第0回「去りゆく季節の名残を追って」
ごきげんよう。
不定期更新D&Dソロジャーナル
「去りゆく季節の名残を追って」
今回はその第0回。
キャラクター紹介やレギュレーション説明、ゲームに必要な舞台設定などをしていきたいと思います。
それではよろしくどうぞ。
キャラクター紹介
ミルッカ・サルナトゥ
ハーフエルフの占術師です。
詳しい設定やステータスはこちらの記事にまとめてあります。
プロローグ
(※内容はキャラクター紹介ページの「過去の経歴と旅立ちのきっかけ」と同一です!)
物心ついた頃から、ミルッカにとっての唯一の肉親は占い師である母
シャーヤ・サルナトゥだけだった。
母の一族は代々占いを生業としており、シャーヤ自身も腕の立つ占い師であった。早々と半隠居を決め込む以前には、領主のお抱えの占い師すら務めていたと聞く。
ミルッカも母の助手として幼いころから占いの技術を学んだ。占術師としての心得や振る舞いについて、探し物を見つける簡単なまじないについて、そしてルーン文字に秘められた力の引き出し方について。
占術師一族の末裔として、自身が占術師の道を歩むことに疑問はなかったし、当然そうなるものだと捉えていた。
サルナトゥも母親から譲り受けた姓である。
父はミルッカが誕生して間もなく家を去ったのだとシャーヤは語った。
エルフであるという事だけは聞いていたが、それ以外のことについて母は多くを語らなかったし、ミルッカからあえて訊ねることもしなかった。尖った耳や季節によって色を変える奇妙な髪は、父の持つエルフの血がもたらした形質である。
また、ミルッカには幼いころから魔術の才があった。遠くのものを引き寄せたり、小さなつむじ風を起こしたり、手折った樹木の枝に花を咲かせたり。
それらは初めのうちは無意識に起こっていたが、歳を重ねるうちにある程度は自覚的に使えるようにもなった。
これもやはり、エルフの血が与えた力であるらしい。
母は市井の人々から通り名として(そして時には陰口として)「ワヌヴァの魔女」と呼ばれていたが、母がこのような力を用いた姿を、ミルッカは見たことがなかった。
◇
母が自室にミルッカを呼びつけたのは、彼女が19歳になった日の朝である。
その頃のミルッカは、街の占い師としては既に一人前と呼べるまでになっていた。
「この家を出て、父を探しなさい」
シャーヤが言う。
「あなたには既に私の持つ占いの技術を全て教えたわ。それでもあなたは、まだ一流の占い師とは呼べない。占いは、学ぶものではなく使うもの。あなたは旅をして、人々の声を聴き、ルーンの囁きを捉えねばならない。外に出る時がきたのよ」
「あなたの父はエルフ、それもエラドリンよ。
力ある魔術師だった彼はここを去る前に私に告げた。
『私の娘にその時が来たと君が判断したのなら、この子を私の元へ』と。
あなたにはエルフの血が流れ、その血が魔法の力を与えている。けれどもあなたの魔法の力はまだ未熟で、不安定よ。父を探し、魔力を制御する術を学ぶ必要がある」
ミルッカは頷いた。
「わかりました母様。それで、父様は今いずこに?」
シャーヤは静かに微笑して言った。
「あら、私があなたに授けた術は一体何だったかしら」
手慰みに弄んでいた占術用具の小石を机の上に軽く投げ、現れた文字の啓示を読みながら彼女は続ける。
「これはあなたへ父が与える最初の試練であり、母が与える最後の試練です。旅に出て、父を探しなさい。そしてその教えを乞いなさい」
◇
旅の支度を整え、ミルッカは戸口に立つ。
最初の目的地は、もう決めていた。
ルーンに従い、まずは大都市を目指そう。
家を去ろうとする娘に対し、母は告げる。
「最後に一つ教えてあげるわ。あの人の、あなたの父親の名前を」
「ディルノメンディ・アズラストン。
あなたが探すべき人の名よ。
幸運を祈っているわ。それから――」
思い出したように彼女は付け加えた。
「首尾よく彼と会えたのなら、伝言を頼めるかしら?
『たまには私のところにも顔を出せ』って」
プレイの流れ
本文はミルッカによる旅の日誌という形式に則り記録をつける。
天気
まず、ゲーム内での一日の初めにDMG109頁
「天気」のランダム表でその日の天気を決定する。
「風」表で風が吹いていた場合、追加で1d12を振り、風向きも決める。
遭遇
次にザナサー92~111頁
「ランダム遭遇」表を用い、その日の遭遇を決定する。
はじめに1d3を振り、何回遭遇表を振るかを決める。
続いて、これから進む地形に合わせた遭遇表を回数分振る。
これが今日の遭遇となる。
得られた遭遇結果を組み合わせ、自然な物語を作る。
この遭遇相手は必ずしも敵対的であるとは限らないし、敵対的であっても必ず討伐しなければいけないというわけではないものとする。
交渉や隠密によってやりすごすことも可能だというわけだ。
占いによるミルッカの行動指針を決定
最後に、ミルッカの行動指針を決定するため占いを行う。
大休憩が終わるたびに占いをし、ミルッカは極力その結果に従った行動をするものとする。また、道中で決断を迫られた際などにも適宜占いを行う。
占いに関してはルーン占いのノルンの予言スプレッド(フォールーンスプレッド。過去、現在、未来、対策)を基本とし、必要に応じて他のスプレッドや、タロット・ペンデュラムによるダウジングなど他の占術も使用する。
ルーン占いにおいて逆位置はとらないものとする。
これを繰り返し、冒険を進める。
レギュレーション
システム
ダンジョンズ&ドラゴンズ五版
使用書籍
プレイヤーズ・ハンドブック(以降PHB)
ダンジョン・マスターズ・ガイド(以降DMG)
モンスター・マニュアル(以降MM)
ザナサーの百科全書(以降ザナサー)
ターシャの万能釜(以降ターシャ)
ヴォ―ロのモンスター見聞録(以降ヴォーロ)
モルデンカイネンの敵対者大全(以降敵対者大全)
以上7冊を使用予定。
その他の書籍も必要に応じて使用する可能性あり。
プレイ方針
1.ランダム表を多用する
プレイヤーとダンジョンマスターを兼任する都合上、予期せぬ物語を楽しむために使えそうなランダマイザ―は出来るだけ積極的に使用する。
ミルッカの行動指針に占いを取り入れたのも、これが理由だ。
2.面白さはダイス結果に優先する
1と若干矛盾してしまうが、ランダム表で出た結果があまりにもそぐわないと感じた時は振り直しも視野に入れるものとする。この振り直しは、あくまでも物語を描く上でランダム表を使用した際にしか適用しない。
勿論、偶然得られた無茶な結果を半ば無理矢理に解釈するのがランダム表の面白さなので、基本的には極力振り直しは避けたいが、それによってプレイが滞るのも問題なのである程度は大らかな対応をしたい。
また、ダイスを振る前に面白い展開や設定を思いついた際なども、無理にランダム性にこだわらないこととする。
3.死亡・全滅時の処理
基本的にソロプレイである都合上、死亡や全滅の可能性は高い。そのため、このゲームではキャラクター死亡時に以下のような裁量で運営する。
①主人公以外のNPCなどが死亡した場合、通常通りPHBのルールに従って処理する。
②主人公であるミルッカが死亡してしまい、なおかつ復活も見込めずゲームの進行が困難になってしまった場合、DMG273頁【長期的な負傷】表によるペナルティを与えたうえで、(たまたま通りかかった旅人に助けられたなどの理由で)近隣の人里で目を覚ますという処理にする。
③全滅の際は①②の処理に加え、持ち物が盗まれる等の相応しいペナルティを追加で与える。
このような処理にしたのは、シナリオの根幹に主人公であるミルッカの物語が関わっており、彼女がロストした状態でゲームを継続させるのはシステム面でも私のキーパリングの腕前という面でも難しいという判断によるものである。
我ながら結構甘い裁量だなという気もしますが、そこは気楽な一人遊びという事で大目に見ていただければなと思います。
レベルが上がって安定してきたり、もっといい方法を思いついたりしたら変更するかもしれません。
冒険の舞台設定
地図を描こう
冒険をするにあたり、主人公ミルッカがどのような環境で旅をしているかを決定するためにも地図が必要だ。そこで今回はザナサーの遭遇表を基に次のようなランダム表を自作してみた。
このランダム表を計8回振り、得られた結果をそれぞれ北、北東、東……と八方向に当てはめていく。
その結果がこちら。
得られた結果をもとに地図を描き上げる。
さて、これはどのような地形だろうか。
特徴的なのは北東と南に海岸があることだろう。海に囲まれていることから陸地の端であることが推察できる。島の端っこか、あるいは海によって細く細切れにされた半島のようなイメージが湧いてきた。
海のすぐ近くに切り立った山岳があるのも特徴的だ。
難しいのは西で出てしまった「水中」である。はたしてこれはどう解釈したらよいものか。
ここで一つの地形に思い当たった。
ノルウェーなどに見られるフィヨルドである。
山岳と湾が並び立ち細切れになったような地形はいかにもフィヨルドらしい。となれば西の「水中」は湖と解釈すれば良さそうだ。
主人公がルーン文字を使う占い師であり、このルーン文字は北欧の文化とも強い結びつきがあることも嬉しい偶然である。
こうして冒険の舞台はドーン世界(*1)北部に位置しフィヨルドが形成される寒冷な気候の土地であることが決定した。
街や都市の詳細を決めよう
まずは都市の名前を決める。
固有名詞は1d50を振って頭文字を決定した後(五十音順)、1d10で文字数を決めることにする。
今回は主人公の故郷であり冒険の出発地点である都市の名前と、当面の目的地である都市の名前を決定。
オスタルの都市としての性格も決めたい。
これにはDMG112頁の「居住地ランダム作成」表が役に立つ。
ついでに1d8を振って、ワヌヴァから見てどちらの方向にあるのかも決めてしまおう。
以上を踏まえてオスタルは次のような設定となった。
旅立ちの日を決めよう
最後に冒険が始まったその日の日時を決める。
詳細についてはいずれ別の記事でご紹介したいが、ドーン世界はその神話に基づき次のような暦が採用されている。
これに従い、ミルッカが旅立った日を設定する。
彼女は凍てつく冬に旅に出たようだ。
地図を描く段階で述べたように、この辺りはドーン世界の極地に近い寒冷な地域であり、寒さも厳しいはずだ。
過酷なたびになるかもしれない。
これにて舞台設定は全て完了した。
あとはミルッカにとって初めての遭遇表を振り、冒険へ旅立つだけだ……。
舞台設定や下準備は以上になります。
次回からはいよいよ本編を開始する予定です。不定期にはなりますが、連載小説風に更新していければと思っていますので、よろしければ引き続きご覧ください。
果たしてミルッカは無事に父を見つけることが出来るのか。
それ以前にこのソロジャーナルは無事に軌道に乗ってくれるのか。
若干の心配はありますが今回はここまで。
また次の更新でお会いしましょう。
それでは左様なら。
注釈
*1:我々のプレイグループによるオリジナル世界の名称です。
*2:神話上の伝説の人物。太陽神ニドラノが率いる軍勢に対して籠城戦で抵抗し、この世界の「夜」の領分を守ったとされる。その功績から、後述にあるようにドーン世界の暦では冬を司る節にその名が冠されている。
*3:ドーン世界における主要宗教の一角。その歴史は最も古く、新興勢力である「三指教団」に対する形で「旧宗教」と呼ばれるようになった。
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