のある人以外は知らないと思う。私の主人はRed Soxファンで野球はそこそこ好きだけど「大谷のスキャンダル知ってる?」と聞いたら「そういえばなんかヘッドラインが流れてきてたな。なんかあったの?」という反応。大学1年生の娘は大谷のことは知っているけど、スキャンダルのことは知らなかった。

そこでアメリカで野球やスポーツのコメンテイターの有名どころが出した大谷のコメントを一通り見てみた。ほとんどの人が大谷に優位にコメントしていた。

大谷はアメリカでもMLBでナンバーワンのプレイヤーという認識でスーパースターだし、人柄が素晴らしいのでとても好かれている。だから「あれは大谷が賭けたんだ。水原は犠牲になっただけ。」と言っている人は有名人の中では私の見る限り、いなかった(SNSとかではいるけど)。

大谷がアメリカで叩かれてると言っている日本人もSNSで見かけるけど、私の印象は全くそんなことない。アメリカ人は無関心か、あるいは好意的かのどちらかがほとんどだと思う。

今日の大谷の記者会見も概ね好印象だったと思う。通訳がいまいちで大谷が言ったことの印象がそのままちゃんと全て伝わらなかったように私は思ったが、あの人は急遽用意されたバイリンガルの人で本職の同時通訳ではなかったらしいのでしょうがない。

それでも全ては大谷が全然知らずに起こったことで、水原が周り全員に嘘をついていたということと、大谷は野球はおろかスポーツに賭けたことはないし、胴元に送金したこともない、という訴えは真摯に伝わったと思う。彼が嘘をついているようには見えない、とアメリカ人もみんな思ったと思う。

ただ、質疑応答をしなかったことと(通訳があれじゃ仕方なかったのかも)、水原がどうやって大谷の口座にアクセスしたのかの説明がなかったのは良くなかったと私は思う。

結局問題はそこなのだ。このスキャンダルは3つの可能性がある。

①大谷は水原がドジャースのロッカールームでチームメートに話すまで何も知らなかったというケース。これは大谷が今日の記者会見で言ったケース。

②水原が去年大谷にギャンブルの負債を告白し、大谷が水原と一緒に8回から9回ほど50万ドルの送金(総額450万ドル)をしたケース。これは水原が3月19日にESPNの記者Tisha Thompsonに電話で話したケース。

③実は賭けをしていたのは大谷で水原は大谷のために罪を被っただけ。これが最悪のケースで今の所、このケースを示唆する証拠や証言は一つも出てきていない。

①の場合、もちろん大谷にはなんの罪もない。でもそうだとすると大きな疑問が出てくる。水原はどうやって大谷に知らせずに450万ドルも送金できたのか?

アメリカでは1万ドル以上の送金をする場合はマネーロンダリングの規則で送金を書類化する必要がある。私は現金を銀行から1万ドル引き出した事があるんだけど、その時も何に使うのか聞かれて書類にサインした。

その時に本人確認が必要になり、運転免許証やパスポートなどの書類が要る。水原はたとえそれらの書類を大谷から預かっていたとしても、大谷は有名人。本人でないのはすぐバレるし、銀行は必ず大谷本人に送金を確認したはず。

オンラインで送金したとしても、まず、ログインするのに、IDとパスワードの他に、普通、2段階認証が必要。スマホやメールにコードが届いたり、スマホのアプリのコードジェネレーターなどがいる(でも大谷が2段階認証を設定していなかった可能性もある)。

百歩譲って水原がIDとパスワードを知っていて、2段階認証もアクセスできるとしても、50万ドルを胴元の口座に送る際、銀行から大谷に確認の連絡が行くと思う。

となると、50万ドルの送金を9回もしたのに大谷が知らなかったというのは水原が口座のシグナトリー(サインをする権限を持つ人)だったと考えるのが妥当だと思うけど、今日の記者会見で大谷はそうは言っていなかった。

もしそうだったらそんなことは調べればすぐわかることだから隠す意味もないし、大きな疑問が解けるのだから言ったと思う。だからおそらく水原はシグナトリーではなかったのだろう。

実際問題、銀行からの確認の電話も英語だから水原が代わりに電話に出て応答してしまったのかもしれないし、大谷はお金に全く無頓着で野球に集中しているから口座から450万ドルがなくなっていても気づかない可能性は大いにある。まるで子供みたいだけど、ありえなくもない。

だから①がありえない話、という訳ではない。でもどうしても疑問が残る。水原がどうしてそんな大金を大谷にバレないように送金できたのかを今日の会見ではっきりさせなかったのはとても残念だった。

そして①が事実だった場合、水原はなんであんな嘘をESPNのレポーターに言ったのだろうか?嘘ならあっという間にバレる事が想像つきそうなものなのに。①のシナリオにみんなが疑問を持つのはそこにも理由がある。

だからやはり②が事実なのではないか?と思う人がいるのも理解できる。このスキャンダルはそれだけ謎が多い。

ではもし②だった場合、大谷はどうなるのか?

2015年にマイアミ・マーリンズのJerred Cosartが違法胴元と野球以外のスポーツ賭博をした前例があり、その場合、Cosartは罰金だけで出場停止にはならなかった。

だからもし②だったとしても最悪、大谷は罰金だけで済むと思う。

しかも大谷の場合、自分で賭けていないし、送金した相手が違法胴元だと知らなかったと水原もインタビューで言っているので罰金にもならないかもしれない。

でも②が事実だった場合、大谷は記者会見で嘘をついた事になる。この場合、嘘をついた、という事実で失う信用のほうが、罰金という処分よりずっと重い。よって私はおそらく②はないと思う。

それにあの記者会見で大谷がもし嘘をついていたなら、大谷は野球引退した後、役者になれる。それくらい真摯に見えた。

そしてアルコール依存症、賭博依存症、ドラッグ依存症、なんでもひどい依存症の人は日常的に身近な人に嘘をつくのに慣れてしまっているので、水原もあまり深く考えずにTisha Thompsonに嘘をついたのだろうと私は思う。

最後に③の実は大谷が賭博をしていて水原が罪を被ったというのは可能性としてとても低いと思う。大谷はその辺のルールはよく把握しているはずだし、もしその上でやるなら自分の口座から送金はしないだろう。

以上を踏まえて私の私見をまとめると、
①水原は賭博依存症の大嘘つきで賭博がめっちゃ下手(450万ドルも失くすのは簡単じゃない)
②水原は大谷の口座になんらかのアクセスができた
③大谷はお金に無頓着で周りに任せきりだった
④水原は「俺は大谷の金にアクセスできる」と言って胴元から信用を得た
④違法賭博胴元の捜査で大谷の口座からの送金が履歴にあり、水原の使い込みが発覚した
⑤大谷はまるで子供のように自分の周りで何が起こっているのか全く把握していない
⑥おそらくそのくらい野球に集中して、野球以外は完全無視でないとあの成績は出せない

この場合、大谷に処分がくだる事はないはず。私の分析があっていることを祈る。

サポート嬉しいです!いただいたサポートはサークルや他の啓蒙活動に使わせていただきます!