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納車数減少! どうなるTesla?

Teslaの1Q納車台数は予想以上に悪かった。株価騰落率は年初来、S&P500の中でなんと最下位。いったいTeslaに何が起こっているのか。ネトフリやメタの様に一旦表彰台から落ちてまた返り咲けるのか?土曜日から1ヶ月だけ使えるFSDの体験も含めて今日はTeslaの考察。4/7の勉強会はTesla分析の予定!

まずは4月2日に発表になった1Qの製造台数と納車台数の推移を見てみよう。2022年の1Qからずっと前年比較で2桁以上の成長を記録してきた製造台数(Total Production)と納車台数(Total Deliveries)が1Qはマイナス成長してしまった。

テスラの製造台数と納車台数 copyright ©2024 Mary Oakley Advisors LLC

1月24日に4Qの決算発表があった時に、1Qの納車台数がかなり予想より低くなるとはガイダンスされていたけれど、アナリストたちの予想は42万台前後でここまで下がるとは誰も予想できていなかった。

テスラは4月2日のニュースリリースで台数の落ち込みをこう説明した。

Decline in volumes was partially due to the early phase of the production ramp of the updated Model 3 at our Fremont factory and factory shutdowns resulting from shipping diversions caused by the Red Sea conflict and an arson attack at Gigafactory Berlin.
販売台数の減少は、フリーモント工場でのモデル3の生産立ち上げの初期段階や、紅海紛争による船舶の迂回やギガファクトリー・ベルリンでの放火による工場の操業停止が原因の一部である。

本当にこれだけが理由なら全ては一時的な原因なので、問題が解消すればまた元の高成長に戻る、という事になる「はず」。

でも実際は一時的な要因だけでなく、Tesla車への需要自体が落ち込んでいるのではないか、とみんな心配している。今後、Tesla車への需要がどうなるのかは誰にも分からない。

需要はずっと右肩上がりの「はず」だった。Elonは製造台数は毎年50%上がると豪語していたのだから。

でも成長の伸びが23年3Qと4Qには10%台まで落ちてしまった。そして今期はなんとマイナス成長。そのことを考えると、他のマグ7が最高値を更新した2024年に未だ2021年11月の高値の$407の半分にも満たないのも頷ける。

TeslaのPEは下がってもまだ58。ピークの2021年11月には200を超えていた。毎年50%長期に渡って成長できるなら高いPEも受け入れられるが、10%台成長では58維持もおそらく無理だし、10%成長どころか2023年はマイナス成長しかねない。


Tesla Forward PE Koyfinで作成

マグ7の他の株と比べてみても、今のTeslaはあらゆる面で引けをとる。次の5年間に予想される成長率はアップルに次ぐ最下位第2位。にもかかわらず、PEは58でAmazonやNvidiaよりも高い。よってPEG(PEを成長率で割った数字。高ければ高いほど割高)はダントツで一番高い。ちなみにPEG関数で一番安いのはNvidia.

おまけにTeslaは利益率でもほぼ最下位。こう見ると残念だが、Teslaは全くマグニフィセントではない。

Koyfinで作成 copyright ©2024 Mary Oakley Advisors LLC

ではTeslaはこのままどんどん値段が下がっていってしまうのだろうか?

覚えておいて欲しいのは、Tesla株は今までもこれらのバリュエーションや利益率の数字を見ていたらほぼ確実に空売り案件の株だった、ということ。

コロナ禍後のTeslaの目覚ましい成長しか見てない人は知らないと思うけど、Teslaはずっと最も激しく空売りされていた銘柄だった。

このチャートをみるとわかるように2020年頃まで、Teslaはなんと市場に出回っている株数の2割以上が空売りされていた。

Tesla Short Interests % of Float KoyFinで作成

実際、Elonの話によるとTeslaは何回もあと2週間で倒産という状態を経験してきたらしい。でもその都度、誰かがElonに資金を提供した。

そしてTesla株は2010年の株式上場以来160倍になった。空売りした投資家達はことごとく焼かれ、Elonを助けた投資家達は多大な利益を手に入れた。

私は2020年3月に初めてTesla株を買って数ヶ月で3倍になった経験があるんだけど、あの時は連日株価が2桁上がり、空売りしている投資家達が締め上げられ(Short Squeezeという)骨がバリバリ砕けて悲鳴を上げてるのが市場から聞こえてくるほどだった。

業績とバリュエーションと頭で考えれば下がるはずの株が下がらない。Elonは毎回不死鳥のように蘇ってくる。

そう、TeslaにはElonファクターがあるのだ。ElonがCEOでいる限り、Teslaはバリュエーションではトレードされない。

ではTeslaは何でトレードされるのか?それは夢のあるストーリーだ。

世界中の車が電気自動車になってロボタクシーになってTeslaがそのほとんどのマーケットシェアを牛耳る、とか、世界中の家の屋根がTeslaソーラールーフになってみんなが家にTeslaウォールを設置して蓄電し、余分な電気は電力会社に売れるようになり、Teslaは事実上の電気会社になる、とか。

私は去年7月に撮ったPivodさんの動画で「Teslaはそのバリュエーションを正当化するために必要なロボタクシーの実現が、政府の認可という自社努力だけではどうにもできない事にコントロールされているのが好きじゃない」と言った。その事実は変わらない。

でもあの時点ではFSD(Full Self Driving)の技術もまだまだ先の話だし、と思っていた。

ところが!

Teslaは先週の土曜日からFSDバージョン12.3.3が1ヶ月だけ全てのTesla車で実装されている。私はFSDは課金していないので前のバージョンとどこがどう違うのかは分からないけど、このFSDには度肝を抜かれた。

私の住むCTから娘の大学があるNJのPrincetonまでの往復5時間、使ってみたけど、行きで使い慣れた私は帰り道は一切運転しなかった。(その様子を動画で撮ったので後でYouTubeに載せる予定)。

ハンドルはちゃんと持ってないと時々怒られるけど、それ以外はナビゲーションに沿って全部完璧にTeslaが運転してくれた。

道に止まっている車はちゃんと避けるし、ストップサインではちゃんと止まるし、信号もちゃんと読めるし、何より、車の量を把握して高速でより早く進める車線へと何回も勝手に車線変更までしてくれるのには本当に驚いた。

視界の悪い夜の雨の中でもしっかりちゃんと運転してくれる。

唯一失敗してるのは私の家についた時、ちゃんとドライブウェイに入って正しい位置に停めてくれたのは3回中1回だけだった。でも1回できた時は感動した。

トライアル終了後、FSDは月$199で常設できる。長距離あまり運転しない私でさえ、これは真剣に考えようかと思ってる。それくらい便利。

これにサインアップする人は確実に増えると思う。となればTeslaのFee Revenueになる。長距離毎日走る人や通勤に毎日Teslaを使ってる人はかなり欲しいだろうと思う。

そして今の時点ですでにここまでできるなら、本当にロボダクシーは認可が降りさえすれば5年以内に可能だなと思った。

こんなにすごい物が何年も前に販売された車にもOver the Air Updateで簡単に実装できてしまうTeslaのテクノロジーもすごいと思う。

やっぱりTeslaには夢がある。ワクワクがある。

今回も1 Q販売データがここまで悪かったのに、株価は3月14日の今年の低値を割らなかったのはいいサインだと私は思ってる。

1Q決算への期待値もかなり下がったと思うし、ここはちょっと真剣に分析して買うべきか考えようと思う。

そこで今週末の第1回「まりーさんの負けない勉強会」ではTeslaの業績予想を皆さんと一緒に作る予定!




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