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国境の長いトンネルを越えると、夢がかなう国だった 千葉ダービーに向けて


最果ての地。旅行先としては憧れの一つです。

最果て

日本国内では、宗谷岬や与那国島などが最果ての地ですね。交通は不便な場所ですが、何となく目指したくなります。

一方これらの場所は、日本からすれば最果ての地ですが、その先には別の国があります。そこは国境の街でもあるのです。


話はぐっとローカルになるのですが、僕はサッカーで柏レイソルというチームを応援しています。再来週Jリーグで、ジェフユナイテッド千葉vs柏レイソルの試合があります。いわゆる千葉ダービーです。そこで柏と千葉の国境とはどこだろう、柏レイソルにとって最果ての地はどこだろう、ということについて考えてみました。


・国境にバイオレンスを求めて

初めましての方もいるかと思うので、自己紹介しておきます。僕はサッカーで柏レイソルを応援している者です。ちなみに住所は柏ではなく都内です。あと、OWL magazineというwebマガジンもやっています(この文章のことです)。

サッカーと旅に関するマガジンにおいて、読者が求めるものとは何でしょうか?

週刊少年ジャンプの編集長として有名だった鳥嶋和彦氏は、「少年が読みたいものはエッチとバイオレンスである」と語っています。

少年が読みたい永久のテーマって、簡単に言うとエッチとバイオレンスなんですよ。セックス&バイオレンス。子どもが見たいのも、親と学校が禁じるのもそれ。だからそれは読まれていく。https://news.denfaminicogamer.jp/projectbook/181228/2

OWL magazineの読者層が少年かどうかはひとまず置いておきますが、エッチ枠は峰麻美という人が担当していると思います。(すみません)

そして確かに、自分が書いた文章では、バイオレンス要素が強いものが多く読まれていると思います。

そうはいっても、日本のサッカー界にそうそう都合よくバイオレンスは転がっていません。

先日、周りにこのことを相談してみました。すると誰かが、

「柏レイソルとジェフ千葉って、関係はどうなの?」

と、隣国とのケンカを煽るようなアイデアを出してきました。

警察


・ダービーマッチについて再確認

ちょうど再来週、柏vs千葉、いわゆる千葉ダービーがあります。

今まではダービーマッチについてふんわり捉えていたのですが、これを機に定義を再確認してみます。

基本的にダービーマッチはまず都市単位や州単位による地理的な要因によって発生し、その上に様々な特性が加わりながら次第に両者の間に敵対心が芽生え始めてダービーマッチへと発展する。
(中略)
例えば、発祥の地とされるイングランドではあくまでも同一の都市や州の範囲内においてダービーマッチは終始しているが、イタリアでは歴史的な都市間の対立を背景にまったく行政区画が異なる都市同士であってもダービーマッチが成立している事が少なくない。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%80%E3%83%BC%E3%83%93%E3%83%BC%E3%83%9E%E3%83%83%E3%83%81

Jリーグでも東北ダービーとか多摩川クラシコとか、こじつけ的なダービーマッチは色々聞きます。こういったものは、イタリア的にはアリですが、イングランド的には偽ダービーということになりそうです。

一方千葉ダービーは、一応千葉県内の2チームによる対戦ではあります。
しかし、歴史的な背景や対立ということでは、どうでしょう?
ジェフとの関係かあ、うーん……。

レイソル側としては、ジェフに対しては無関心という言葉が一番似合うかなと思います。別に好きでも嫌いでもないかなあ……。
ジェフ千葉からの見方は、よくわかりません。メリッサという対柏の特別なチャントがあったりはします。でも正直、遺恨みたいなものはほとんどないのではないかと思います。

そうはいっても、インターネット界隈ではジェフ千葉のことを「お隣さん」と表現することがあります。
隣国、ということは柏と千葉には「国境」があるはずなのです!


・千葉と柏、国土について考える

以前、「東京ヴェルディとFC東京の領土問題について考える」というnoteを書いたことがあります。割とバイオレンスに満ちた内容になりました。

先行研究に習い、柏と千葉の「支配領域」を調べてみることにしましたが、東京と比べるとずいぶんと様相が異なります。
東京ヴェルディとFC東京については、「出資自治体」という呼び名で、それぞれを支持する市が色分けされていました。かなりオフィシャルな感じです。
しかし柏レイソルもジェフユナイテッド千葉も、特に自治体による出資はないようです。

柏レイソルの支配領域としては、「ホームタウン活動エリア」というものが設定されており、柏市を含む8つの市がホームタウンとなっているようです。

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一方、ジェフユナイテッド千葉については、ホームタウンが「市原市・千葉市」と書かれているだけで、それ以上の情報はありません。

両者の人口を比べてみます。

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レイソルの方が多い!まあ本当は「ホームタウン活動エリア」なるものとリアルホームタウンとを比べてしまうのは、フェアではありません。とはいえここでは、柏レイソルの支配領域を上記の8つの市としておきます。


・ジェフ千葉の野望

それぞれのホームタウン(エリア)を、千葉県の地図に図示してみます。

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衝撃の事実!
柏と千葉は「お隣さん」ではなかった!
間に空白地帯を挟んでいました。

くっ、俺のバイオレンスが……。
信長様、早く八千代に城を建てましょう!でないと曹操が攻めてきますぞ!


ゲームが混ざったのはご愛嬌として、八千代、船橋などの市は本当に空白地なのでしょうか?いや、どこかに国境線はあるはずです。

人類の文明がまだ発展していなかったころ、集落と集落の間は人の住まない空白地帯でした。その後、世界人口や支配領域が増え、国というものができて、国境線が引かれるようになりました。現代では基本的に、どこの国にも属していない土地はありません。

国境

Jリーグも開始当初は未開文明のようなものでした。例えば広島の西には国境はありませんでしたし、四国も北海道も空白地でした。今となってはJリーグもJ3まで合わせると55クラブになり、それぞれが支配領域や市場を奪い合っており、現代の世界地図に近づいていると思います。少なくとも千葉と柏の間がサッカー的に全くの空白地ということはなさそうで、仮想の国境線を考えられそうです。


・国境の街、八千代

柏と千葉との「国境の町」はどこでしょう?

色分けされた地図を見ると、八千代市が両者に色濃く隣接している感じがします。

雪国


「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった」

有名な小説の冒頭の文章です。(ちなみにこの文中では「こっきょう」ではなく「くにざかい」と読むそうです)

境目を越えると世界が変わる、これは国境の旅の醍醐味です。そして日本人の琴線としては、そこにはトンネルがあって欲しいです。

ところで、ジェフユナイテッド千葉は「夢をかなえるクラブ」とされています。ふと、「国境の長いトンネルを抜けると、夢がかなう国だった」というフレーズを思いついてしまいました。

もし柏と千葉の国境にトンネルがあったら、それは夢をかなえるトンネルです。果たして八千代にトンネルはあるのか、探してみることにしました。

google mapで。


・国境のトンネルを探す

国境のトンネルを抜ける乗り物と言えば、まずは電車です。柏エリアと千葉エリアを結ぶ国際列車として、東武野田線と新京成線という路線があります。そこにちょうどいいトンネルがないか調べてみました。が……。

東武の鉄道路線のトンネルは、押上駅付近の地下線の入口をのぞけば、日光線の明神 - 下今市間の十国坂トンネル1箇所のみで、それも全長40mと非常に短い。これは、大手私鉄ではトンネル区間のない西日本鉄道に次ぐ少なさ・短さである。
https://ja.wikipedia.org/wiki/東武鉄道
松戸方面行を「上り」、京成津田沼方面行を「下り」としている。台地の分水嶺に沿ったルート(つまり小金牧の区域内)をとっており、トンネルや水域を渡る橋が1つも存在しない。
https://ja.wikipedia.org/wiki/新京成電鉄新京成線

国境以前に、路線全体としてトンネルがないそうです。数学的に「ない」という証明は本来難しいはずなのですが、あっさりと証明されてしまいました。

電車はあきらめ、道路のトンネルを探してみます。

柏と千葉は国道16号線で結ばれていて、ちょうど八千代市を通っています。トンネルがないか、google mapで16号線を追っかけて調べていきました。しかし……。柏や千葉の辺りは平坦な地形なようで、全くなさそうです。

夢がかなうトンネル、そんなものはないということですね。残念。


というわけで、千葉ダービーがいよいよ再来週に迫ってきました。試合前に国境の街・八千代に行ってみて、ジェフとレイソルがどのように扱われているのか調べてみようと思います。一人でも行きますが、もし同行したい人がいたらコミュニティに登録するなりツイッターから連絡いただくなりで応募いただければと思います。調査としては、八千代市内のスポーツショップで千葉と柏のユニホームがどのぐらい売られているかなどを調べてみる、というアイデアがあります。


以下はおまけ部分になります。僕の中で個人的な、柏と千葉に関する因縁について書いています。個人的な話で恥ずかしいので有料部分にしましたが、興味があればお読みください。ペイウォール。

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