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会社を経営すると税金を通して国の仕組みが分かってくる

多くの税金は、企業を通して国へと納められる。
そのため、経営者は、常に税金と戦っている。
今回は一般的な会社員の人があまり意識しないであろう税金について書き綴っていく。


住民税

悪税レベル:★☆☆
課税対象:個人

国はこの税金を会社を通して納めるよう義務付けている。
そのため、多くの人は、給料から天引きという形で納めている。

税率は10%。
市町村へ6%と都道府県へ4%という割合だ。

ふるさと納税は、この住民税の一部を自分の指定した地域へ納付するための制度だ。
最近は「ふるさと納税=返礼品購入」という図式が成り立っている。
しかし、私はこれに違和感を覚える。

あなたがどこかの返礼品を受け取った時、あなたが本来地元へ納めるはずだった税金は、そこへ流れる。
悪意は無くとも、自分が住んでいる地域の税収を減らしてしまっていることを知った方が良い。

所得税

悪税レベル:★★☆
課税対象:個人

国はこの税金を会社を通して納めるよう義務付けている。
そのため、多くの人は、給料から天引きという形で納めている。

税率は5%~45%。
税金というと真っ先に思い浮かぶのが所得税だと思われる。

しかし、実は年収が800万くらいまでは、住民税より低い。
体感的には、年収が1000万を超えたあたりから、急激に金額が増えていく。

所得が4000万を超えた部分については、なんと45%。
これが、日本の経営者が給与(役員報酬)を多くとらないことの大きな理由だ。
給与を1500~2000万程度に抑えて、残りは会社に蓄え、法人税として払う人も多い。

社会保険

悪税レベル:★★★
課税対象:個人・企業

正確には税金ではないが、税金と同等と認知されている。
しかし、国はこれを税金と見なしていない。
当然、税金としての計算に入れていない。

国はこの税金を会社を通して納めるよう義務付けている。
そのため、多くの人は、給料から天引きという形で納めている。

しかし、実際には給料から天引きした額と同額を会社も負担している。
会社が個人の社会保険料の半分を負担するというルールになっている。

実は、多くの人にとって、この税金が一番高い。
この税金が「税金が高い」と思わせる一番の原因になっている。
しかし、国はこれを税金として考えていないので、それが大きな認識の差となって、様々な社会問題を起こしている。

一番恐ろしいのは、社会保険の内訳だ。
大きなものは、厚生年金と健康保険なのだが、その中の厚生年金部分は年収800万程度で限界額に達する。
しかし、健康保険の金額は、年収2000万程度まで限度額に達しない。
今でも限度額が増えて続けている。

年金部分が早々に限度額に達するということは「もらえる年金」も早々に限度額に達するということだ。
それを超えて支払う部分は「掛け捨て保険」である健康保険だ。
どれだけ払っても、将来に何かが返ってくることはない。

ちなみに、一定以上の医療費は国が払ってくれるという制度がある。
しかし、尋常じゃない額の健康保険料を払っている人は、逆に国が補償してくれない。
年収と共に、医療費の自己負担限度額も上がっていく。

法人税

悪税レベル:★☆☆
課税対象:企業

法人税の内訳は複雑なので説明は割愛する。
簡単に説明すると、個人で言うところの所得税と住民税のこと。
税率は23~33%程度。
会社の規模や形態によって税率の計算が異なるが、年間利益が800万に満たない部分は約23%、それ以上の利益に対しては約33%が課税されると考えれば良い。

意外かと思われるかもしれないが、個人の所得税より、税率のMAXが小さい。

消費税

悪税レベル:★★★
課税対象:不明

消費税は、闇の税金だ。
一般消費者としては、個人が負担しているよう思える。
しかし、実際には、会社が消費税のルールに従って計算した金額を納付している。

消費者から消費税を徴収するかどうかは、会社に委ねられている。
消費者が消費税を企業に支払ったかどうかは、国は関知しない。
ただし、企業は消費税を国に支払うことが義務付けられる。
インボイス制度によって、消費税を支払わない企業の分は、その企業に仕事を依頼した企業が負担することになった。
これで、国は完全に消費税を取りこぼさないで済むようになった。

納税する企業側からすると、消費税というより「売上税」と言った方がしっくりと来る。
消費者は自分が負担していると思っているが、企業はそう思っていないことも多い。
闇の多い税制度だ。

相続税

悪税レベル:★★★★★
課税対象:個人

日本で最大の悪税と断言する。
税率は10~55%。
金持ちは、約半分の財産を国に没収される。

ちなみに、自分の会社も価値付けをした上で、財産として課税対象となる。
資産価値の高い会社は、それを引き継ぐ時に多大な相続税が掛かる。

海外に資産を持つ。
海外へ移住する。
こういったことは、異常な相続税率が原因であることが多い。

国の考え方

前提として、国には「富の再分配」という考え方がある。
富の多い人からは税金を多く徴収し、それを再分配することで富の少ない人へ流す。

しかし、そのために企業に対して義務付ける負荷が尋常じゃない。

・従業員の税金を計算、徴収、納税を代わりに行う
・社会保険料の計算、徴収、納税に加えて、半額を負担する
・消費税という名の売上税を計算、納税する
・法人税の計算、納税を行う

個人から税金を徴収するのではなく、その負担を企業へ義務化している。
基本的には、税金は企業が徴収、計算、納付する。
しかし、税金のとりっぱぐれがないように「予定納税という名の請求書」を送ってきたりもする。

生きている間に随分と税金は支払う。
さらに、死んだら財産の多くを没収される。
もちろん、相続税の計算、納付は遺族が行う必要がある。

国には、黙っていても税金が入ってくる仕組みが整っている。
怪しいところには、税務署が調査に行く。
滞納金額には、滞納機関に応じてしっかりと利子がつく。
税金滞納者に対して、国は財産を差し押さえることができる。
会社が倒産した時も、債権者として一番強いのは国だ。

さらに国は、会社で働く個人に対してのフォローも肩代わりさせる。

・健康診断
・医師による健康管理
・ストレスチェック
・アルコールチェック
・安全衛生管理
・定年後の再雇用、再就職支援

会社に所属さえすれば、納税も健康も安全も老後も全て安心。
国は企業へそれを求めている。

企業とは、国の「子分」
税金とは、国への「上納金」
まるで〇〇ザのようだが、これが現実の話だ。
せめて、その上納金が有効に使われることを願って止まない。


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