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チェックリストはマニュアルではない:書籍『アナタはなぜチェックリストを使わないのか?』

この記事の要約
・本の著者は外科医で、手術の状況でチェックリストがどのように役立つかを説明している。
・チェックリストはコミュニケーションを増やし、チェックリストに載っていること以外のミスを減らす。
・チェックリストはマニュアルではなく、熟練者を助けるためのシンプルで使いやすい道具である。
・著者は外科医のチェックリストを作るために、ボーイングなどを訪問して、パイロットのチェックリストを参考にしている。
・本書では投資の話も出てきており、興奮状態や焦り、緊急事態やピンチなどのときに、チェックリストは力を発揮する。

GPT-4による要約

こんにちは、Martinです。Notionでチェックリストを使うことが最近よくあるので、あまり深く考えずにポチッと購入しました。ところが、思っていた内容と全然違いました笑。でもいい意味で予想を裏切られたので簡単に紹介します。大雑把に内容を紹介すると、人は焦りや興奮で正常な判断をできなくなることがあるので、どれだけ実務経験があってもチェックリストを使用した方が効果が出るという話です。

本書の著者は手術をする外科医

この本の著者は手術をする外科医という特殊な職業背景を持っており、その視点からチェックリストの本質とその重要性を深掘りしています。手術という人の生死に直結する極限の状況でチェックリストがどのように役立つか、という事例から始めることで、我々のチェックリストの利用を根本から見直すきっかけを提供しています。特にチームでチェックリストを使う場面についてが多いです。

チェックリストはチェックリストの項目以外の結果も改善する

本書で最も興味深かったのはこの内容でした。チェックリストはコミュニケーションを増やし、チェックリストに載っていること以外の余計なミスを減らすという話です。

「なぜチェックリストがこれほど効果的なのかが不明だ」と言う外科医たちもいた。彼らの批判はもっともだった。抗生物質は正しく投与されるようになり、パルスオキシメーターも正しく使われるようになり、手術開始前にチーム全体で確認するようになったのは事実だ。だが、それらに全く関係のない、出血などの合併症まで少なくなったのはなぜだろうか。コミュニケーションが向上したから、というのが私たちの推測だ。

チェックリストがコミュニケーションの話につながるとは予想していませんでしたが、言われてみれば確かにそういうことはありそうです。チームでチェックリストを確認する機会と時間があることで、コミュニケーションをとる量が増えるだけでなく、重要な内容について円滑に話せる関係ができやすくなるのではないでしょうか。

この著者のいう「よいチェックリスト」とはどんなチェックリストのことなのか:チェックリストはマニュアルではない

よいチェックリストの特徴は以下のようなものだそうです。

一方、良いチェックリストは明確だ。効率的で、的確で、どんなに厳しい状況でも簡単に使える。全てを説明しようとはせず、重要な手順だけを忘れないようにさせる。なにより実用的であることが良いチェックリストの条件だ。

おもしろいのは、チェックリストには確認するべき「すべての項目を載せない」ということです。やるべきことはたくさんあるのですが、その中でチェックリストにするべきは一部ということになります。

以下の内容のように、特に熟練者でも忘れやすいところをチェックリストにしようと言われています。「チェックリストはマニュアルではない」

だが、実はチェックリストに載っていない手順がたくさんあった。
・・・
誤解されがちだが、チェックリストはマニュアルではない。高層ビルの建設用であれ、飛行機のトラブル解決用であれ、全ての手順を詳細に説明するものではない。チェックリストは、熟練者を助けるためのシンプルで使いやすい道具なのだ。

突き詰めるとこだわる点はいろいろ出てきます。マニュアルのようになんでも載せることはなく、緊急時に対応できるように、1ページ以内に収めます。なんと、おすすめのフォントまであります。

そしてチェックリストの見た目も実は重要だ。
理想的には一ページに収まり、余計な装飾や色使いは避け、大文字と小文字を使い分けて読みやすくしてあるものが良い。さらに、ブアマン氏は「ヘルベチカ」のようなサンセリフ書体を推奨しているそうだ。

自分の記憶や経験だけに頼らず、チェックリストを確認する

著者がWHOのプロジェクトを通じて、他の病院の手術にチェックリストを導入しようとしたときは、こんなことやってられないと他の外科医に言われたことが多くあったそうです。自分の仕事に自信を持っている人たちにチェックリストを導入してもらうのはハードルが高いです。しかし、アンケートでは90%の外科医が自分が患者だったとしたらチェックリストを使って欲しいか?という質問でイエスと答えたように、結局のところチェックリストの効果は認められることが多かったようです。

著者は外科医のチェックリストを作るために、ボーイングなどを訪問して、パイロットのチェックリストを大いに参考にしています。パイロットが緊急事態ではチェックリストをまず見るというのは、チェックリストの有効さを示す象徴的な例です。

航空機のチェックリストは決して完璧ではなく、不明瞭なものや、間違っていたものもあった。だが、チェックリストにはそれらを超える実績があるのだ。チェックリストはパイロットから驚くほどの信頼を得ている。緊急事態に直面しても、彼らはまずチェックリストを見る。

おわりに

本書では投資の話も出てきます。メインは外科医の手術の話で、調査のためにボーイングが作成したパイロットのチェックリストなどの紹介もありました。全体として、興奮状態や焦り、緊急事態やピンチなどのときに、チェックリストは力を発揮します。

少し話がそれますが、ARグラスにこういうチェックリストが日常的に表示されるようになれば、人の仕事や作業のクオリティーが上がる可能性は大いにありそうです。また、今後はAIが物事を判断することが増えてくると思いますが、AIのシステムの中にチェックリストを入れるようになると、緊急事態でも必ずかなりのクオリティーで結果を出してくれるようになる、なんてこともあるかもしれません。


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