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さようなら、わたしの育ての母

育ての母、と、なんとも誤解を生むような書き方をしましたが、実母です。
わたしの母は、母、たった1人です(この文章すらもややこしい)。


では、育ての母とは誰か______。


母のおっぱいです。

わたしたち3姉妹、みな、母のおっぱいを飲んで育ちました。

看護師国家試験の勉強をしているからわかります。

母乳ってすごいんです。
わたしたちは母のおっぱいのおかげで、生まれて早々、病気にならずに済んだし、餓死・脱水にならずにすくすく成長できたし、胎便(赤さんのうんち)もスムーズに出ただろうし、免疫力の基盤ができた。
とってもお世話になった母のおっぱい。


そんな母のおっぱいと、一足先にお別れをする。

精査の結果が出る前から全摘を希望していた母。
しかし、手術に伴い、全身麻酔の説明を受け、びびっていた。


入院直前まで「逃げたーい」とずっと言っていたし、全身麻酔に伴う合併症に怯え、もし万が一何かあった時は頼んだよ、と何度も言われたわたし(長女で20歳オーバーの成人なので)。


母の病気がわかってからというもの、母が疲れやすくなっていると感じた。
お昼寝すらも、病気を連想させて、嫌だった。




母の前では泣かなかった。

というか、泣けなかった。

母が泣いていない。
我慢して気丈に振る舞っていると、直感で思った。

だからわたしはもっと気丈に振る舞った。
母に、「m.が気丈な感じ(?)でよかったわ」と言われたので、うまくポーカーフェイスができていたんだと思う。
内心はとても不安だった。勉強している分、要らぬ知識や予測が頭を占める。
良いのか悪いのか、分からなかった。



母がまだわたしたちに病気を隠していた時、
「検査結果どうだった?」と、何気なく聞いた次女の言葉に涙を浮かべていた。
ぜったいに何かあった、そう悟った。
異変を感じて検査前に相談されていたわたしは、ネットで該当しそうな病名に目星をつけていたこともあり、だいたい予想はできた。
でも、現実になってほしくない気持ちが強く、母の口から聞くのが怖かった。



その後も、わざわざ家の外に出て、友人と電話。
お相手は家族ぐるみの付き合いなので、普段ならありえない。

後々聞くと、母の友人たちは結果を聞いて、母よりも先に泣いたそう。それで母は泣けなかった、と。

わたしたち家族に病気を打ち明けてから、
母は泣かなかった。
弱音も、長女であるわたしにしか漏らしていなかったと思う。
末っ子はまだ高校生。
父は意外と、いや、普通に?メンタル弱男。
多分、家族内でナンバーワンポーカーフェイスの末っ子と父を心配して、泣かなかったんだと思う。


でも正直言ってわたしもきちぃかったー。なんもできず、うまく母の気持ちも汲み取ってあげられず、辛かったー。母の胸でうぉんうぉん泣きたかったー。わたしだってまだまだ子どもだもんっ
なーんて、思うこともありますが!母が元気を取り戻すまでは頑張らねば!!と頑張っています(まだスタートしたばっか)。

入院前に寄った、幼なじみの家。
そこで母は珍しく人前で涙した。同い年の母たち、お互い泣いていた。
母が泣ける場所があってよかった、と思った。
幼なじみも家族ひっくるめて全員大切にしたい。


母の病気がわかってからというもの、改めて母は温かい人たちに囲まれていると感じた。
ご近所さんとの関係も、幼なじみとの関係も、築き上げてくれたのは、母だ。母のお節介とも言える、世話好きがこうじた結果だ。
そして、職場の方も、サプライズでプレゼントを渡しに来てくれたり、試験で忙しいわたしのために、母の検査に付き添ってくれた。
とってもいい人たちばかりで、何度も何度もシャッターをきりたくなった。何度か我慢できずにきった。


育ての母は一足先に旅立ってしまうけど、実の母の9割以上はまだ同じ世界で生きている。
きっとこれから何十年も一緒に生きていく。
もっともっと大事にしたいと思った。


世の中の子どもたちへ
母は偉大です。
空気のように当たり前に近くにいて、いつもわたしたち子どもを見守ってくれています。
でも、母は空気とは違います。生きています。
急にふっといなくなることだって、100%ないとは言い切れない。人間、いつ何が起こってもおかしくない、そんな世の中を生きています。
大事にしましょう。
あっ、もちろん、父も。

特に40、50代のお母様たち、病気の頻度がぐっと上がります。健康診断、ぜひぜひ行ってください。
子どもが心配、わかります。わたしも妹や近所のちびっ子たちが心配(?)。
子どもの世話で忙しい、わかります。わたしもうさぎのまろんちゃんと犬のかいくんの世話で毎日忙しいです(?)。
でも、子どもさんと将来も明るい未来を生きていくため、検査は時間を無理にこじ開けてでも行ってください。


全ての親子が明るい明日を生きていけますように。

m.

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