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ぶらり温泉旅

その温泉宿は各部屋のバルコニーに小さな露天風呂が付いていて、大浴場に行かずとも温泉が楽しめた。
鬱蒼と茂る木々のロケーションを眺めながら、一人で湯を満喫できる。
贅沢だ。

五時半から夕食だ。
ビールを美味しく飲むために、汗を流し、喉をからからにしておく。
懐石料理を堪能するために、部屋にサービスで置いてあるお菓子には手をつけない。

一人露天風呂は最高だった。
森からはつくつくぼうしの大合唱。
都心はまだまだ猛暑だが、ここはもう夏も終わりを迎えているのだな、と感じた。

この夏最後の温泉旅行。

執筆途中の小説のことも、だいぶ汚れてきたガスコンロの掃除のことも、夜中に変なテンションでポチってしまったサプリメントの高額な支払いのことも、なにもかも忘れて頭を空っぽにできた。

夕食はとても美味しかった。
刺身も選りすぐっていて、椀ものの玉蜀黍の擦り流しは甘く、釜で炊いた鯛めしは絶品だった。
ビールで喉を潤わせたあと、地酒の冷酒を二合飲み、かなり酔った。
部屋に帰ると、そっこう布団に倒れ込んだ。
幸福感で満たされていた。

朝は七時に起きて、ひとっ風呂浴び、目を覚ました。
朝食は和食で、焼き魚がとても美味しく、ご飯をお代わりした。

ここまでお読みいただいて、この記事はひとり旅の思い出を綴っているのだろう、と思われた方がいると思うのだが、種を明かせば、阪神タイガースファンの身内三人旅なのだ。

話す話題は、もっぱら今季「アレ」に向けて一直線の阪神タイガースの強さの分析。
「アレ」とは、victoryの隠語だ。阪神ファンの間ではキャンプの頃から合言葉になっている。なんと、球団の今年のスローガンがずばり「A.R.E」なのだ。

帰りの道中、もう車中ではやれドラフト一位でゲットしたルーキー森下は大当たりだの、今年の西勇輝はあかんだの、梅野の離脱は痛いだの、みなが解説者気取りだった。

楽しかった夏ももう終わりだ。
昨日の晩、早くもコオロギが鳴いていた。
秋かあ。
読書の秋。積ん読が五、六冊あるんだよね。
ああ、執筆が滞っている。。。
なんか身が入らないんだよね。
でも、英気を養ってきたので、がんばるか。
ちょっとその前に髪でも切りに行くか。
あと、ガスコンロも掃除して。

・・・だめだこりゃ。


お湯がほどよく熱く、結構長湯をした。


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