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[ポエム] 男女

男は女に問うた。

女も男に問うた。

そうしてお互い高じた。

それはとっさのことだった。

そして実際。

男も女も。

主観的であった。

双方の事情。

それにひどく。

観念が牽曳(けんえい)されたのだ。

相手が何を問うたか。

それがたちまち。

主観的事実へ変遷してしまう。

相手を看破した気に。

そういった気になる。

そうして煎じ詰めて。

歯がゆくなる。

鬱積して困ずる。

しかし実のところ。

それは彼らの身勝手さに過ぎない。

それはまさしく。

責任を課しているに過ぎない。

彼らは自分が。

[愚かなことをした]と。

そのことに気づくことは。

恐らくしばらくはない。

なぜなら彼らは。

悠然(ゆうぜん)たる自分を。

それを認めなかった。

彼には応じるための。

その余裕がなかった。

鷹揚(おうよう)さを欠いていた。

火急の中にいたのだ。

大急ぎで応じなくては。

[虎口へ吸い込まれてしまう]と。

彼らは恐れたのだ。

まあそれこそ。

自説ではそれこそが。

世間の便宜主義なのだろう。


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