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仕事辞めてインドに行ってきた U-17W杯

一昨年の話です。

2017年10月6~10日の間、インドに行ってきました。
その年はサッカーのU-17ワールドカップがインドで開催されていました。僕はちょうどその時期に、アルバイトをひとつ辞めたため時間が空き、5連休があったので行くことにしました。

Facebookに「仕事辞めてインド行ってきます」と書いたら、何人か血相変えて連絡してきました

嘘は言っていないのですが、大げさだったかもしれません(反省)。でもインド旅行って、そういう「道を踏み外した人」のイメージがありますよね。踏み外した人が、何かを悟って帰ってくる場所、みたいな。僕の場合は4泊5日のインド旅行に過ぎないのですが、果たして何かを悟れるでしょうか?


・インドへのフライト

日程は決まっているので、まずは飛行機から考えます。
スターアライアンスのマイルが貯まっていたので、できればそれで取れる路線を探します。インドへは成田から、ムンバイとデリーに直行便がありました。ちなみに日本の試合が行われるのは、グワーハティというインド北東部の謎の土地です。というか、インドの北東がこんな形だったなんて初めて知りました。バングラデシュとの関係が気になりますね。

ついでにタージマハルを見たいなと思ったため、行きの便はデリー着にしました。帰りはデリー発だと、帰国便の到着時間が13時ごろで、エクストリーム出社が出来ません。ムンバイ発だと8時10分に成田着なのでそちらにしました。グワーハティへの移動も飛行機です。どんな辺境の地かと思いきや、デリー→グワーハティの便は一日10本以上あるみたいで、まあ大丈夫そうです。

・インド強化試合@新宿

インドは旅行先として難易度の高い場所だと聞いていました。
そこで強化試合として、インドに行くメンバーで集まって、日本国内のインド料理店に行くことにしました。この店が強化試合に大変ふさわしい店でした。

新宿ですが百人町方面と、一見いかがわしい街です。

HATTI 新宿店
https://tabelog.com/tokyo/A1304/A130401/13041057/

みんなの都合により場所は新宿と決まっていて、ググってみたところ二番目に出てきたのがこの店でした。雰囲気的に強化試合にふさわしそうだったので、電話で予約してみました。

「明日、19時から3人でお願いしたいのですが」
「आप कैसे हैं? आपका क्या हाल है?」

(向こうが別の人に代わる)

「あした、19時から3人です!」
「What? Pardon?」
(また別の人に代わる)

「明日、7時から3人!(←意地でも日本語)」
「ハイ、アリガトウゴザイマス!」

そして即座に、ガチャンと電話が切れる。

え、名前とか電話番号とか確認されてないんだけど。これって予約として成立してないよね?
何だろう、電波の状態でも悪かったのかしら。もう一度電話かけてみます。

「すみません、先ほど明日19時から3人でお願いした者なんですが…」
「ハイ、アリガトウゴザイマス!」
ガチャン

予約というシステムがないのかしら?
それとも、日本語が通じる店員が誰もいない?

不安を抱えながら当日になりました。
営業時間は18時からのはずです。しかし18時40分ごろ、先に店に着いた友達から連絡がありました。

「店に着いたけど開いてないんだよね、7時からなのかな?」

まじ!?

僕は割と心配性な方なので、この連絡を受けて「実は今日定休日だったのかも」「昨日を最期に閉店になったのでは」「やっぱあの店員『アリガトウゴザイマス』とか言ってたけど日本語何もわかってなかったんでは」「シェフの気まぐれ休日」みたいな悪いシナリオがいくつか浮かんでは消えていきました。

急いで店に向かいましたが、着いてみるとその友達が店員と一緒に、表に看板を出す作業をしていました。あれ、18時からと思ってたのは勘違い? 時差? 客が来たから店開けた? というか何で客が看板運んでるの?
こういうのがインドっぽい感じなのかな、とちょっと楽しみになってきました。


・日本にいながらインドを感じられる接客

薄暗い店内。無造作に積まれてる段ボール箱。衛生状態が気になるが、そんなこと言ってたらインドではやっていけないな……と考え直すことにしました。

とりあえず飲み物を頼んでみます。メニューにはインドのビールが2種類載っていましたが、店員に聞くとどちらもないそうです。ここまで来てキリンかよ!いやサッカーの世界では大切なスポンサー様なんですが。あとインドは意外とワインが美味しいらしいと聞いたのですが、それも載ってない。

食べログの情報とあまりに違う……。これは、メニューに載ってない飲み物も結構あるのでは、と推理します。店員が3人いる中、一人だけ日本人(店長みたいです)がいたので聞いてみます。

「メニューに載っているマハラジャとキングフィッシャーは品切れで、代わりにボスならあります」

あるのか!じゃあそれでいいです。でもわざわざこの店に来る人はインドのビールが飲みたいだろうから、メニュー更新した方がいいのでは。

もしかして食べ物もメニューに載ってないのが結構あるのでは? 改めて聞いてみよう……と思ったら、店長は奥に引っ込んでしまいました。仕方ない、インド人(?)に聞いてみます。

「この店はカレー鍋というのがあると聞いたのですが」
「アリマス。A、B、C、ドレニシマスカ
?」

いやいや……なんだそのブラックボックスは。その提示の仕方で選べないだろ普通。
内容を教えてよと頼んだら、奥からカレー鍋が載ってる別のメニューを持ってきました。最初から持ってきてよ!

ビールの次はワインに行こうと思いました。リストに載っているのはアメリカとかフランスとかチリとかで、気になるインド産のワインは載っていません。でも僕らもそろそろ学習してきて、聞いたら出てくるパターンだろうと思って聞いたところ、

「白と赤とございます」

やっぱり! インドに向けていい感じの強化試合になってきました
自分で扉を開けられるといいですね。


3時間ぐらい店にいましたが、この日は他の客は誰も来ませんでした。それなのに店員は開店後続々とやって来て、最初は3人だったのに最終的に10人を超えていました!開店時間も守れないのに何なんだ。客もいないのに何の業務をしてるんだろう。キッチンの奥で何かをしているようだが……。しかも店長以外は日本語ほぼ通じないし、人件費とか大丈夫なのでしょうか?

気を使ってか、店長が戻ってきてからは接客は基本店長になりました。
僕らは週末からインド行くんですよみたいな話をしたら、結構乗ってきてくれました。

「インドはねー、大変ですよ」
「だまされるし、くさいです」
「でもそれがインドです」

インドに実際行ってみると、この言葉の重みがすごくよくわかりました。
だまされるし、くさいです。それがインド。

インドのワインは意外とかなり美味しかったのでお勧めです。
この店もインドっぽくてお勧めです。カレー鍋はインド料理じゃないですがお勧めです。だましてないです。


・インドのタクシー(入門編)

10月6日、インドに向けて出発です。
日本時間で18時ごろ成田発。インド時間(時差3時間半、半ってあるんですね)23時ごろデリー着でした。

日本人のみアライバルビザが取れる(なぜか日本のマスコミは全然報じないけど安倍首相の外交成果だそうです)と聞いていたので「visa on arrival」サインの方に進みます。

2016年3月から到着時に空港で取得できるアライバルビザが復活し、現在は日本人観光客のみが対象になっている(安倍首相とモディ首相のトップ会談で決まったらしい)。

ニューデリー国際空港に到着すると入国審査場の長蛇の列に驚くが、日本人だけはそれをやりすごして「Visa on Arrival」のブースに行く。入国審査の書類に記入し、ビザ料金(2000ルピー)をクレジットカードで支払い、パスポートにVISAのスタンプを押してもらって完了だ。

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