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表現の天才

2023.12.09.Sat

1年以上も待ち侘びた、だいすきなアーティストのライブ。
去年、わたしが失態をおかし、ホールツアーのチケットにありつけなかったため、実に約1年ぶりの再会。



作詞、作曲、アレンジを全て自分でこなし、デザインや映像のディレクション、セルフプロデュースも手掛けるマルチアーティスト(公式HPより)、“Vaundy”。

同年代であれば、誰しも1度は名前を聞いたことがあるだろう、彼の虜だ。



正直に言うと、わたしは飽き性だと思う。

中学高校時代に好きだった俳優は、出る作品ほとんど全てをチェックして、曲を出すとなった時には、CDを誕生日プレゼントに買ってもらい、何度も何度も繰り返し聴いた。しかし、ファンクラブにはいるほどの余裕がなく、当時ライブなどもなかったため、自然と冷めていった。
大学受験の時に好きになり、勉強時間を削ってまで情報収集をしていたアイドルは、大学進学で忙しくなったことと、コロナのせいでライブが開催されなかったことが重なり、自然と気持ちは冷めていった。

この経験から、わたしは会えないとダメになるんだと学んだ。そして、プライベートがなかなかに忙しいので、情報が多すぎると、どちらかに影響が出ることを学んだ。



こんなわたしでも、好きになってからずっと熱が強いのがVaundy、ただ1人だと思う。

理由を自分なりに分析してみた。
わりと短いスパンでライブで会えるのはもちろんのこと、彼のライブは、余韻が凄い。
とにかく凄くて、そして長引く。長持ちする。
少しやな言い方をすると、引きずる。

なので、熱が冷めない、と言う結論に達した。




そんな彼に、やっと会える日。
1年以上も前に、チケットを確保してからというもの、待ち侘びて、待ち侘びて、やっと念願叶う日。


会場入りすると、不思議な形の椅子と、今回のアルバム“replica”の世界観を現す空間が出現。
バウさんが創り出す世界に、早速、惹き込まれる。

ホール内には、スモークがすでに沢山焚いてあった。バウさんのライブ会場は、他のアーティストに比べると多めだと思う。
それを感じたのは、この日のライブでのこと。
運良く、アリーナの16列目、そして中央ステージから10番目を勝ちとったわたしは、早速席へ向かった。
しかし、アリーナの半分よりうしろでは前のステージが見えないほど、スモークがもくもくしていた。

ライブ終わり、スモークの存在意義について考えるようになり、調べた。
スモークとは粘度の高い液体を圧縮した、細かい液体のチリのようなもので、このチリに光があたることで、ライブ中の照明が綺麗にわたしたちの目に届くそうだ。


ただの煙だとか、雰囲気作りのためだけのスモークだと思ってて、ごめん。



なぜか少々、遅延したが、早速、ライブスタート。

バウさんのライブは、会場全体の電気が消えるところからはじまる。そして、ステージ後方から光が差し、人の影がやっとみえるほどのスモークが焚かれたステージに、バンドメンバーやバウさん本人が登場し、曲がはじまる。

しかし、今回は様子が違った。
バンドメンバーが、位置についても、バウさんの姿がない。
わたしたちが、“あれ?”と思い始めたその時、ステージ中央、床の部分から、見覚えのある天然パーマがお目見え。


なんと、、‼️
バウさんが、、、バウ様が、、、!
アイドルの演出で大人気な地下から、、、、、、‼️
なんという演出。大興奮。大歓喜。



そしてはじまる、“Audio 007”からの“ZERO”
力強くも、滑らかで、繊細で、優艶なメロディにさっそく酔いしれる。

続く、“裸の勇者”では、バウさんが自らマイクスタンドを手に、中央ステージへ。

数日前、音楽番組内で、横浜アリーナから生ライブを届けてくれた時には、中央ステージへ辿りつく最中で引き返していたので、まさか、中央ステージを使わない演出なのか⁉️なんて思っていたけど、わたしの見当違いだった。何年ファンやってんだ‼️と自分を叱りたいと思う。

あるもの、使えるもの全てを駆使して、自分の世界観を最大限に表現できるばうさんが、中央ステージを使わないなんて手はないのだ。


サビ部分では、この会場全体を背負っているような振り付け(意訳)に感動し、周りを見渡せば、バウさんの曲を聴くためだけに、大勢の人が集まっている。
そんなバウさんの、人を惹きつける逞しい後ろ姿に、全身が震え、鳥肌が立ち、そして感動した。



そこから怒涛の数曲連チャンが続き、時折、audio音源もはいり、MCがはいり、珍しく座った演出で歌ったり、マイクスタンドを使ったり使わなかったり、いつものように踊ったり、煽ったり、フードを被ったり被らなかったり、初めて(?)銀テープやきらきらな紙吹雪が舞い、さらに演出を色鮮やかに彩ったり、自由に、そして独自の世界観を最大限に演出しながら、約2時間を駆け抜けた。

MCといっても、2時間ほどのライブで、合計しても10分あるかないかです、体感的に。バウさん、全然喋りません。印象に残っているMCは、
“うわ〜今日もすごい人だね。(会場を見渡す)すげぇや。みんな見えてるぜ〜1番奥のほうの人たちは、、、ちょぴっ🤏🏻だね、視力が悪いもんでね。”
(端折りましためちゃくちゃ。すみません、記憶力がそんなによくないものでね。)

以前買った雑誌で、バウさんはこう語っていました。

(ライブは)音源よりよくないとダメだし、音源より熱がないと面白くないじゃん、ライブなんてって。そもそもそこがずれてるから、みんなライブ観に来なくなるし、ライブに行く意味って何?ってなっちゃう。『この煽りを聞きに行くために』とか、フェスでもずっとフェスに来ている人たちはMC聞きに来てたりその時の熱を感じに来ていたりするのであって、上手い歌なんて実は求めていない可能性もあって。ついでに上手かったらいいよねっていうところもあるから。

ROCKIN’ON JAPAN 20203年3月号より

これを読んで、
あぁ、この考えがあって、あのライブが出来上がるんだ...と少し、納得しました。


あ、でもひとつ訂正すると、バウさんはライブでもとんでもなく歌がお上手です。別にわたし、歌のプロフェッショナルとかではないですけど、そう感じます。

ホンモノです。あれは真似できない。

そして、ライブ終わりには、必ずと言っていいほど、音源には戻れません。
数週間、数ヶ月してやっと諦めて音源を聴きます。




バウさんの考え方は、哲学的で、物事の奥底まで深く、ふかーく考えてあって、一貫的で、ブレなくて、凡人のわたしには、何回も何回も考えないとわからないことも多いし、何度考えてもわからないことも多いけど、とても素敵だと思う。




あまり長くなりすぎると、何を書いているのか、なにを伝えたいのか、がわからなくなってくるのでまとめます。(と、書いたけど、ここから先もすご〜く長々と語っています.....)


バウさんのライブは、他のアーティストと違って、スクリーン等の映像を全く使わないのだけど、その分、照明と歌声、バウさんの動き等で情景が浮かぶ。


例えば、“裸の勇者”
この曲は、アニメ『王様ランキング』のオープニングテーマ曲。アニメを観たことがないので、ファンとして、とてもバウさんに失礼ですが、ネットの引用、失礼します。
主人公は耳が聞こえず、上手く話すこともできない、最弱の王子。
傍から見れば無力で情けない王子に見えていただろうが、主人公は誰よりも優しく、強い心を持っていた。そしてその優しさに、仲間が集まり、幾つもの悲しみに立ち向かっていくお話。
(間違っていたらすみません。)

中央ステージに立った、バウさんは、力強く、何かに立ち向かっていくような手振りや、
最初は優しく、静かにはじまり、徐々に力強さを増し、のびのびとした歌声で会場を圧倒し、
中央ステージを縁取るように、下から天井に向かって伸びる照明は、まるで天下を取るような、芯が強い主人公を表現、そんな想像を掻き立てた。

次に、“宮”
こちらは新曲。そして、曲名は、“みやこ”と読むらしい。今さら知った(え?)。
Apple Musicのアルバムの解説で、彼はこう語っている。

自分で全部の楽器を演奏しています。もともと僕のデモ音源はすごくダークで、そこからサポートメンバーに演奏してもらったり、ミックスしたりして、どんどん変わっていくんです。でもこの曲は僕のスタジオで録ったそのままの素材を使っているので、デモのダークな雰囲気を残したまま、ズシッと生々しい仕上がりになりました。今まであまりなかった曲調だけど、むしろ僕の本質に近い曲です。

-Apple Musicのアルバムの解説より

歌詞には“子宮”というワードも登場する。そして、彼はそれを、“愛という名の宮”と、表現した。


バウさんご本人の感性とは、似ても似つかないかもしれないけど、わたしは、周産期(妊娠出産)だとか、女性の体について勉強しているので、それを背景として捉えてしまっていて、妊娠・出産は、幸せの象徴だと、そう思っている人も多いかもしれない。もしかしたら9割近い人がそうかもしれない。
でも、まだまだ勉強不足ではあるけれども、妊娠・出産にはとても多くのリスクが伴うし、悲しいことだって、残念ながら、少数ではあるが、起こる可能性がある。(悲しみ)
妊娠経過が順調であっても、無事に生まれても、そしてベビーが順調に成長していても、いつ、何が起こるかはわからないし、自分自身の体だって、いつ、何が起こるかわからない。(不安)
妊娠中は身体の変化だけじゃなくて、それに伴う症状、そして痛み等、妊娠してから、出産を経て、身体が元に戻るまで、さまざまな苦痛が続く。(苦痛)
ここまで長々と語っておいて、ここで超薄い内容をかますのは大変恐縮ではあるが、講義内で実際にみたエコー画像や、出産の動画、そして生まれたてのベビーはとってもリアルだった。ただのわたしの感想である。(リアル)

背中を丸めて項垂れているようなバウさんの体勢と、薄暗い空間を醸し出す演出も合わさり、これらをバウさんは歌詞に込めたのかなあ、なんて勝手に想像をした。
でもよくよく歌詞を読むと、なんだか悲しい歌にも思えてくるし、trailerを見ると、結婚式のような正装の男女がハートの土台の上にいて、しあわせな歌にも思えるし、わからなくなってきたので、バウさんがアルバムについて語っている雑誌を読もうと思う。

そして、“花占い”
花占いは、ジャケットがひまわり🌻で、MVもとてもポップで可愛いイメージの曲なんだけど、ライブでは、黄色照明と、白い照明が混ざって、柔らかで、暖かい、夏の日差しを存分に浴びている向日葵畑を連想させた。


最後に、“CHAINSAW BLOOD”
こちらは、アニメ『チェンソーマン』のエンディングテーマ曲。残酷な感じのアニメで、怖くて全部はみれなかったので、少しだけ、、、
チェーンソーの頭を持つ人間が、人間を襲う感じのアニメ。

ライブでは、赤と白の光が力強く交差し、少しグロテスクに、それでも曲のかっこよさを際立てるような演出となっていて、少しだけみた、アニメのワンシーンが思い浮かんだ。




まとめると言いつつ、自分でも驚くほどに長くなったのだが、なにかを、形として表現する天才である、バウさんのライブは、他のアーティストのライブとは一味も二味も違うたのしみがあることを、ここに、記憶として残しておきたい。


ちなみに、これを書き上げた今日は、ライブからすでに2日が経過しているが、今日も、暇さえあれば、ライブのセットリストを聴き、バウさんのYouTubeを覗き、サークルへ行っては、横アリに参戦した後輩とセトリについて語り、バウさん一色の生活を送っている。


p.s.
ライブ終わりは、必ず、スマホ本体からの音源ではなく、お気に入りのスピーカーや、車のサウンドを通して、ちょっとでもライブに近い音で楽しんでいます。


おしまいっ


m.




🌻オマケ
会場でわたしがデジカメで撮影した写真たち!!
エモくてとってもかわいい^^♡

おそらく、バウさんが卒業制作でデザインした椅子...
(ROCKIN’ON JAPAN 20203年3月号より)
あとからわかったことだが、
このCDデザインもバウさんの卒業制作....
(YouTube公式チャンネルより)
お値段で諦めちゃった電球とミニキーホルダー...
(現在アルバイト休職中で実質ニート)
妹に唆されたのもあり、買っちゃった青タオル
配色がとっても好き....♡

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