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【明日方舟】水月与深蓝之树 追忆映射:帰溟スペクター『自虚无中』翻訳

记忆可被描述、可被记载、可被保存。那么,情感呢?
記憶は描述でき、記録でき、保存できる。なら、感情は?

Part1

劳伦缇娜看向远处洋底那片摇曳的灯火,有些出神。
ローレンティーナは遠い外洋の底で揺らぐ灯火を見て、その火に少しばかり目を奪われた。

如潮水一般的怪物已经退却,又一座阿戈尔的城市得以苟延残喘。当然,只是暂时的,在如今遍及全部视野的灾难之下,唯有死亡与痛苦才是恒常。
押し寄せてくる波のようなシーボーンの群れは既に退却し、またエーギルの都市が一つかのうじて生き永らえることができた。もちろん、これも一時的なものにすぎない。今、視界に映る全ての厄災の下では、死と苦痛だけが不変のものとして存在している。

从结构上来看,这该是一座古老的城市,历史的辉光曾加诸其上,就算距离遥远,穹顶之下那些建筑的煊赫与傲慢仍依稀可见。
その構造からして、ここは古代都市で、しかも歴史の栄光を浴びた都市のようだ。たとえ遥か遠くに離れようとも、ドームの下にある建物の赫々たる様と傲慢さがかすかに見える。

在那次可耻的背叛之后,深海猎人们不再被允许靠近城市,他们这些更陈旧的,更“原始”的猎人更是被严密监控,他们推进浪潮,但他们没有家。
あの屈辱的な裏切りの後、アビサルハンター達はエーギルの都市に近づくことは二度と許されなかった。古い”原始”のハンター達は厳しい監視を受け、これまで国を牽引してきた彼らであっても、今や帰るべき家を失ってしまった。

已不再有家。
そう。もう家はないのだ。

劳伦缇娜对此并无意见,无论是她的队长还是她自己,都能清晰地感受到血脉之中的躁动与不安,她们在面对一次早已注定的死亡,也许更糟,死亡已经开始,她们能做的唯一一件事不过是忍受这一场漫长的腐烂。
ローレンティーナにはそのことについて何らの意見もなかった。隊長だろうと自分であろうと、みなその血に流れる焦燥と不安をはっきりと感じることができた。運命づけられた死は既に目の前にあり、ともすれば始まってすらいる死と直面している彼女たちに唯一出来ることと言えば、ただ長く果てしない腐敗を堪え忍ぶことだけだ。

劳伦缇娜仍望着那座阿戈尔的城市,它已重新启动,驶向不知已退去何方的防线,驶向不知在何处等待的命运。
それでも、ローレンティーナはまだ再出発したエーギルの都市を眺めている。どこまで防衛線が後退したのかも、どこで運命が待ち構えてるのかも知らずに走り始めているエーギルの都市を。

那些灯火渐渐隐没在海床上,大洋深处,阳光仅仅只是头顶数千米之上的虚影,它理应存在,但无人能感知。
小さな灯りは徐々に海底へと沈んでいく。海の底では、太陽の光も頭上数千メートルの彼方にある虚栄に過ぎない。そこに太陽はあるはずだが、それに気づくことが出来る者は今や存在しない。

劳伦缇娜的周围又重新陷入黑暗。
やがてローレンティーナの周囲はまた暗闇へと落ちていく。

劳伦缇娜察觉到水流的变化,她的队长正在离开,歌蕾蒂娅已经数年没有说过话,她厌恶自己的声音。
ローレンティーナは水流の変化に気がついた。隊長がその場を離れ始めたのだ。グレイディーアはもう何年も喋っていない。彼女は自分の声色を嫌悪しているのだ。

但长久以来的默契使得她们不需要揣测彼此的意图,在那场腐烂彻底结束之前,她们只能继续如此。
それでもずっと前からの付き合いなのだから、今更互いの意図を推し量る必要もない。この腐敗が完全に終わるまで、ただこのままの関係を継続するだけだ。

用“信任”来描述她们的相处显得肤浅而轻率,只不过是,深海猎人血脉相连。
彼女たちの関係を「信頼」と呼ぶのは浅はかで軽薄なように見える。彼女たちのそれはただ、アビサルハンターの血の繋がりに過ぎないのだから。

而这段关系的终点,她们已经见证数次,她们都心知肚明。
しかしこの関係の終点を、もはや改めて言葉にする必要もなく、彼女たちはよく理解していた。

还不是时候,但很近了,也许是两个月后,也许就在明天。
それは今ではなくとも、近いうちに来るのだろう。2か月後か、それとも明日か。

劳伦缇娜提醒自己,下次的修整时间,要给手中的锯子换一枚新的锯片。
次にお手入れできる暇があれば、今使っているノコギリの刃を新しく付け替えなければと、ローレンティーナは自分に言い聞かせた。

污秽再次涌来,在跳完这支舞之前,劳伦缇娜决定不再去想有关未来的可能。
汚らわしいものたちがまた湧いてくる。この踊りを終えるまで、ローレンティーナは未来の可能性について考えるのはもうやめようと思った。

Part2

一场接一场的舞会,舞伴们却总是沉默。
舞踏会の最中でも、ダンスパートナー達は皆沈黙している。

这让劳伦缇娜感到厌倦,这称不上真正的起舞。
ローレンティーナは退屈していた。こんなのはちっともダンスではない。

那些残肢溶解在水中,歌唱声却震耳欲聋。
ヤツラは既に死骸となっているのに、なおも耳をつんざくばかりの歌声を上げている。

这是属于它们的歌声,劳伦缇娜承认其优美,但这些歌声跟不上她的舞步。
それがあれらの歌声であり、ローレンティーナもその美しさは認めている。けれども、その歌声は彼女の踊りにはまるで似合わないのだ。

最后一位舞伴化作齑粉,它的发光器官渐渐暗淡,熟悉的黑暗又回到了她的身边。
最後のダンスパートナーもバラバラになり、それが持つ発光器官も徐々に光を失い、見慣れた暗闇がまた彼女の下に帰ってきた。

在海的深处察觉不到波涛,却依然能确切感受到海的重量。
海の奥底では波濤を感じることはできないけれど、依然として海の重さは確かに感じることができる。

这是安宁吗?
これが安寧なのだろか?

劳伦缇娜有些困惑,在思绪的碎片中,安宁或许应与更多人共享,安宁似乎伴随着另一种歌声?
ローレンティーナは少し困惑した。感情の断片の中で、安寧はもっと多くの人と共有されるべきで、こんなのとは違う歌声に付き添ってくるべきものだと感じた。

更加温暖,更加悠扬......
それはより暖かく、より美しいもので……

那是怎样的曲调?
それはどんなメロディーだったのだろうか?

劳伦缇娜闭上眼睛,试图回想。
ローレンティーナは眼を閉じ、思い出そうと試みる。

但是它们的颂唱实在太恼人,无穷无尽,不止不休。
しかし彼らの賛歌はやかましく、しかもそれは一秒も、一瞬だろうと止まることがなく続いている。

任何一点涟漪都被压灭,唯有它们,它们永存。
どんな漣もかき消してしまうような歌声。脳裏を埋め尽くすのは、ヤツらの存在だけだった。

一个模糊的身影在劳伦缇娜的脑海中一闪而过,安宁......
しかしほんの一瞬、ローレンティーナの脳裏にぼんやりとした影が一瞬よぎった。安寧……

那是安宁吗?......还是恐惧?
これは安寧?それとも恐怖……?

劳伦缇娜向前走了几步,她踮起脚尖,接下来是转身,双臂的姿态应该更轻盈。然后弯下腰去,再度转身。
ローレンティーナは数歩ステップを踏み、爪先を立たせる。続いて一回転。両の腕はもっとしなやかに、軽やかに……それからかがんで、再度一回転をする。

她的手里是不是应该握住什么?
彼女の手には何かが握られているべきではないのか?

这些舞步,是不是她曾与别人一起演绎?
今のダンスを、彼女は誰かと踊ったことがあるのではないだろうか?

那个人......如今在哪里?
その人は……今どこにいるのだろうか?

劳伦缇娜记得,那是个笨拙的舞伴,但仍比眼前这些要强得多。
ローレンティーナは覚えている。あのダンスパートナーは不器用だったけど、目の前の奴らよりもずっと上手に踊っていたことを。

记忆,记忆,它们如丝线般纠缠在一起,劳伦缇娜知道如何剥开它们,寻找到自己所要的那一缕,只不过,还是算了。
記憶。そう、記憶は絹糸のように纏わりついてくる。ローレンティーナはそれらを解いて、自分が必要とする一縷を辿る方法を知っていた。けれど、やっぱりやめようと思った。

找到了又能怎样,她不知道记忆会把自己带去何方,她不想知道。
見つけたとしてどうしようというのか。記憶が自分をどこに連れ去ってしまうのかは知らないし、知りたいとも思わなかった。

已注定比未迎来更让人嫌恶。
行き着く先の結末が、どんな想像の未来よりも最悪なことを、私は知っているから。

也许是下一曲的时间到了,它们的歌声如此盛大。
次の曲の時間が来たのかもしれない。にも関わらず、奴らの歌声はより一層盛大となっている。

劳伦缇娜不想被歌声追上,她整了整裙摆,下一批舞伴们已经入席。
もう奴らの歌声は聞きたくないのに、次のダンスパートナー達は既に席についている。ローレンティーナはスカートの裾を正して、次の曲の準備を整えた。

Part3

那真是块漂亮的石头,颜色洁白,形状规整,半埋在柔软的沙地之中,仿佛一枚精致的甜品,被小心地摆放在波涛之下。
あれは本当に美しい石だった。表面は真っ白で、形も整っている。半分は柔らかな砂に埋まり、精緻なデザートを彷彿とさせ、波の下に丁寧に並べられている。

这里很好,她想,没有什么会来打扰她。
ここは良い場所だ。邪魔をするものは何もないだろうと、彼女はそう思った。

她走了那么久,孤身一人,穿越崩溃的残骸,穿越黏腻的碎片,穿越歌声,穿越死亡。
彼女は長い間、独りでここまでやって来た。崩壊した瓦礫の中を、粘着質の破片の中を、歌声を、死を潜り抜けてきた。

终于,她来到了这块石头面前,这大抵是个巧合,她从未给自己的跋涉划定过终点,但这样也好,最精彩的时刻往往不可预料。
ようやく、彼女はあの石の目の前に辿り着いた。それは本当にたまたまで、彼女はまだ旅の終点を定めてはいなかったけれども、こんな終わりも良いと思った。往々にして、クライマックスなんてものは予測できないのだから。

她走上前,尝试感受面前的石料,她或许曾掌握一些知识,如今,那些知识如同她的名字一样,消散在昏黑的海底。
そして彼女は、眼前の石の手触りを確かめようと、石へ近づいていく。もしかしたら彼女はかつて知識を持っていたのかもしれないが、今となっては彼女の名前と同じように、その知識は真っ暗な海底へと消えている。

但那种情感还在,她早已放弃描述,但毫无疑问,那种情感就在她微微颤抖的双手之中。
けれども感情はまだ残されていた。それを描述することは早々に諦めてしまったが、疑いようもなく、感情はこの少し震える両の手に存在している。

她已经很多年很多年没有这般颤抖过。
長い間、彼女はこれほどまでに震えることはなかった。

她抚过石料的表面,尝试捕捉一丝温暖,可是什么都没有,她已经失去了对温度的感知。
石の表面をなぞりほのかな人の温もりを感じ取ろうと試みるも、そこには何もなかった。彼女は既に人の温もりを感じる感覚すらも失っていた。

指尖划过,石料的表面有些发涩,这是块好石头,给人一种能够跨越永恒的错觉。
指先でなぞると、石の表面は少しざらざらとしている。これはいい石材だ、永遠すらも超えていけるような錯覚を感じさせてくれる。

在遥远时间之外的某个下午,她也曾如这般抚摸过一块石头,那时的她,还相信着真有事物可以对抗岁月,可以对抗消亡,可以对抗终将到来的结局。
遥か遠くのいつかの日の午後、彼女はかつて同じような石に触れた。その時の彼女は、歳月にも、死にも、いつかやってくる終わりにも対抗できるものがあると信じていた。

不过,不让命运遂了愿,也称得上是对抗吧。
けれども、運命の思い通りにはさせなかった、それを抗いと言ってもいいのではないだろうか

......相连。
……繋がり。

那句曾常常被提起的话已经在记忆中褪色到无法分辨,但她仍然知道,已经无人与自己相连。
かつて何度も言われたはずのこの言葉は、既に記憶の中で薄れて分からなくなった。自分がもう誰とも繋がっていないことは理解している。

时候到了,她明白,自己不能再拖延了。
その時がやってきた。もうこれ以上引き延ばせないのだと分かっていた。

她轻轻抬起手臂,曾被称作武器的东西如今只剩下干枯的残骸,但足够应付接下来的工作了。
彼女はそっと両手を下ろす。かつて武器と称されたものも、今となってはただの乾いた残骸でしかなくなったが、これから行おうとすることにはそれで充分だ。

石料片片剥落。
石がパラパラと剥がれ落ちていく。

还差一点,还差一点。
もう少し、もう少し。

......
……

她闭上眼睛,终于完成了。
彼女は眼を閉じる。それによって、ようやくそれは完成した。

她将虚无自有形中解放,她将自己的命运归于虚无。
彼女は形あるものから虚無を解き放ち、自らの運命を虚無へと帰した。

水流起伏,带走所有余迹,这片沙地上,那块巨石与那个身影,皆已被冲刷殆尽。
波は濯ぎ、砂上にある全ての痕跡を連れ去っていく。巨大な岩も人影も、みな尽く波に攫われて消えていった。

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