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海に落ちた涙はもう2度と見つからない

君の想いをひとつ残らず汲み取ることが出来たら良かったのに。
雨が続くこんな日に言うのもなんだけれど、君の存在は太陽のようだった。眩しくて触れたところから火傷してしまいそうだった。

でもその内僕は触れることすら怖くなった。
触れたところから何かを壊してしまいそうで…って、言い訳なだけで本当は自分が傷付きたくなかっただけだ。
君はつまるところ太陽ではなく人間だった。当たり前だ。
君はいつも輝いて見えたけれど違った。
悲しい時や寂しい時や苦しい時、君の無理して作った笑顔は太陽なんかじゃなかった。
1人の、ただの女の子の助けてのサインだったんだ。

当たり前だ。そんなの当たり前なんだ。

その当たり前に気付くのに、ぼくは全てを犠牲にしてしまった。

謝ることももう出来ない。許して欲しいという僕の声は水飛沫が弾ける音に掻き消され、君と君の心は水平線の彼方に沈んでしまった。僕もあの時一緒に水底に沈む勇気があったのなら、君は手を取ってくれただろうか。

君を暗くて冷たい永遠の水底に独りにさせてしまった。綺麗な熱帯魚が入った水槽のように誰かが空気を送ってくれるわけでもなく、誰かがネオンを当ててくれるわけでもない。何処に足をつけたらいいのかもわからない。浮き上がったと思ったら少しの水圧で沈んでいく。終わりの見えない場所だ。そんな寂しいところへ君を逝かせてしまった。

雨が止まないのは君が水底で泣いているからだろうか。この世界ごと沈んでしまえば、君はもう寂しくないだろうか。

君をもう好きじゃないとあの日僕は言ったけれど。あの日君はまだ僕が好きだと言ったけれど。

あぁ、雨音が僕を責めるように強くなる。

#短文 #綴 #心 #恋愛



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