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金とテクノロジーが全てを解決する U-17W杯その4

10月9日、ホンジュラス戦翌日。

10日の夜、ムンバイから日本に帰る航空券を持っています。9日のうちにムンバイに移動することも考えました。とはいえ、自分の人生でグワーハティに来ることはおそらく二度とないだろうと思い、せっかくなのでこの地で一日過ごすことにしました。

ラディソンブルーを出て、本来昨日から泊まる予定だったグワーハティ駅前のホテルに移動します。

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前日、「フライトが遅れて(嘘)到着が翌朝になりそう」という電話をしてありました。
フロントに行き「昨日、到着が遅れると連絡した者ですが…」みたいに言うと、奥から支配人みたいな人が出てきて「大変でしたね、よくぞご無事で…」みたいな感じで握手を求めてきました。別に悪いことをしたわけではないのですが、なぜか申し訳ない気持ちになります。


・ヤギを生贄に捧げる寺院

計画の段階では、この日は電車で1時間程度のところにショートトリップに行ってもいいかな、と考えていました。しかしインドでのこれまでの苦労を考えるとちょっと大変そうだなというのと、どうやら近郊の町にも大した見所がないらしいので、それは止めることにしました。

知り合いの報道の人(Aさんとしておきます)に聞いたところでは、近くに子宮を祀ったお寺があるとか、そこで生贄のヤギを捧げる儀式があるとかいう話です。興味深そうなのと、車で15分ほどの程よい距離なので行ってみることにしました。

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駅周辺をうろついているとリキシャに呼び止められます。カーマキーヤ寺院(Kamakhya Mandir)と行き先を告げると200ルピー(1ルピー=1.7円)と言われます。でもエアコンついてる方がいいので、リキシャじゃなくてタクシーで行きたいところです。やり取りしているとタクシーも寄ってきて、そちらだと500ルピーと言われます。どうしよう?迷っているとリキシャに引っ張られ、結局そっちに乗ることに。

結構山を登ります。到着すると、「意外と山の上にあったからやっぱり300ルピー」とか言い出しました。行先伝えた上で値段を言われたはずなのに、まじこういうの……。「200か2000ルピーの札しか持ってないから、300ほしいなら釣りを用意しろ」作戦に出ます。はした金と引き換えに高額紙幣を崩せるなら全然いいです(何か間違ってる気もする)。

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お供え物の店とかを運転手と一緒に回り、両替できるところを探します。店からはお供え物は何か買って行った方がいいと言われ、それはそうかもしれないなと思います。ベーシックなセット(布とかナッツとかが入っていた)を100ルピー程度で買います。

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・裸足で大地を踏みしめ、手でカレーを食べる

「荷物や靴は持って入れないからそこのロッカーに置いていけ」と言われます。ロッカーは無料で、係の人はいましたが何も要求されませんでした。

というか、靴を預ける?

寺院の敷地内は屋外なのに土足禁止らしいです。タージマハルでは靴カバーがありましたが、ここでは本当に裸足です。みんな裸足で歩いている、まじか……。

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しばらく進むと人が並んでいます。何だろう。近くの人が「food!」みたいに食べるしぐさをしてきます。「食べ物くれ」ってこと?と思いましたが、そういう雰囲気でもないです。何だろう?

何となく最後尾に並んでみると、券を渡されました。戸惑いながらも列が進みます。その先で、券と引き換えに金属製のお盆のようなものを渡されました。そのさらに先ではお盆にカレーのようなものをよそっています。

その先では、みんなそのカレーを食べています。

手で……。

カレーの配給?でした。フォークとかスプーンとか、そういうものは置いていません。ローカルフードとかを通り越して、いきなり手での食事です!ハードル高い!

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どうしても手でカレーを食べる(しかもほぼ屋外で)のに抵抗があります。だって手がドロドロになっちゃうし……。

せんべいみたいのが一枚付いてきたので、それにカレーをつけてかじりながら食べます。当然せんべいはすぐなくなります。

無理に食べることもないかなと思い、ほぼ全部残したまま返却口に向かいます。すると慣れない外国人が席を見つけられないと思われたのか、「そこの席が空いてるから、さあ!」みたいに親切に案内されてしまいました。

これは食べなきゃ帰れないやつだなと悟ります。小学校の給食かよ!

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うーむ。机の上にあぐらかいて座ってるやつまでいるんだが、ここでどうしても手で食わなきゃいかんのか…。荷物も置いてきたからハンカチすらないぞ。

覚悟を決めて、カレーに手を突っ込みます。

熱い!
汚いとかそういうのより、まず熱い。
そりゃそうだ、カレーだしな。

カレー自体はそこそこ美味しい。なかなかない経験でした。後で、「熱いってことはそれで殺菌されるんでしょうね」みたいに言われて、なるほどそういう仕組みなのかと思いました。お盆を返却するところで水が豊富に流れていて、カレーまみれの手も無事きれいに洗えました。タオルはないですが、何となく乾燥させてやり過ごします。

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境内?に進みます。ヤギが十数頭放し飼いになっています。これらが生贄に……。

ヤギは当然トイレなどしつけられていないので、糞尿が地面のそこかしこに落ちています。そういえば僕は裸足です。一応掃除の人がいたり、自分でも糞尿を避けて歩いてはいました。しかしそのうち雨が降ってきて、けっこうな土砂降りになってきました。地面で雨とヤギの糞尿とが混ざって、だんだん区別つかなくなってきます。実質裸足でヤギの糞尿を踏みしめてるようなものです。傘もロッカーに置いてきたのでずぶ濡れです。

でももう色々とどうでもよくなってきました。

インドを旅行して人生観が変わったという話をよく聞くけど、きっとこういうことなのかなあ。

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・謎の寺院は謎のまま終わった

本堂の方に続く渡り廊下があります。入口に警備員みたいのがいて一見拒まれてる感もあったのですが、「buddistはallowedだ」みたいに言われて通されました。さっき買ったお供え物を持ってたのが良かったのでしょうか?

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