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日本の生産性が低い理由

日本は労働生産性が低いと言われている。
そして、その原因について、いろいろと言われている。

私は経済学者でも何でもないので、専門家や専門家っぽい人の話を参考にしている。
しかし、どれも「遠い上の方で鳴る音」に聞こえる。
現場の経営者が採用するには、少しばかり遠いことばかりだ。

そんな経済学の専門家でも何でもない私が一つだけ感じることがある。
日本の生産性が低いのは「価格設定」が間違っているからではないか?

商品・サービスの価格に含まれるもの

商品やサービスの中には、様々な料金が含まれている。
最もイメージしやすいのは、材料費と人件費。
水道、ガス、電気などの料金くらいまでは想像に容易い。

ここに、さらに社会保険の費用(半分負担)が乗る。
これは企業にとって大きい。

他にも、営業、広告、事務などの人件費も含めなければいけない。
行政書士、司法書士、税理士、弁護士などの費用も必要だ。

――― まだまだある。

福利厚生はもちろん、健康診断、メンタルケアなど、細かいところに至るまで、価格に含めなければいけないものがある。

さらに、価格には消費税も含めなければいけない。
もっと言えば、法人税もある。

ザっと簡単に挙げただけで、この程度だ。

さらに、ここに「会社の利益」までを含めたものが最終的な商品・サービスの価格となる。
当たり前のことだ。
しかし、この当たり前のことができているだろうか?

この当たり前のことは、よく「価格への転嫁」という難しい言葉で表現される。
そんなことは、どうでも良い。
問題は「きちんと利益が出る価格を設定できているか?」ということだ。

過剰なサービス

「目に見えないものは無料」である。
特に高年齢層は、この意識が強い。
まずは、この考え方を一掃しなければならない。

例えば、接客対応。
質の良い接客対応を求めるとコストが掛かる。
経営者が質の良い接客対応をすると決めた場合、その分のコストを価格に反映しなければいけない。
これができているだろうか?

例えば、薄利多売の商売の場合。
質の良い接客対応はカットして、低価格を実現していることが多い。
薄利多売の商品を購入する場合、質の良い接客対応を求めることは難しい。
売る方も、買う方も、これが理解できているだろうか?

私は、このようなミスマッチを目にすることが多い。
「付加価値」が理解されておらず、「付加価値」に値付けがされていない。
これが、生産性が低いと言われることに強く繋がっていると思う。

正しい差別化と価格設定

最初に、一番の悪手について。
売れないから、値引きする。
これは最悪だ。
何の知恵もない、非生産的な行動だと言える。

次に重要なのは「薄利多売」と「値引き」は似て非なるものだということ。
薄利多売を成り立たせるためには、圧倒的なスケールで商品・サービスを販売しなければいけない。
薄利多売の競合に引きずられて「値引き」をすると、地獄を見る。
薄利多売のプロたちは、低価格でもしっかりと利益を出していることを忘れてはいけない。

正直、薄利多売型の大手のビジネスは、既に完成されている。
価格も品質も極まっている。

――― 近寄ったら、すぐに飲み込まれる

このような間違った価格設定をしないためには、顧客に付加価値分の費用を認めてもらうしかない。
商品・サービスとセットで売っても良いし、分離してオプションで売っても良い。
とにかく、その付加価値分を求める人に対して商品・サービスを売ることが重要だ。

まずは、付加価値を説明できるようにする。
もしくは、付加価値を感じられるようにする。
その上で、付加価値分の費用をもらう。
このシンプルで難しいことを実現するのが経営者の仕事だ。

そして、付加価値を換金できれば、生産性は劇的に上がる
経済学者でも何でもない「現場で生きる」私はそう考えている。

【おまけ】薄利多売型・大手ビジネスの弱点

よく「スピード」と言われる。
それも一つだと思う。
大手がしっかりと量産体制を整えてて、一気に仕掛けて来るまでにはタイムラグがある。

しかし、そのタイムタグの中で利益を求めるのはお勧めできない。
常にタイムラグを探し、走り回り、少しの間だけ稼ぐ。
それでは、あまりに忙しすぎる。

薄利多売・大手ビジネスの弱点は「汎用性」と「一定仕様」がポイントだ。

誰にでも馴染むように「汎用化」された商品・サービスには、必ず一定の層にとって歯ごたえの無い部分がある。
ちなみに、汎用化の逆は「特化」や「専門化」といったところ。
そこが狙い目だ。

量産化するためには、仕様を定めなければいけない。
量産されたものは、仕様が一定になる。
そして、一顧客が変更を求めても、それに対応するのは難しい。
そこが狙い目だ。

あと、もう一つ。
大手は「少しの手間」に弱い。
少しのことでも、儀式をこなして稟議を通せば時間も掛かり、コストも高くなる。
素早い速度で動く優良企業と相性が良くない。
ここは大きな狙い目だ。


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